以前のバージョン・レベルから改善されたInterstageディレクトリサービスの機能、および移行時の注意事項について説明します。
Interstage Application Server V10.0での変更内容
Interstage Application Server V10.0から、リポジトリ環境定義ファイルの定義項目「sym_dbport」は、以下のように変更となります。
リポジトリのデータベースにSymfoware/RDBを使用する場合は、Symfoware/RDBに接続するポート番号を必ず指定してください。
バージョン | 設定項目の詳細 |
---|---|
V9.x以前 | データベースのポート番号を指定します。1から65535までを指定することができます。 リポジトリのデータベースに「symfoware」を指定した場合にだけ有効です。省略した場合は「2050」が指定されたとみなします。 |
V10.0以降 | データベースのポート番号を指定します。1から65535までを指定することができます。 リポジトリのデータベースに「symfoware」を指定した場合にだけ有効です。省略できません。 |
参照
irepconfigコマンド、および、リポジトリ環境定義ファイルについては、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage ディレクトリサービス運用コマンド」を参照してください。
Interstage Application Server V10.0から、Windows Vista(R)以降のユーザアカウント制御(UAC)が有効である環境において、管理者権限で実行する必要があるコマンドを管理者権限以外で実行した場合、以下の動作に変更となります。
コマンド名 | コマンド実行時の動作 | |
---|---|---|
V9.x以前 | V10.0以降 | |
irepacl | エラーメッセージirep10176が出力されます。 | エラーメッセージirep10411が出力されます。 |
irepadmin | ||
irepconfig | ||
ireplist | ||
irepschema | ||
irepstart | ||
irepstop | ||
irepaddrole | エラーメッセージは、出力されません。 | エラーメッセージirep10411が出力されます。 |
irepencupin | ||
irepmodifyent | ||
irepeditent | エラーメッセージirep78903が出力されます。 | |
irepbacksys | エラーメッセージirep11017が出力されます。 | エラーメッセージirep11010が出力されます。 |
ireprestsys |
参照
上記のコマンドについては、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage ディレクトリサービス運用コマンド」/「バックアップコマンド」を参照してください。
上記のコマンドを管理者権限で実行する方法については、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「コマンドを使用する前に」-「Windows Vistaで使用する場合の注意事項」/「Windows Server 2008で使用する場合の注意事項」を参照してください。
Interstage Application Server V9.2での変更内容
標準データベース使用時、フィルタ条件「>=」、「<=」の動作がRDB使用時と異なっていたため、フィルタ条件の動作を変更できるように改善しました。
フィルタ条件 | V9.1以前 | V9.2以降 | ||
---|---|---|---|---|
標準DB | RDB | 標準DB | RDB | |
>= | より大きい | 以上 | 「より大きい」、「以上」のどちらかを選択 | 以上 |
<= | より小さい | 以下 | 「より小さい」、「以下」のどちらかを選択 | 以下 |
フィルタ条件の動作を変更する場合は、irepconfigコマンドでリポジトリの環境定義に「old_filterrule: no」を指定します。
参照
irepconfigコマンド、およびリポジトリの環境定義項目の詳細については、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage ディレクトリサービス運用コマンド」を参照してください。
Interstage Application Server V9.0での変更内容
標準データベース使用時、リポジトリの最適化で使用するコマンドのオプションを変更しています。
詳細は、「ディレクトリ運用サービスガイド」の「リポジトリの運用・保守」-「リポジトリの最適化」を参照してください。
Interstage Application Server V8.0での変更内容
使用するデータベースを変更する場合、エントリ情報を移行できません。このため、格納されているエントリ情報をLDIFファイルへ取り出し、新しい環境で資源を復元する必要があります。
