AdvancedCopy ManagerのECは、コピー元ボリュームの同期コピーを作成するために、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームを同期化させるプロセスを起動します。同期化の目的は、一時コピーの作成やバックアップのアーカイブを行うために、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームを等価状態にして維持することです。
コピーは、同期プロセスを使用して構築されますが、コピー元ボリュームでは、業務を停止したり中断したりする必要がないので、業務の運用とアクセスは継続されます。
ECにより等価状態に達すると、コピー先ボリュームは、コピー元ボリュームのイメージとして維持されます。
コピー元ボリュームとコピー先ボリュームが等価状態になると、コピー先はコピー元から分離できます。その時点で、履歴または複製コピーのバックアップが作成されます。
ECは、以下の場合に効果的に使用できます。
通常業務と並行してバックアップデータを採取できるため、従来型のバックアップ処理に比べ、大幅に処理時間を短縮できます。
コピーデータを利用した分散処理により、処理時間の短縮・コスト削減も可能です。
図2.5 Equivalent Copy (EC)
ECによるSuspend(一時停止)/Resume(再開)機能は、ECの同期化を使用して初期コピーを作成した後、バックアップを作成するときに使用します。この時点で、コピー元ボリュームとコピー先ボリューム(同期ボリュームペア)が等価状態になります。
ECセッションは、Suspendオプションを使用することで一時停止できます。その際、ECセッションからコピー先ボリュームが切り離されます。切り離されたコピー先ボリュームは、履歴情報を持つバックアップ、またはアーカイブ装置に続けてコピーするコピー元ボリュームとして、使用することができます。ここで切り離されたコピーデータは、マウントして他のアプリケーションに利用することができます。
ECセッションが一時停止されている間のコピー元ボリュームの変更は、すべて記録され、ECが再開されると、コピー先ボリュームに変更が適用されます。
これにより、同一のコピー先ボリュームが、毎回バックアップごとにベースとして再利用できるので、バックアップにかかる時間が短縮されます。
Resumeオプションは、コピー元ボリュームとコピー先ボリュームの同一ペアを再同期させます。その際、コピー元ボリュームに対するトラッキング履歴は、再度、等価状態を保つために、コピー先ボリュームに適用されます。
SuspendとResumeは、必要な限り、何回でも同期ボリュームペアとして実行できます。
図2.6 Suspend/Resume機能 (EC)
RECは、以下の環境下でECを実現します。
異なるETERNUS ディスクアレイ間の各ボリュームが、同一のStorageサーバを共有する場合に実行可能です。ETERNUS ディスクアレイは、同一SAN内に存在していれば、地理的に離れた場所でも実行可能です。
異なるStorageサーバ間かつ異なるETERNUS ディスクアレイ間の場合、レプリケーション処理のみ実行可能です。
RECには、同期方式と非同期方式の2種類の転送モードがあります。
同期方式では、コピー先データが常にコピー元データと合致することが保証されます。
非同期方式では、通常、以下の場合で使用します。
装置間で大幅な通信遅延がある場合
サーバとコピー元データ間での書き込み性能に影響を及ぼしたくない場合
非同期方式には、2つの主要なサブモードがあり、データボリュームの処理やコピー元とコピー先との間の帯域によってデータ転送を大幅にコントロールできます。
非同期モードのデフォルト設定は、コピー元とコピー先の切り離し(バックアップまたは複製作成)を実行するために選択する必要があります。
RECは、以下の場合に効果的に使用できます。
災害対策システム等の遠隔地バックアップに向いています。
図2.7 Remote Equivalent Copy (REC)