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ServerView Resource Orchestrator Cloud Edition V3.1.0 運用ガイド

18.1 導入

ここでは、Disaster Recovery環境の構築について説明します。

以下の流れで、Disaster Recovery環境を構築します。

  1. セットアップのための事前準備

    運用サイトとバックアップサイトに対して、セットアップの事前準備を行います。
    詳細は、「設計ガイド CE」を参照してください。

    • ストレージ装置のレプリケーションについて

      ストレージ装置のレプリケーション機能を用いて運用サイトの情報をバックアップサイトに複製してください。

      このストレージのレプリケーションは、「17.1.3 ストレージ筺体の高可用性」の機能を使用します。
      Disaster Recoveryの運用ができるストレージは、事前に作成されたLUNまたはETERNUSのダイナミックLUNミラーリングのストレージです。ストレージのレプリケーションの前提条件の詳細については、「設計ガイド CE」の「7.2 ストレージ筺体の高可用性の設計」を参照してください。

      運用サイトでは、バックアップサイトのディスクリソースが検出されている必要はありません。そのため、バックアップサイトのストレージ装置を運用サイトのサーバに接続する必要はありません。

      なお、イメージファイル格納フォルダーを、レプリケーション対象のストレージ上に構築してください。イメージファイル格納フォルダー配下のイメージファイルも同様に複製してください。

    • 物理L-Serverを作成する場合

      「設計ガイド CE」の「付録D 物理L-Server作成のための事前準備」を参照してください。

    • サーバ仮想化ソフトウェアを利用してL-Serverを作成する場合

      「設計ガイド CE」の「付録E 仮想L-Server作成のための事前準備」を参照してください。ただし、VM管理製品は、運用サイトの物理L-Server上に構築する場合、バックアップサイト側では構築する必要はありません。

    • VMwareの仮想L-Serverを使用する場合

      VMホストに対して以下のコマンドを入力し、複製されたLUNの検出を無効にしてください。

      >esxcfg-advcfg -s 0 /LVM/DisallowSnapshotLUN <RETURN>

      注意

      ETERNUSのダイナミックLUNミラーリングで作成されたLUNは、運用サイトからバックアップサイトに一度切り替えた時点で、事前に作成されたLUNとして扱われます。事前に作成されたLUNでは、レプリケーションの設定が自動では実施されないため、それ以降に切替えを行うためには事前に作成されたLUNのレプリケーションを設定する必要があります。ダイナミックLUNミラーリングで作成されたLUN、および事前に作成されたLUNについての詳細は、「設計ガイド CE」の「D.3 ストレージの事前準備」を参照してください。

  2. Disaster Recovery機能を使用するための設定

    被災時の切替え情報の採取や、被災時の切替え運用を容易にするために、以下の設定を行ってください。

    1. 切替え情報格納フォルダーの作成

      切替え情報を格納するフォルダー、ファイルを以下の構成で準備する必要があります。

      切替え情報格納フォルダー
      切替え情報格納フォルダー\Image            - 物理サーバのイメージ格納フォルダー
      切替え情報格納フォルダー\ManagerExport    - rcxmgrexportコマンドの出力先
      切替え情報格納フォルダー\MAP              - 物理サーバ名のマッピング定義ファイル格納フォルダー
      切替え情報格納フォルダー\OtherBackupFiles - 定義ファイルやユーザスクリプトなどのファイル格納フォルダー
      切替え情報格納フォルダー\storage_file      - rcxstorageの出力ファイル
      切替え情報格納フォルダー\vmmgr_file.txt    - VM管理製品の定義ファイル

      D:\
      D:\Export\Image
      D:\Export\ManagerExport
      D:\Export\MAP
      D:\Export\OtherBackupFiles
      D:\Export\storage_file
      D:\Export\vmmgr_file.txt

      そのため、切替え情報を格納する以下のフォルダーを作成します。

      このフォルダーに格納される情報は、切替えに必要なためレプリケーション対象としてください。

      切替え情報格納フォルダー

      必ず作成してください。フォルダー名は任意です。

      • Image

        物理イメージを移行する場合に作成が必要です。フォルダー名は任意です。

      • ManagerExport
        作成が必要です。フォルダー名は固定にしてください。

      • MAP

        物理サーバ名のマッピングをする場合に必要です。フォルダー名は固定にしてください。

      • OtherBackupFiles

        上記以外のファイルを格納する場合に作成が必要です。フォルダー名は任意です。

  3. マネージャーのインストールおよび設定

    運用サイトとバックアップサイトに対して、本製品のマネージャーをインストールします。

    RORコンソール利用者に切替え発生を意識させない運用の場合、バックアップサイトのSVOMおよびVIOMをインストールするとき、以下のどちらかの環境としてください。インストール後の環境は、問いません。

