DSS ファイルシステムでは、以下に説明する機能によりファイルシステムアクセスを高速化しています。
DSS ファイルシステムでは、共用ディスク装置のファイルシステムを複数のノードからアクセスすることが可能です。従来の分散ファイルシステムでは、サーバからクライアントへファイルデータをネットワークによって転送していました。
しかし、DSS ファイルシステムでは、要求ノードから直接ディスクにアクセスします。これにより、ネットワーク負荷を軽減するだけでなく、読み出し・書き込み要求に対するレスポンス時間を NFS などに比べ短縮しています。
DSS ファイルシステムでは、ファイルデータに対して連続ブロックを割り当てることで、一括した I/O で処理できる機会を増やしファイルシステム性能を改善します。DSS ファイルシステムでは、このような割付管理のために、領域をエクステントベースで管理しています。連続獲得可能な範囲については、ファイルオフセット、開始ブロック番号、使用ブロック数の組で、領域割当てを管理しています。
また、ファイルサイズを拡張する場合にも、連続ブロックになるように考慮しています。
たとえば、図3.3では、100メガバイトのファイルシステムを作成した場合に、ディスクの空ファイルデータ領域の状態により、表が示すような形で記憶/管理しています。先頭の 64メガバイトには、64メガバイトの連続領域、その後ろ 64メガバイト ~ 96メガバイトのオフセット位置には 32メガバイトの連続領域、残りの 4メガバイト (96メガバイト ~ 100メガバイト) は 4メガバイトの連続領域です。
また、空ファイルデータ領域の管理もエクステントベースで行っています。これにより最適な空き領域を高速に割り当てることを実現しています。
DSS ファイルシステムでは、複数のパーティションを 1つのファイルシステムにまとめる機能を提供しています。
DSS ファイルシステムでは、パーティションを追加することによって、領域不足を容易に解消できます。
また、DSS ファイルシステムでは、マルチパーティション構成の場合、ファイルごとに別々のパーティションからファイルデータ領域を使用するラウンドロビンアロケーション方式を採用しています。これにより、複数のディスクに I/O 負荷を分散できファイルシステム性能を改善します。
DSS ファイルシステムでは、メタデータのキャッシュ管理を独自に構築しています。従来からある多くのファイルシステムではメタデータについては一様にキャッシュ管理していました。しかし、DSS ファイルシステムでは、ディスクの iノード、ディレクトリブロック、間接ブロックなどの領域を、アクセスの性質を考慮して、別々に管理しています。これにより、キャッシュヒット率の向上と、使用資源量の削減を実現しました。