AdvancedCopy Managerは、Windows Server 2008上の Exchange Server 2007データベース(以降、“Exchangeデータベース”と呼びます)をバックアップ/リストアする機能を提供します。
注意
Windows Server 2008 R2上では、 Exchangeデータベースのバックアップ/リストアは未サポートです。
富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchangeデータベースの高速オンラインバックアップを実現します。
Exchangeデータベースのバックアップデータには、Exchangeデータベースを構成する以下のファイルのバックアップが含まれます。
EDBファイル(データベースファイル)
データベースはEDBファイルだけで構成されます。各インフォメーションストアにEDBファイルが1つ存在します。
LOGファイル(トランザクションログファイル)
トランザクションログが格納されています。ストレージグループごとに少なくとも1つ存在します。
CHKファイル(チェックポイントファイル)
トランザクションログのうち既にデータベースにコミット済みの最新のトランザクションを指すチェックポイントファイルです。ストレージグループごとに1つ存在します。
オンラインバックアップ
VSSと連携することによりExchangeデータベースのオンラインバックアップを行います。
バックアップはストレージグループ(1つのトランザクションログを共有するExchangeデータベースのグループ)単位で行われます。メッセージングサービスを停止することなくバックアップ処理が実施されるため、バックアップ処理中もストアにアクセスすることができます。
バックアップデータの検証(ESEUTIL)やログ削除の処理は、オンラインバックアップ処理の一部として実施されるため、バックアップの実行後にこれらの作業を実施する必要はありません。
アドバンスト・コピー(OPC、QuickOPC)によるバックアップ
アドバンスト・コピー(OPC、QuickOPC)により、Exchangeサーバに負担をかけずに瞬時にバックアップを作成します。
アドバンスト・コピーはETERNUS VSS Hardware Provider(以降 VSSHPと呼びます)により実行されます(※)。
ストレージグループの構成ファイル(*.edb、*.log、*.chk)がバックアップボリュームにコピーされます。
※本機能ではETERNUS VSS Hardware Provider 1.3.1だけを使用し、他社のプロバイダおよびAdvancedCopy Manager のWindows Server 2003向けパッケージに同梱されているETERNUS/GR用ハードウェアプロバイダは使用しません。
注意
Exchange Server 2007の場合、EC/RECによるバックアップは未サポートです。
バックアップサーバへのバックアップ
VSSのシャドウコピーのトランスポート(輸送)機能を使用することにより、バックアップサーバに接続されたディスク上にバックアップ(シャドウコピー)を作成します。これにより、Exchangeサーバに負荷をかけることなくテープへのバックアップを行うことができます。
図9.30 Exchangeデータベースのバックアップの処理イメージ
サーバ | コンポーネント | 説明 |
---|---|---|
Exchangeサーバ | Exchangeライタ | Exchangeライタ。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。Exchangeのバックアップ/リストア機能を提供します。 | |
ETERNUS VSSHP | ETERNUS VSS Hardware Provider。アドバンスト・コピー機能によるシャドウコピー作成機能を提供します。 | |
バックアップサーバ | ESEUTIL | Exchangeデータベースの整合性検証・修復ユーティリティ。 バックアップデータの整合性確認のため、ACMリクエスタによって使用されます。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。Exchangeサーバ上のACMリクエスタからの指示によりシャドウコピーの管理(状態確認、削除)を行います。 | |
ETERNUS VSSHP | ETERNUS VSS Hardware Provider。アドバンスト・コピー機能によるシャドウコピー作成機能を提供します。 |
富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchangeデータベースのオンラインバックアップデータからのリストアを実現します。
図9.31 Exchangeデータベースのリストアの処理イメージ
※VSSではリストア処理のファイルコピーではプロバイダは使用せず、リクエスタが必要なファイルをリストアします。
リクエスタは既存機能(12.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド))を使用してリストアを行います。
オンラインバックアップデータからのリストア
VSSと連携することによりオンラインバックアップデータからのリストアを行います。
バックアップと同様、リストアはストレージグループ単位で行います。リストア処理中は全てのデータベース(ストア)はディスマウントされます。
リストア方式としてロールフォワードリストア(最新時点への復旧)とPoint-in-Timeリストア(バックアップ時点への復旧)をサポートします。
オンラインバックアップデータがテープ媒体上に存在する場合は、事前にバックアップディスク上にデータをリストアする必要があります。
注意
Exchange Server 2007では元のパスとは異なる場所へリストアする機能がサポートされていますが、この機能はAdvancedCopy Managerではサポートされません。すなわち、AdvancedCopy Managerで選択可能なリストア先は元のディスクのみです。
OPCによる高速リストア
リストアにおいてもアドバンスト・コピー(OPC)を使用することによって、Exchangeサーバに負担をかけることなく、迅速な業務再開を実現します。
OPCはAdvancedCopy Managerの従来機能(12.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド))により実行されます。
OPCの論理コピーの実行後からログ適用、マウントが可能になるため、OPC物理コピーが完了するのを待つことなく迅速な業務再開が可能です。
図9.32 スナップショット型リストア(OPCによるリストア)
注意
Exchange Server 2007の場合、EC/RECによるリストアは未サポートです。
Point-in-timeリストアでは、Exchange データベースとログファイルのリストアを行い、データベースをバックアップ時点の状態に復旧します。バックアップ後に作成されたデータはリストアされません。
ロールフォワードリストアでは、前回のバックアップデータと現在残っているトランザクションログを使用することにより、データベースを最新時点まで復旧します。この方式は、データベースは破損しているがログファイルは正常である場合に使用できます。データベースとログファイルが両方破損している場合は、使用できません。