    • 運用サイトの管理サーバを停止する

    • 運用サイトと同じネットワークに接続しない

    手順2.で作成した切替え情報格納フォルダーを以下の定義ファイルに指定します。バックアップサイト側でも切替えを行うためにレプリケーションした情報を指定します。

    【Windowsマネージャー】

    マネージャーのインストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\customize_data\fa_dr.rcxprop

    マネージャーのインストール後、必要に応じてSSL環境の環境設定を行います。

    詳細は、「導入ガイド CE」の「第2章 インストール」および「第3章 RORコンソールのSSL通信の環境設定」を参照してください。

    注意

    Disaster Recovery環境を構築する場合は、認証局から発行された証明書を使用することを推奨します。

    テスト証明書を使用する場合は、導入時、もしくは被災時の切替え後に、バックアップサイトの証明書もブラウザにインポートする必要があります。

    詳細は、「導入ガイドCE」の「第6章 ブラウザへの証明書のインポート」を参照してください。

    Disaster Recoveryを使用する場合、DR オプションのライセンスが必要です。
    本製品のインストールを行った後、運用サイトおよびバックアップサイトにDR オプションのライセンスを登録してください。
    ライセンスの登録方法については、「導入ガイド CE」の「第5章 ライセンスの設定と確認」を参照してください。

    イメージ格納先フォルダーは、「2. Disaster Recovery機能を使用するための設定」の手順a.で作成したImageフォルダーを指定してください。

    運用サイトとバックアップサイトの以下の証明書ファイルは一致させる必要があります。バックアップサイトのマネージャーをインストールした際に、運用サイトからコピーしてください。このとき、マネージャーを停止して実行してください。

    なお、複数の運用サイトを1つのバックアップサイトで引き継ぐシステム構成にした場合、最初に作成した運用サイトのマネージャーのファイルを、ほかの運用サイトのマネージャーにもコピーしてください。

    • インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVssmgr\current\certificate

    • インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\opt\FJSVrcxdm\certificate

    • インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.crt

    • インストールフォルダー\SVROR\Manager\sys\apache\conf\ssl.key

    運用サイトで「導入ガイドCE」の「第19章 環境のカスタマイズ」にしたがって実施した以下のカスタマイズ設定は切替え前にバックアップサイトに反映する必要があります。

    環境構築時に合わせて設定を行うか、切替え時に反映してください。

    • 「19.1 メールの設定」

    • 「19.2.3 申請プロセスの設定の変更方法」

    • 「19.2.4 使用する申請プロセスの変更方法」

    • 「19.3 ダッシュボードのカスタマイズ」

    • 「19.4 仮想サーバのホスト名設定」

    • 「19.5 リソース名の設定方式の設定」

    • 「19.6 オーバーコミット機能の設定」

    • 「19.7 L-Platform APIの環境設定の変更」

    • 「19.9 物理L-Serverのシステムディスク設定」

    • 「19.12 許諾の編集」

    • 「19.13 利用者登録時の規約の編集」

    編集した以下のファイルは退避しておいてください。

    • インストールフォルダー\RCXCFMG\config\command_config.xml

    • インストールフォルダー\RCXCFMG\config\mail_config.xml

    • インストールフォルダー\RCXCFMG\config\vsys_config.xml

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\Charging\conf\accounting.properties

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\application_process.properties

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\custom_config.xml

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\managerview_config.xml

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\license\create\default

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\license\reconfigure\default

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\MyPortal\config\license\return\default

    • インストールフォルダー\RCXCTMG\SecurityManagement\conf\portal.properties

    • インストールフォルダー\IAPS\F3FMihs\servers\FJapache\htdocs\sopdocs\pub\html\ja\cRegApply_agreement.forUse_ja.html

  4. 管理対象サーバおよびネットワークデバイスの設定

    運用サイトとバックアップサイトに対して、管理対象サーバおよびネットワークデバイスの設定を行います。
    本手順を実施する前に、「設計ガイド CE」の「7.4 Disaster Recovery」を参照してください。
    詳細は、「導入ガイド CE」の以下を参照してください。

    • 「第7章 インフラ管理者の登録」

    • 「第8章 定義ファイルの作成」

    • 「第9章 本製品へのリソースの登録」

    • 「第11章 VMホストに対するソフトウェアのインストールとエージェントの登録」

    • 「第12章 リソースのグローバルプールへの登録」

    • 「第13章 L-Serverテンプレートの作成」

    • 「第14章 インフラ管理者用L-Serverの作成」

    • 「第15章 クローニングイメージの採取と登録」

    • 「第16章 L-Platformテンプレートの作成」

    Disaster Recovery環境は、以下のように設定してください。

    • サーバはサーバツリーに、バックアップサイト側でも事前に登録してください。オーケストレーションツリーに登録するプールやL-Platformやユーザー、ユーザーグループは、バックアップサイト側で運用する業務の情報を設定してください。運用サイト側の情報は設定する必要はありません。