移行するデータが存在するリポジトリに対して以下のコマンドを実行し、リポジトリのデータをLDIFファイルへ取り出します。コマンドの詳細については、旧バージョン・レベルの「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage ディレクトリサービス運用コマンド」を参照してください。
例
以下の例では、データをLDIFファイル「dir.ldif」へ取り出しています。
C:\Interstage\ID\Dir\sdk\C\bin\ldapsearch -h ホスト名 -p LDAPポート番号 -D DSAの管理者DN -w DSAの管理者DNのパスワード -b トップエントリ "(objectclass=*)" > dir.ldif
/opt/FJSVidsdk/C/bin/ldapsearch -h ホスト名 -p LDAPポート番号 -D DSAの管理者DN -w DSAの管理者DNのパスワード -b トップエントリ "(objectclass=*)" > dir.ldif
ldapsearchコマンドは、旧バージョン・レベルのInterstage ディレクトリサービスが動作するホスト上で実行してください。
本バージョン・レベルのInterstage ディレクトリサービスを構築するマシン上でリポジトリを作成します。リポジトリの作成は、Interstage管理コンソールを使用して、[システム] > [サービス] > [リポジトリ] > [新規作成]タブから行います。リポジトリの作成については、「ディレクトリサービス運用ガイド」の「環境構築」を参照してください。
なお、リポジトリ作成時に指定する[公開ディレクトリ]には、以下の値を指定してください。
公開ディレクトリ
旧バージョン・レベルのリポジトリで指定されていた公開ディレクトリを指定してください。
作成したリポジトリを起動します。リポジトリの起動は、Interstage管理コンソールを使用して、[システム] > [サービス] > [リポジトリ] > [リポジトリ:状態]画面から行います。
起動したリポジトリに対して以下のコマンドを実行し、旧バージョン・レベルのリポジトリから取り出したデータを本バージョン・レベルのリポジトリへ移入します。コマンドの詳細については、本バージョン・レベルの「リファレンスマニュアル(コマンド編)」の「Interstage ディレクトリサービス運用コマンド」を参照してください。
例
以下の例では、旧バージョン・レベルのリポジトリからLDIFファイル「dir.ldif」へ取り出したデータを移入しています。
C:\Interstage\bin\ldapmodify -h ホスト名 -p 通常ポート番号(またはSSLポート番号) -D リポジトリの管理者用DN -w リポジトリの管理者用DNのパスワード -c -a -f dir.ldif
/opt/FJSVirepc/bin/ldapmodify -h ホスト名 -p 通常ポート番号(またはSSLポート番号) -D リポジトリの管理者用DN -w リポジトリの管理者用DNのパスワード -c -a -f dir.ldif
通常ポート番号(またはSSLポート番号)、リポジトリの管理者用DNについては、リポジトリの作成時に指定した値を指定してください。または、Interstage管理コンソールのリポジトリタグで、作成したリポジトリの設定項目を確認してください。
ldapmodifyコマンドは、本バージョン・レベルのInterstage ディレクトリサービスが動作するホスト上で実行してください。
旧バージョンのInterstage ディレクトリサービスでは、InfoDirectory SDKを使用していましたが、Interstage Application Server 8.0からInterstage ディレクトリサービス SDKを使用するように変更しています。2つのSDKには、バイナリ互換がありませんので、C言語アプリケーションは、再コンパイルが必要です。また、一部の機能、インタフェースに変更があります。詳細は、「3.3.3.1 C言語アプリケーションの移行手順」を参照してください。
Java言語(JNDI)アプリケーションは、修正の必要はありません。
旧バージョン・レベルのInterstage ディレクトリサービスのLDAPコマンドでは、InfoDirectory SDKを使用していましたが、Interstage Application Server 8.0からInterstage ディレクトリサービス SDKを使用するように変更しています。LDAPコマンドにも変更がありますので、「3.3.3.3 LDAPコマンドの移行」で確認してください。
レプリケーション形態での、マスタのマシンとスレーブのマシンのInterstageは、同一のバージョン・レベルのものを使用してください。また、マスタのマシンとスレーブのマシンで使用するリポジトリのデータベースのタイプも同一にする必要があります。
エントリ管理ツールの「接続情報設定」はバックアップできません。新しい環境で再設定が必要です。