電子フォームに入力されたデータをWebアプリケーションで取得する方法を学習していきます。
■このステップの概要
電子フォームで入力されたデータを取得し、取得したデータを電子フォームに設定して再表示する処理を行うシステムを作ります。
ステップ2で使用した電子フォーム「Step2-1」を基にして、データを入力できる電子フォームを作成します。また、作成した電子フォームを基にして、入力データを表示するための電子フォームを作成します。
Webページは、ステップ2で使用したWebページを基にして作成します。
ステップ2で使用したWebアプリケーションを基にして、電子フォームを表示するWebアプリケーションを作成します。また、ステップ4で使用したWebアプリケーションを基にして、入力されたデータを取得して電子フォームを再表示するWebアプリケーションを作成します。
Webアプリケーション環境定義ファイルは、ステップ3で使用したWebアプリケーション環境定義ファイル「web.xml」を基にして作成します。
WARファイルによるWebアプリケーションの配備に対応しているアプリケーションの場合は、Webアプリケーションの配置を容易に行うことができるようにWARファイルを作成します。
(1) 電子フォームを作成する
ステップ2で使用した電子フォームを基にして、次に示す電子フォームを作成します。
データを入力するための電子フォーム
ステップ2で使用した電子フォームに、所属と氏名を入力するエディットボックスを作成します。
電子フォームデザイナで電子フォーム「Step2-1」を開きます。
スタティックテキスト項目を2個挿入して、「所属」および「氏名」という文字列を指定します。
タグ名および項目名が「所属」および「氏名」のテキスト項目を挿入します。
それぞれのテキスト項目のプロパティの[入力値チェック]タブで、[入力必須]チェックボックスをオンにします。
コマンドボタン項目のプロパティの[送信情報]タブで、送信先を「Step5_2」に変更します。
「Step5-1」という名前で保存します。
入力データを表示するための電子フォーム
電子フォーム「Step5-1」を基にして、入力領域を読み取り専用にした電子フォームを作成します。
電子フォームデザイナで電子フォーム「Step5-1」を開きます。
テキスト項目「所属」および「氏名」のプロパティで、次に示す設定情報を変更します。
タブ名 | 設定情報 | 指定内容 |
---|---|---|
入力種別 | 読み取り専用 | オン |
コマンドボタン項目「送信」を削除します。
「Step5-2」という名前で保存します。
(2) Webページを作成する
ステップ2で使用したWebページから起動するWebアプリケーションを「Step2_1」から「Step5_1」に変更します。変更したWebページを「Step5.htm」という名前で保存します。
変更する箇所を次に示します。変更する箇所は太字と下線で表しています。
Step5.htmの内容
<html> <head> <title>Step5 入力データを取得する</title> </head> <body> <h1>Step5 入力データを取得する</h1> <form action="servlet/Step5_1"> <input type="submit" name="送信" value="実行"> </form> </body> </html>
(3) Webアプリケーションを作成する
次に示すWebアプリケーションを作成します。
Webページから起動されるWebアプリケーション
電子フォームを表示するWebアプリケーションとして、「Step5_1」というクラスを作成します。ステップ2で使用したWebアプリケーションのクラス名を「Step5_1」に、電子フォーム名を「Step5-1」に変更します。
変更する箇所を次に示します。変更する箇所は太字と下線で表しています。
・ ・ ・ public class Step5_1 extends HttpServlet { public void doGet(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws IOException, ServletException ・ ・ ・ try { // OutputDataBuilderオブジェクトを生成します。 // 生成するときに電子フォーム名を指定します。 OutputDataBuilder odb = new OutputDataBuilder(request, "Step5-1"); ・ ・ ・
入力されたデータを取得して電子フォームに再表示するWebアプリケーション
ステップ4で使用したWebアプリケーションを基にして、入力されたデータを取得して電子フォームに再表示するWebアプリケーションとして「Step5_2」というクラスを作成します。
電子フォームに入力されたデータを取得するためのdoPost()メソッドを追加します。(1)で作成した電子フォームに入力されたデータは、次に示す構造のXMLデータになっています。
XMLデータを取得するには、InputDataBuilderクラスのgetXMLData()メソッドを使用します。取得したXMLデータから各項目のデータを取得するにはXmlDataAccessクラスを使用します。
次に示す流れで処理を行います。
InputDataBuilderオブジェクトを生成する
OutputDataBuilderオブジェクトを生成する
Webブラウザから送信されたXMLデータ(電子フォームに入力されたデータ)を取得する
XMLデータを使用してXmlDataAccessオブジェクトを生成する
取得したXMLデータから各項目のデータを取得する
取得したXMLデータをOutputDataBuilderオブジェクトに設定する
OutputDataBuilderクラスのwrite()メソッドを使用してWebブラウザへHTMLデータを送信する
Step5_2クラスのソースプログラム