    • ネットワークデバイスツリーに登録するネットワークデバイスは、ネットワーク機器を用意したうえで、バックアップサイト側でも事前に登録してください。
      ネットワークデバイスとしてNSアプライアンスを使用している場合は、バックアップサイト側でもNSアプライアンスを作成し、ネットワークデバイスとして事前に登録してください。
      NSアプライアンスの作成手順については、「NSオプション説明書」を参照してください。

    • ネットワーク機器の自動設定機能を使用している場合

      以下のファイルおよびフォルダーをバックアップサイトにコピーしてください。

      • インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\customize_data\network_device_model.xml

      • インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\scripts\

    • 以下の設定は、運用サイトとバックアップサイトで、それぞれの環境に合わせた情報にしてください。

      • インストールフォルダ\SVROR\Manager\etc\storage\emc配下

      • インストールフォルダ\SVROR\Manager\etc\customize_data\storage_portset.rcxprop

      • インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\customize_data\fc_connection_pattern配下

  5. サーバNIC定義の設定

    ブレードサーバを利用する際にネットワーク自動設定のデフォルト構成以外のNICを利用する場合、サーバNIC定義を作成し、マネージャーに反映します。
    バックアップサイトのサーバNIC定義は、事前に運用サイトと同様に作成し、マネージャーに反映します。
    作成したサーバNIC定義は、rcxadm nicdefctl commitコマンドを実行し、マネージャーに反映します。

    サーバNIC定義については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「13.11 サーバNIC定義」を参照してください。

    rcxadm nicdefctl commitコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「5.15 rcxadm nicdefctl」を参照してください。

  6. 切替え時に使用するファイルの作成

    1. VM管理製品の定義ファイルの作成

      バックアップサイトで本製品のVM管理製品を登録するための情報を、切替え情報格納フォルダー配下に以下のファイル名で作成します。

      • vmmgr_file.txt

      VM管理製品定義ファイルの書式は、以下の例に示すとおりです。1行目の記載は、定義内容を説明するための記述であり、vmmgr_file.txtには記載しないでください。

      VM管理製品の定義ファイルの詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「5.20 rcxrecovery」を参照してください。

      name     soft name  ip              user name  password  physical-lserver
      vcenter, vmware-vc, 192.168.1.24,   admin,     admin,    yes
      scvmm,   ms-scvmm,  192.168.100.77, root,      root,     no
    2. 物理サーバのマッピング定義の作成

      物理L-Serverに使用するサーバの名前を運用サイトとバックアップサイトで変えたい場合には、マッピング定義を作成することで変えることができます。

      切替え情報格納フォルダー配下に作成したMAPファイル格納域に、以下の内容のcsvファイルを作成してください。

      #PhysicalServer
      Server1-1,Server2-1
      Server1-2,Server2-2
      :         :

      Server1-1,Server1-2は、運用サイトのサーバ名を指定します。

      Server2-1,Server2-2は、バックアップサイトのサーバ名を指定します。

      物理サーバのマッピング定義の詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「5.20 rcxrecovery」を参照してください。

  7. 被災時の切替え情報を自動採取する設定

    被災時の切替え情報のうち、テナント利用者とテナント管理者が行える範囲の操作で変化する情報は、ファイアーウォールの設定情報を除いて、自動的に採取できます。自動的に採取する運用には、以下の二つの運用形態があります。

    • 定期的に採取する運用

      一定の時間間隔で切替えを行う運用の開始は、以下の操作で行います。

      【Windowsマネージャー】

      >インストールフォルダー\SVROR\Manager\bin\rcxmgrexport -interval minutes <RETURN>

      rcxmgrexportコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「5.19 rcxmgrexport」を参照してください。

    • 構成定義情報を変更した際に採取する運用

      テナント利用者とテナント管理者が行える範囲の操作によって、切替え情報が変化する事象が発生した際に、自動的に採取できます。以下の操作で行います。

      【Windowsマネージャー】

      >インストールフォルダー\SVROR\Manager\bin\rcxmgrexport -event on <RETURN>

      rcxmgrexportコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「5.19 rcxmgrexport」を参照してください。

    注意

    • Disaster Recoveryの切替え情報は、システム全体の情報を採取します。採取時間間隔を短く設定した場合や、更新頻度の高い環境での事象発生時の採取では、通常の運用に影響を与える可能性があります。業務への影響を考慮して、運用方法を検討ください。

    • 「7. 被災時の切替え情報を採取するための設定」を行って切替え情報を採取しても切替え時に必要な情報のすべてが採取できるわけではありません。一部の情報は、別途採取する必要があるため、「18.2 通常運用」の手順で、手動で採取してください。