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Interstage Application Server/Interstage Web Server Java EE運用ガイド

5.8.1 コマンドによる振り分け操作と状態表示

Webサーバコネクタでは、各IJServerクラスタに対しリクエスト振り分け制御を行っています。
以下のコマンドを使用することにより、WebサーバコネクタにおけるIJServerクラスタのリクエスト振り分け制御状態(振り分け対象にする/しない)の変更や、現在のリクエスト振り分け制御状態の表示ができます。
例えばWebアプリケーションの定期保守、ネットワーク障害やマシンのハード障害などの場合に当該IJServerクラスタ(または当該マシン)を一時的にリクエスト振り分け対象から外し、保守完了後や障害対処後に振り分け対象に戻します。この操作により、安定かつ継続的なシステムの運用ができます。

振り分け操作コマンドで指定するIJServerクラスタのIPアドレスまたはIPアドレス:ポート番号は、事前に振り分け状態表示コマンドを使用して確認します。振り分け状態表示コマンドで表示されたIPアドレスまたはIPアドレス:ポート番号だけで操作可能です。
各コマンドの詳細は、「リファレンスマニュアル(コマンド編)」を参照してください。

ポイント

Webサーバコネクタから各IJServerクラスタへのリクエスト振り分けは処理中リクエストが最も少ないところに振り分けられます。ただし、Webアプリケーションでセション管理を使用している場合には、セションを生成したIJServerクラスタと同じIJServerクラスタに以降のリクエストも振り分けられます。

以下に運用パターンの例を示します。サーバマシンの構成とコマンドパラメータの指定方法によって様々な運用パターンがあります。

パターン1:マシン単位の振り分け操作

マシンの保守を行う場合やマシンのハード障害が発生した場合などにマシンへの振り分けを制御するには、以下のように運用します。

IPアドレス123.123.123.110のマシン(マシン1)とIPアドレス123.123.123.111のマシン(マシン2)をそれぞれ2つのIJServerクラスタ(IJServerA、IJServerB)で構成しています。
IJServerAにはapl01、IJServerBにはapl02のWebアプリケーションを配備しています。
マシン1を停止するため、IPアドレス123.123.123.110を振り分け対象からはずして運用します。

ijsdispatchcont OFF 123.123.123.110

負荷分散のためマシン1とマシン2に振り分けられていたapl01、apl02は共にマシン2だけでの運用になります。



マシン1復旧時には、以下のコマンドで振り分け対象に戻します。

ijsdispatchcont ON 123.123.123.110


パターン2:IJServerクラスタ単位の振り分け操作(1)

Webアプリケーションの保守を行う場合などにIJServerクラスタへの振り分けを制御するには、以下のように運用します。

パターン1同様、IPアドレス123.123.123.110のマシン(マシン1)とIPアドレス123.123.123.111のマシン(マシン2)をそれぞれ2つのIJServerクラスタ(IJServerA、IJServerB)で構成しています。
IJServerAにはapl01、IJServerBにはapl02のWebアプリケーションを配備しています。
マシン1のIJServerAを停止するため、振り分け対象からはずして運用します。

ijsdispatchcont OFF 123.123.123.110:9000

負荷分散のためマシン1とマシン2に振り分けられていたapl01はマシン2だけでの運用となります。apl02は変わらずマシン1とマシン2に振り分けられます。



マシン1のIJServerA復旧時には、以下のコマンドで振り分け対象に戻します。

ijsdispatchcont ON 123.123.123.110:9000


パターン3:IJServerクラスタ単位の振り分け操作(2)

IJServerクラスタのサーバーインスタンスが2つ以上の場合で、Webアプリケーションの保守を行うためIJServerクラスタへの振り分けを制御するには、以下のように運用します。

IPアドレス123.123.123.110のマシン(マシン1)とIPアドレス123.123.123.111のマシン(マシン2)をそれぞれ2つのIJServerクラスタ(IJServerA、IJServerB)で構成しています。
IJServerAのサーバーインスタンスを2つ作成し、2つのWebコンテナ(コンテナα、コンテナβ)を起動しています。IJServerAにはapl01、IJServerBにはapl02のWebアプリケーションを配備しています。
マシン1のIJServerAを停止するため、振り分け対象からはずして運用します。Webコンテナ数分の振り分け操作コマンドを実行します。

ijsdispatchcont OFF 123.123.123.110:9000
ijsdispatchcont OFF 123.123.123.110:9001

負荷分散のため、マシン1のコンテナα、コンテナβとマシン2のコンテナα、コンテナβに振り分けられていたapl01は、マシン2のコンテナα、コンテナβでの運用となります。apl02は変わらず、マシン1のIJServerBとマシン2のIJServerBに振り分けられます。



マシン1のIJServerA復旧時には、以下のコマンドで振り分け対象に戻します。

ijsdispatchcont ON 123.123.123.110:9000
ijsdispatchcont ON 123.123.123.110:9001


パターン4:IJServerクラスタの接続抑止

IJServerクラスタ側のマシンが1台の構成の場合でWebアプリケーションの保守を行うためIJServerクラスタへの接続を抑止するには、以下のように運用します。

IPアドレス123.123.123.110のマシンを2つのIJServerクラスタ(IJServerA、IJServerB)で構成しています。
IJServerAにはapl01、IJServerBにはapl02のWebアプリケーションを配備しています。
IJServerAを停止するため、振り分け対象からはずして運用します。

ijsdispatchcont OFF 123.123.123.110:9000

振り分け対象がIJServerAだけだったapl01は処理不可となります。apl02は変わらずIJServerBでの処理が可能です。
※)apl01のように振り分け先が1つも存在しなくなった場合は、リクエスト時にHTTPステータスコード503(Service Temporarily Unavailable)をWebブラウザへ返却します。



IJServerA復旧時には、以下のコマンドで振り分け対象に戻します。

ijsdispatchcont ON 123.123.123.110:9000