GDS Snapshotと連携せず、AdvancedCopy Managerの機能だけで行う運用です。論理ボリュームがどの物理ボリュームから構成されているかを把握した設計・運用が必要です。
図4.12 スライス単位のバックアップ運用
AdvancedCopy Managerコマンドに指定する場合は、論理ボリューム名とAdvancedCopy Managerデバイス名を組み合わせた以下の形式の名前を使用します。詳細は、「1.5.2 PRIMECLUSTER GDSのSDXオブジェクト」を参照してください。
/dev/sfdsk/クラス名/dsk/ボリューム名:(ボリュームを構成するデバイス名) |
注意
SDXオブジェクトの運用上の注意点は、「11.1.5 SDXオブジェクト運用の注意(バックアップ管理)」、「11.1.6 SDXオブジェクト運用の注意(レプリケーション管理)」を参照してください。
筐体間ミラーを行っている場合、筐体障害の場合も、OPCによりリストアする必要があるときは、ミラーの両系をバックアップする必要があります。この場合、バックアップボリュームは、論理ボリュームの容量ではなく、物理ボリュームの容量分が必要です。
SymfowareのDBSPを筐体間ミラーしている場合、業務ボリュームとしてはどちらか一方の筐体にあるボリュームしか登録できません。したがって、バックアップ運用している筐体が筐体障害となった場合は、筐体障害から回復するまでバックアップ/リカバリができません。
スライス単位の運用において、使用可能なSDXオブジェクトは以下のとおりです。
シングルボリューム
階層化されていないミラーボリューム
ポイント
使用しているボリュームが、シングル、ミラー、ストライプ、コンカチネーション、スイッチのうち、どれに該当するかは、“sdxinfo -e long”を実行したときに表示される、ボリュームのタイプ属性(OBJ欄にvolumeと表示されている行のTYPE欄の値)で判断できます。
【ボリュームオブジェクトのタイプ属性】
single : シングルボリューム(運用可能)
mirror : ミラーボリューム(運用可能)
stripe : ストライプボリューム(運用不可)
concat : コンカチネーショングループ内のボリューム(運用不可)
switch : スイッチボリューム(運用不可)
バックアップ運用の設計を行う場合の注意事項は、「11.1.5 SDXオブジェクト運用の注意(バックアップ管理)」を参照してください。
バックアップ運用を行うサーバをStorageサーバとして登録し、Storageサーバ配下のデバイスの情報を取得します。
デバイス情報の取得方法は、「4.4.5 Storageサーバ配下のデバイス情報の取り込み」を参照してください。
業務ボリューム
業務で使用している論理ボリュームを構成するスライスを、業務ボリュームとして登録します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01:sda swstdevinfoset completed # |
バックアップボリューム
SDXオブジェクトのスライスをバックアップボリュームに登録することはできません。
一般スライスのバックアップボリュームを使用します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/sdd6 swstdevinfoset completed # |
バックアップの例
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01:sda /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01:sda swstbackup completed # |
バックアップ時の状態
バックアップを実行できるのは、論理ボリュームを構成するSDXオブジェクトの状態が以下の状態になっている場合です。
これ以外の状態になっている場合は、バックアップを実行することはできません。
SDXオブジェクトの状態は、PRIMECLUSTER GDSのsdxinfoコマンドを用いてAdvancedCopy Managerが確認します。
ボリュームの状態が、“ACTIVE(起動中)”またはSTOP(停止)のとき
物理ディスクの状態が、“ENABLE(動作可)”のとき
スライスの状態が、“ACTIVE(起動中)”または“TEMP(切り離し中)”のとき
バックアップの前後処理
次のような場合、前後処理スクリプトは実行されません。
SDXオブジェクトのスライスがTEMP
スライス単位の運用時、業務ボリュームがシングルボリュームの場合のみリストアが可能です。
シングルボリューム以外のSDXオブジェクトにはリストアはできません。
シングルボリューム以外のSDXオブジェクトのリストア方法は、「11.1.5 SDXオブジェクト運用の注意(バックアップ管理)」を参照してください。
リストアの例
# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01:sda /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01:sda swstrestore completed # |