本製品は、サーバシステムの運用性と可用性の向上を実現するサーバ管理ソフトウェアです。物理サーバやサーバ仮想化ソフトウェア(VMwareなど)による仮想サーバを一括して管理できます。
本製品で提供する機能は、管理対象のハードウェア環境によって異なります。詳細については、「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の「1.2 ハードウェア環境」の「注意」を参照してください。
本製品には、以下のような特長があります。
物理サーバと仮想サーバの一括運用
物理サーバと仮想サーバの関係を自動的に取得して管理します。GUIで以下のように表示することで、サーバの構成の管理、故障の監視、および問題が発生した際の影響や原因の特定を支援します。
シャーシ、サーバなどのハードウェアと、サーバ上で動作しているOS(物理OS、VMホスト、VMゲスト)の関係をツリー構造で表示します。
これによりシャーシ、サーバ、OSの関連性を簡単に確認できます。
サーバのハードウェアリソースの稼動状態を監視し、状態に応じたアイコンで表示します。
また、物理サーバと仮想サーバを、同じ操作方法で管理できます。リソースを登録したあとは、物理サーバのモデル、サーバ仮想化ソフトウェアの種類、および物理/仮想の違いを意識する必要はありません。
故障サーバの自動リカバリ
管理対象サーバに事前に予備サーバを指定しておくことで、サーバが故障したときに、自動的に予備サーバへ切り替えて起動させる機能です。
予備サーバへの切替え方式は、ブートディスクの接続方式に応じて、以下の3種類があります。
バックアップ・リストア
サーバが、内蔵ディスク上にあるブートディスクから起動するローカルブート環境の場合、事前にシステムディスクのバックアップを作成しておくことで、サーバ故障時に予備サーバへのリストアと起動を自動的に行います。
HBA address rename
サーバがSANストレージ装置上にあるブートディスクから起動するSANブート環境の場合、事前にHBA address renameによるI/O仮想化(*1)によってサーバのI/Oアダプタ(HBA)に設定したWWN(World Wide Name)を予備サーバに引き継ぎ、ブートディスクを予備サーバに接続して起動します。
VIOMサーバプロファイル切替え【Windows】
サーバがSANまたはLANに接続されているストレージ装置上にあるブートディスクから起動するブート環境の場合、事前にVIOMによるI/O仮想化(*1)によってサーバプロファイルに設定したWWN(World Wide Name)、MACアドレス、ブート設定およびネットワーク設定を予備サーバに引き継ぎ、ブートディスクを予備サーバに接続して起動します。
サーバプロファイルについては、ServerView Virtual-IO Managerのマニュアルを参照してください。
*1: 「I/O仮想化」を参照してください。
LANスイッチに以下の設定がされている場合は、予備サーバへの切替え時にLANスイッチの設定変更も自動的に行います。
VLAN
ポートグループ(PRIMERGY BX900シリーズのLANスイッチブレードのIBPモードの場合)
予備サーバは、業務や運用形態(物理サーバと仮想サーバが混在する環境)に関係なく、共通のサーバを指定し、共有化を図れます。
また、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能と組み合わせることで、物理サーバと仮想サーバで1台の予備サーバを共有できます。
なお、自動リカバリは、クラスタソフトウェア(PRIMECLUSTERなど)と比べて以下の違いがあります。
異常の検出範囲
サーバ管理ソフトウェア(ServerView Agent)とサーバ管理装置(マネジメントブレード、マネジメントボードまたはリモートマネジメントコントローラ)で検知可能なハードウェア故障を検出します。システムのスローダウンやハングアップは検出できません。
サーバの導入と設定の自動化
サーバ導入・設定の操作を簡易化する、以下の3つの機能があります。
クローニングによるサーバ導入
クローニングは、1台のサーバのシステムディスクの内容から作成したクローニングマスタを、他の物理サーバに配付する機能です。クローニングマスタは、サーバごとのネットワーク固有情報(ホスト名、IPアドレスなど)を無効化しており、配付する際に自動的に配付先サーバにネットワーク固有情報を設定します。これに基づいて、同じOSとソフトウェアを使用するサーバの複製を作れます。
I/O仮想化によるサーバ導入の簡易化
HBA address renameによるI/O仮想化(*1)で、サーバ導入作業から独立して事前にストレージを設定しておくことができます。サーバ導入時にはストレージ管理者に依頼しなくても、サーバの導入・設定を行えます。
*1: 「I/O仮想化」を参照してください。
