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Interstage Application Server マルチサーバ運用ガイド
Interstage

2.1 設計項目

マルチサーバ管理機能を使用してサイトを運用する場合の基本的な設計項目について説明します。


資源と配置先の関係

マルチサーバ管理機能では、一括操作機能の対象となるサービスやワークユニットなどの資源に対して、配置先を指定します。配置先は、サーバグループ/単体運用の管理対象サーバです。



配置先を指定すると、その資源の操作対象サーバが決定されます。
一つのサーバグループで、同一の業務を運用するサーバ群を管理することにより、一括してそのサーバ群の運用管理を行うことができます。また、IJServerは、多階層(Webサーバ、Servletコンテナ、EJBコンテナ)で構成されることがあるため、このような場合に、階層ごとにサーバグループを構成して配置することにより、一つのIJServerとして運用管理を行うことができます。

Interstageシステムなどのように、サーバに対して1対1で存在する資源の場合、直接の操作対象はサーバグループや単体運用の管理対象サーバとなります。


ワークユニットAの配置先をサーバグループAとした場合

「ワークユニットA」は、「サーバグループA」に所属するすべての管理対象サーバに配置されます。この「ワークユニットA」を起動すると、「サーバグループA」に所属する各管理対象サーバ上に配置された「ワークユニットA」がすべて起動されます。



サーバグループAに対してシステムの環境設定を更新した場合

「サーバグループA」に所属するすべての管理対象サーバのシステム環境設定が更新されます。



異なるバージョンのInterstageがインストールされている配置先の資源

Interstageの資源は、インストールされているバージョンにより機能範囲が異なる場合があります。この場合、資源の機能範囲は、指定された配置先にインストールされているInterstageのバージョンの機能範囲となります。

Interstage V10.0の配置先に配置されたIJServerは、Interstage V10.0の機能範囲となります。Interstage V9.0の配置先に配置されたIJServerは、Interstage V9.0の機能範囲となります。


注意

IJServerは、多階層(Webサーバ、Servletコンテナ、EJBコンテナ)で構成され複数のサーバグループ/単体運用の管理対象サーバを配置先とすることがあります。この場合、IJServerの配置先は、すべて同じバージョンのInterstageがインストールされている必要があります。


サイト内の同名資源の扱い

ワークユニットなどのように名前を付けることができる資源は、配置先を分けることにより、サイト内に同名の資源を複数作成できます。このとき、資源名は同名でも別の資源として管理されます。
これにより、業務内容の異なる同名のワークユニットでも、同一サイト内で運用することができます。



リレーション

IJServerを多階層システムで運用する場合は、各階層のサーバ間の連携方式(リレーション)を以下の方式から選択します。

ライン型

ライン型は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと、後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを、1対1で関連付ける方式です。関連付けられる管理対象サーバは、サーバグループ内通番が同じ管理対象サーバです。業務データは、関連付けられたサーバ間で通信されます。
ライン型は、IJServerを運用する以下のサーバ間で指定できます。

  • Webサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間

  • ServletコンテナとEJBコンテナの間



注意

ライン型で1対1に関連付けられた管理対象サーバのうち、一方をサーバグループから削除した場合は、削除された管理対象サーバに割り当てられたグループ内通番が欠番となるため、関連付けが解除されます。ライン型のリレーションを選択したサーバグループ間で、関連付けられた対象が存在しない管理対象サーバは、一括操作によるIJServerワークユニットの起動/停止操作の対象外となります。


メッシュ型

メッシュ型は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと、後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを、網羅的にn対mで関連付ける方式です。業務データは、前段のサーバから後段のサーバ群に対し、分散して通信します。
メッシュ型は、IJServerを運用するWebサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間で指定できます。

Webサーバ(Webサーバコネクタ)からServletコンテナへのリクエストの振分けは、Webサーバごとに処理中のリクエストが最も少ないところに振り分けられます。ただし、セッション管理を使用している場合は、セッションを生成したServletコンテナと同じServletコンテナに以降のリクエストも振り分けられます。



IPCOMを使用する

IPCOMを使用して負荷分散を行う方式です。IPCOMを使用する場合は、前段のサーバグループに所属する管理対象サーバと後段のサーバグループに所属する管理対象サーバを、網羅的にn対mで関連付ける方式です。業務データは、前段のサーバから後段のサーバ群に対し、分散して通信します。
「IPCOMを使用する」は、以下のサーバ間で指定できます。

  • Webサーバ(Webサーバコネクタ)とServletコンテナの間

  • ServletコンテナとEJBコンテナの間



注意

ライン型、メッシュ型、およびIPCOMの使用は、サーバグループ間ごとに指定します。したがって、WebサーバとServletコンテナ間はメッシュ型で、ServletコンテナとEJBコンテナ間はライン型とするシステム構成を構築できます。


業務LANのIPアドレスと管理LANのIPアドレス

サイトに所属する管理対象サーバには、以下のIPアドレスを指定できます。

業務用のLANと管理用のLANを分けた環境を構築して、マルチサーバ管理機能を運用する場合は、各LAN上のIPアドレスを指定します。LANを分けない場合は、同一のIPアドレスを指定します。

IPアドレスの種類

説明

管理LANのIPアドレス

システムの運用管理のために使用するIPアドレスです。IPv4だけ指定可能です。管理サーバが管理対象サーバのInterstage JMXサービスに要求を送信するときに、宛先のIPアドレスとして使用します。
プロトコルは、以下から選択します。

  • RMI

  • HTTPS

管理サーバのInterstage管理コンソールを操作した場合や、Interstage管理コンソールを操作しているサーバ/管理サーバ上のIJServerの配備資源を配備する場合に使用されます。

業務LANのIPアドレス

業務で使用するためのIPアドレスです。IPv4だけ指定可能です。業務用のLANと管理用のLANを分ける場合は、業務用のLAN上のIPアドレスを指定します。
IJServerを運用する場合に使用します。多階層のサーバに跨ってIJServerを運用する場合などに、そのサーバ間の通信時に使用されます。


注意

管理対象サーバに複数のIPアドレスが存在する場合で、かつすべてのIPアドレスに対して、管理サーバからpingコマンドを実行しても接続できない場合は、管理対象サーバにおいてisjmxchangedefコマンドでInterstage JMXサービスをカストマイズする必要があります。isjmxchangedefコマンドの詳細については、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage JMXサービス運用コマンド」-「isjmxchangedef」を参照してください。


運用設計

Interstage管理コンソールは、以下のような開発や保守などのフェーズで使用します。

業務の定常運用では、Systemwalkerなどの運用管理製品を使用して、管理サーバやサイトに所属する管理対象サーバの運用操作および監視を行うことを推奨します。


サイトへのサーバ追加時の認証

サイトにサーバを追加する場合は、その操作者が追加対象サーバの管理者権限を持つ必要があります。権限に対する認証は、サーバ追加時に、追加対象サーバの管理者権限を持つユーザのユーザ名/パスワードを指定することにより行われます。サーバの追加が成功した場合は、管理サーバのInterstage管理コンソールにログインすることにより、追加したサーバ(管理対象サーバ)に対して操作することができるようになります。

注意

  • ユーザ名/パスワードには、JIS2004で追加された文字を含む文字列を指定できません。

  • サーバ追加時に本認証を行います。したがって、サーバ追加完了後は、指定したユーザ名/パスワードを変更しても問題ありません。