import javax.servlet.http.HttpServlet; import javax.servlet.http.HttpServletRequest; import javax.servlet.http.HttpServletResponse; import org.w3c.dom.Document; import com.fujitsu.form.InputDataBuilder; import com.fujitsu.form.OutputDataBuilder; import com.fujitsu.form.XmlDataAccess; import java.io.IOException; import javax.servlet.ServletException; public class Step5_2 extends HttpServlet { public void doPost(HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws IOException, ServletException { try { // InputDataBuilderオブジェクトを生成します。 InputDataBuilder idb = new InputDataBuilder(request); // OutputDataBuilderオブジェクトを生成します。 OutputDataBuilder odb = new OutputDataBuilder(request, "Step5-2"); // 電子フォーム表示モードに環境定義モードを指定します。 odb.setDisplayMode(odb.DISPMODE_ENV); // コンテントタイプを設定します。 response.setContentType(odb.getContentType()); // Webブラウザから送信されたXMLデータを取得します。 Document idoc = idb.getXMLData(); // 取得したXMLデータからXmlDataAccessオブジェクトを生成します。 XmlDataAccess xda = new XmlDataAccess(idoc); // 所属を取得します。 String belong = xda.getValue("所属"); // 氏名を取得します。 String name = xda.getValue("氏名"); // 取得したXMLデータを初期値として設定します。 odb.setXMLData(xda.getDocument(), false); // HTMLデータを生成し、Webブラウザへ送信します。 odb.write(response.getOutputStream()); } catch (Exception e) { e.printStackTrace(); } } }
(4) Webアプリケーション環境定義ファイルを作成する
Webアプリケーション環境定義ファイル(deployment descriptor)を作成します。
ステップ3で作成した「web.xml」のWebアプリケーションのクラス名を「Step3_1」を「Step5_1」、「Step3_2」を「Step5_2」に変更します。
変更する箇所を次に示します。変更する箇所は太字と下線で表しています。
web.xmlファイルの内容
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE web-app PUBLIC "-//Sun Microsystems, Inc.//DTD Web Application 2.2//EN" "http://java.sun.com/j2ee/dtds/web-app_2.2.dtd"> <web-app> <servlet> <servlet-name>Step5_1</servlet-name> <servlet-class>Step5_1</servlet-class> </servlet> <servlet> <servlet-name>Step5_2</servlet-name> <servlet-class>Step5_2</servlet-class> </servlet> <servlet-mapping> <servlet-name>Step5_1</servlet-name> <url-pattern>/servlet/Step5_1</url-pattern> </servlet-mapping> <servlet-mapping> <servlet-name>Step5_2</servlet-name> <url-pattern>/servlet/Step5_2</url-pattern> </servlet-mapping> </web-app>
(5) Webサーバに配置する
(1)~(4)で作成したファイルをWebサーバに配置します。
配置するファイル | 配置する場所 |
---|---|
電子フォームのファイル
|
|
Webページのファイル |
|
Webアプリケーションをコンパイルしたクラスファイル
|
|
Webアプリケーション環境定義ファイル |
|
(6) WARファイルを作成する
アプリケーションサーバがWARファイルによるWebアプリケーションの配備に対応している場合、(5)で配置したファイルを使用して、WARファイルを作成します。jarコマンドを実行するために、Windowsの場合は、「コマンド プロンプト」を起動します。SolarisおよびLinuxの場合は、「端末エミュレータ」等を起動します。
Step5フォルダ配下に移動します。
次に示すコマンドを実行します。
|
「Step5.war」という名前でWARファイルを作成します。
次に示すコマンドを実行します。
jar cvf Step5.war *.htm WEB-INF |
(7) WARファイルを配備する
作成したWARファイルをアプリケーションサーバに配備します。配備の方法については、使用しているアプリケーションサーバのマニュアルを参照してください。
(8) 動作を確認する
Webブラウザで、アドレスに「http://localhost/Step5/Step5.htm」を指定して、[移動]ボタンをクリックします。
→Webページが表示されます。
[実行]ボタンをクリックします。
→電子フォームが表示されます。
データを入力して、[送信]ボタンをクリックします。
→次に示すメッセージが表示されます。
[OK]ボタンをクリックします。
→入力データが設定された電子フォームが表示されます。