一括設定によるサーバ導入
一括設定は、本製品を使用するうえで必要な環境設定情報を構成定義ファイルとして事前に定義し、本製品の画面から読み込むことで、複数のリソースの設定を一度にまとめて行える機能です。
構成定義ファイルはCSV形式であり、本製品がインストールされていない環境でも編集できます。
サーバ保守の簡易化
交換するサーバの特定や、交換後の運用作業を支援する以下の機能があります。
故障サーバのメンテナンスLEDを点灯します。 (*1)
*1: 使用しているハードウェアによって利用できないことがあります。詳細については、「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の「1.2 ハードウェア環境」の「注意」を参照してください。
HBA address renameやVIOMによるサーバのI/O仮想化(*1)を利用し、交換したサーバのWWNの定義を自動的に変更するため、SANブート環境のサーバの場合は、ストレージの設定は必要ありません。
さらに、VIOMはMACアドレス、ブート設定およびネットワーク設定の定義も自動的に変更するため、MACアドレスを参照するソフトウェアやネットワーク機器の設定変更も必要ありません。
*1: 「I/O仮想化」を参照してください。
ローカルブート環境のサーバの場合は、事前にシステムイメージをバックアップしておくことで、交換後のサーバ設定を簡単に行えます。
サーバ監視の簡易化
PRIMERGY BXシリーズのサーバを管理対象にしている場合、サーバの状態や日常の運用操作を簡単にできるブレードビューアを提供しています。ブレードビューアではブレードサーバの物理ビューに近い形式でサーバの状態が表示され、直感的な操作でサーバの運用管理ができます。ブレードビューアには以下のような特長があります。
実際のサーバブレードの搭載状態をGUI表示で確認できます。
各サーバブレードの電源ON/OFFの状態が直感的に表示されます。また、直感的な操作で電源ON/OFF操作ができます。
各サーバブレードでどの業務が動作しているかを直感的に見られます。サーバブレードにハード障害が発生したときに、どの業務に影響があるかを簡単に把握できます。
ネットワーク監視の簡易化
PRIMERGY BXシリーズでは、サーバとLANスイッチで構成される物理ネットワークと、VLANやサーバ仮想化ソフトウェア内の仮想スイッチで仮想化された論理ネットワークをシームレスに対応付けて可視化できる、ネットワークマップを提供しています。ネットワークマップには、以下のような特長があります。
ネットワーク機器やサーバ仮想化ソフトウェアの種別にかかわらず、接続関係(トポロジ)と結線の状態を自動的に収集して可視化できます。
仮想ネットワークと物理ネットワークの整合性や、障害発生時の物理と仮想を含む影響範囲の確認が簡単にできます。
ネットワーク管理者とサーバ管理者が異なる環境では、ネットワークマップの表示内容を使用して両者が会話することで、円滑な調整を行えます。
消費電力の監視
電力監視デバイス(PDUやUPS)に接続された機器、または電力監視をサポートした機器の消費電力の動向を監視できます。定期的に採取された消費電力データを、CSV形式のファイルまたはグラフとして出力できます。
VMゲストの配置変更
VM管理製品(VMware vCenter Serverなど)またはVMホスト(Citrix XenServerなど)と連携することで、VMゲストを物理サーバ間で移動する操作(マイグレーション)を本製品から行えます。
負荷に応じてVMゲストを一部のサーバに集めることで、不要なサーバやシャーシを停止して消費電力を削減できます。
保守中のサーバからVMゲストを移動させ、保守中も業務を継続できます。
I/O仮想化
サーバのI/Oアダプタ(HBA)は、出荷時に世界で唯一の物理アドレスWWN(World Wide Name)が付与され、ストレージネットワーク側からサーバを識別するために利用されています。このため、従来、サーバの増設、保守(交換)およびサーバ切替え時に、必ずストレージネットワーク側のWWNの設定変更が必要でした。本製品では、このWWNの代わりに、サーバの運用に合わせたWWNをサーバ側に設定し、サーバ側でI/O制御を可能とする2つのI/O仮想化技術(HBA address renameとVIOM)を取り入れています。
VIOMでは、ネットワークアダプタ(NIC)のMACアドレス、ブート設定およびネットワーク設定についても仮想化できるため、MACアドレスを参照するソフトウェアやネットワーク機器についても、設定を変更する必要はありません。
注意
HBA address renameを利用するには、"I/O仮想化オプション"が必要です。
VIOM連携を利用するには、本製品の管理サーバ上に、ServerView Virtual-IO Managerのインストールが必要です。