AdvancedCopy Managerは、Microsoft Exchange Serverのデータベース(以降 Exchangeデータベースと呼びます)をバックアップ/リストアする機能を提供します。
富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchangeデータベースの高速オンラインバックアップを実現します。
Exchangeデータベースのバックアップデータには、Exchangeデータベースを構成する以下のファイルのバックアップが含まれます。
EDBファイル/STMファイル(データベースファイル)
Exchange Server 2003の場合
EDBファイル/STMファイルの対でデータベースを構成します。各インフォメーションストアにEDBファイルとSTMファイルが1つずつ存在します。
Exchange Server 2007の場合
データベースはEDBファイルだけで構成されます(STMファイルは存在しません)。各インフォメーションストアにEDBファイルが1つ存在します。
LOGファイル(トランザクションログファイル)
トランザクションログが格納されています。ストレージグループごとに少なくとも1つ存在します。
CHKファイル(チェックポイントファイル)
トランザクションログのうち既にデータベースにコミット済みの最新のトランザクションを指すチェックポイントファイルです。ストレージグループごとに1つ存在します。
オンラインバックアップ
VSSと連携することによりExchangeデータベースのオンラインバックアップを行います。
バックアップはストレージグループ単位で行われます。メッセージングサービスを停止することなくバックアップ処理が実施されるため、バックアップ処理中もストアにアクセスすることができます。
バックアップデータの検証(ESEUTIL)やログ削除の処理は、オンラインバックアップ処理の一部として実施されるため、バックアップの実行後にこれらの作業を実施する必要はありません。
アドバンスト・コピー(OPC/EC、REC、QuickOPC)によるバックアップ
アドバンスト・コピー(OPC/EC、REC、QuickOPC)により、Exchangeサーバに負担をかけずに瞬時にバックアップを作成します。
アドバンスト・コピーはETERNUS/GR用ハードウェアプロバイダにより実行されます。(※)。
ストレージグループの構成ファイル(*.edb、*.stm、*.log、*.chk)がバックアップボリュームにコピーされます。
※本機能ではETERNUS/GR用ハードウェアプロバイダだけを使用し、他社のプロバイダは使用しません。
注意
本機能ではRECを以下の動作モードで実行します。
転送モード=同期
Splitモード=Automatic Split
Recoveryモード=Automatic Recovery
Exchange Server 2007の場合、EC/RECによるバックアップはサポートされません。
バックアップサーバへのバックアップ
VSSのシャドウコピーのトランスポート(輸送)機能を使用することにより、バックアップサーバに接続されたディスク上にバックアップ(シャドウコピー)を作成します。これにより、Exchangeサーバに負荷をかけることなくテープへのバックアップを行うことができます。
図9.1 Exchangeデータベースのバックアップの処理イメージ
サーバ | コンポーネント | 説明 |
---|---|---|
Exchangeサーバ | Exchangeライタ | Exchangeライタ。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。Exchangeのバックアップ/リストア機能を提供します。 | |
ETERNUSプロバイダ | ETERNUS/GR用ハードウェアプロバイダ。アドバンスト・コピー機能(OPC/EC、REC、QuickOPC)によるシャドウコピー作成機能を提供します。 | |
バックアップサーバ | ESEUTIL | Exchangeデータベースの整合性検証・修復ユーティリティ。 バックアップデータの整合性確認のため、ACMリクエスタによって使用されます。 |
ACMリクエスタ | AdvancedCopy Managerが提供するExchange用リクエスタ。Exchangeサーバ上のACMリクエスタからの指示によりシャドウコピーの管理(状態確認、削除)を行います。 | |
ETERNUSプロバイダ | ETERNUS/GR用ハードウェアプロバイダ。コピー先ディスク(LUN)の管理を行います。 |
富士通ストレージシステム ETERNUSのアドバンスト・コピー機能をVSSと連携させることにより、Exchangeデータベースのオンラインバックアップデータからのリストアを実現します。
オンラインバックアップデータからのリストア
VSSと連携することによりオンラインバックアップデータからのリストアを行います。
バックアップと同様、リストアはストレージグループ単位で行います。リストア処理中は全てのデータベース(ストア)はディスマウントされます。
リストア方式としてロールフォワードリストア(最新時点への復旧)とPoint-in-Timeリストア(バックアップ時点への復旧)をサポートします。
オンラインバックアップデータがテープ媒体上に存在する場合は、事前にバックアップディスク上にデータをリストアする必要があります。
注意
Exchange Server 2007では元のパスとは異なる場所へリストアする機能がサポートされていますが、この機能はAdvancedCopy Managerではサポートされません。すなわち、AdvancedCopy Managerで選択可能なリストア先は元のディスクのみです。
OPC/EC/RECによる高速リストア
リストアにおいてもアドバンスト・コピー(OPC/EC/REC)を使用することによって、Exchangeサーバに負担をかけることなく、迅速な業務再開を実現します。
OPCはAdvancedCopy Managerの従来機能(12.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド))により実行されます。
OPCの論理コピーの実行後からログ適用、マウントが可能になるため、OPC物理コピーが完了するのを待つことなく迅速な業務再開が可能です。
EC/RECを使用してリストアを行う場合、ディスクの全データがコピーされるのを待つ必要があるため、業務再開までの運用停止時間はOPCでリストアを行う場合よりも長くなります。したがって、OPCが使用できるのであればOPCでリストアを行うことを推奨します。
EC/RECのサスペンドはAdvancedCopy Managerの従来機能(12.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド))により実行されます。
EC/RECのサスペンド後からログ適用、マウントが可能になります。
図9.2 Exchangeデータベースのリストアの処理イメージ
※VSSではリストア処理のファイルコピーではプロバイダは使用せず、リクエスタが必要なファイルをリストアします。
リクエスタは既存機能(12.4.2.1 swsrpstartsync(複製開始コマンド)、12.4.2.2 swsrpmake(複製作成コマンド))を使用してリストアを行います。
図9.3 スナップショット型リストア(OPCによるリストア)
図9.4 同期型リストア(EC/RECによるリストア)
Point-in-timeリストアでは、Exchange データベースとログファイルのリストアを行い、データベースをバックアップ時点の状態に復旧します。バックアップ後に作成されたデータはリストアされません。
ロールフォワードリストアでは、前回のバックアップデータと現在残っているトランザクションログを使用することにより、データベースを最新時点まで復旧します。この方式は、データベースは破損しているがログファイルは正常である場合に使用できます。データベースとログファイルが両方破損している場合は、使用できません。