ページの先頭行へ戻る
ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 14.1 解説書

2.1.1 スナップショット型高速コピー

AdvancedCopy Managerは、スナップショットバックアップ、差分コピーの両方をサポートしています。また、高トランザクション環境において、障害直前のデータ再現が可能なデータベースに対し、ポイントインタイムリカバリーを実施することも可能です。これらの機能は、システムの停止時間とサーバのI/O負荷を最小限に抑えることができます。


One Point Copy (OPC)

OPCはボリューム全体をディスクコピーします。ETERNUS優先コピー機能を使用し、コピー元ボリュームがアクセスできる間も、コピーを実施できます。


OPCコマンドを実行すると、ETERNUS ディスクアレイは、コピー元ボリュームのポイントインタイムスナップショットを作成し、バックアップの完了通知を返します。その後、物理的なコピー作業が開始されます。これにより、コピー元ボリュームへのアクセスがほとんど中断されることなく、バックグランドでETERNUSのハードウェアレベルのコピー処理が実行されます。


OPC は以下の場合に使用できます。

OPCのプロセスを以下に示します。


図2.1 One Point Copy (OPC)


Quick One Point Copy (QuickOPC)

QuickOPCは、差分コピーなので、初期コピーが必要になります。

QuickOPCコマンドが実行時、初期コピーが存在しているか確認します。その後、特定のQuickOPCセッションに対して、バックアップボリュームに作成された初期コピー時からトラッキングされているデータのうち、更新されたブロックのみコピーします。

QuickOPCが、初期コピーが存在していないと認識した場合、OPCを使用して初期コピーを作成します。QuickOPCで使用されている差分コピー方法は、ポイントインタイムのスナップショットを作成する際に必要な物理コピーの時間を削減し、ストレージシステムのホストサーバにおけるI/O負荷を最小限に抑えます。


QuickOPCは、以下の場合に効果的に使用できます。

以下の図は、初期コピーが作成されてから、QuickOPCコピー内で使用される差分コピーのプロセスを説明しています。


図2.2 Quick One Point Copy (QuickOPC)


Snapshot One Point Copy (SnapOPC)

SnapOPCは、コピー・オン・ライト処理を利用し、更新される前の状態のコピー元ボリュームを作成します。

SnapOPCでは、コピー先ボリュームの代わりに、Snap Data Volumeを使用するので、コピー先ボリュームは、コピー元ボリュームと同じサイズを必要としません。通常、Snap Data Volumeのサイズは、コピー元ボリュームのサイズに比べ、非常に小さくなります。

コピー元ボリュームに変更がある場合、その変更は内部テーブルに保たれ、コピー元ボリュームの元データは、Snap Data Volumeにコピーされます。その後、変更されたデータは、コピー元ボリュームに適用されます。このようなバックアップコピー技術を、コピー・オン・ライトと呼びます。

Snap Data Volumeは、コピー元ボリュームで修正または更新された元データのみ保存します。

Snap Data Volumeのサイズは、コピー元ボリュームの更新率に比例しており、ユーティリティを用いて、正確なサイズを見積もります。コピー元ボリュームが頻繁に更新されない場合は、比較的小さなSnap Data Volumeで済みます。

Snap Data Volumeの物理サイズが小さくても、コピー先ボリュームの論理サイズ(OSが認識するサイズ)は、実質的にはコピー元ボリュームと同じになります。AdvancedCopy Managerは、Snap Data Volumeにコピーされた元データと、コピー元ボリュームの変更されてないデータを組み合わせることにより、コピー先ボリュームの論理ビューを形成しています。

SnapOPCは、コピー元ボリュームのアクセス性能に影響します。また、コピー元ボリューム内でデータが失われた場合、コピーされたデータは使用できなくなるため、SnapOPCは、使用用途によって適さない場合があります。


SnapOPCは、以下の場合に使用されます。

Snapshot One Point Copy+ (SnapOPC+)

SnapOPC+は、SnapOPCと同様に、コピー・オン・ライト処理を利用し、更新される前の状態のコピー元ボリュームを作成します。

SnapOPC+では、コピー元ボリュームの更新前データを、スナップ世代単位(複製ボリュームを作成した単位)で保存することができます。また、新しい複製先ボリュームに対してのみコピーを行うため、SnapOPCに比べ、コピー元ボリュームへのアクセス負荷や、コピー先ボリュームの物理容量の消費を軽減することができます。

SnapOPC+は、その仕組みや特性上、オペレーションミスやソフトウェアエラーといった、ソフト障害からの回復に備えたバックアップとして利用されることを想定しています。コピー元ボリュームがハード故障によりアクセス不可能な状態になった場合は、当該コピーセッションはエラーとなり、コピー先のボリュームも正しくデータを読むことができません。このような致命的なハード障害に備えるには、SnapOPC+と併用して、OPC/QuickOPC/EC/RECを利用して全データをコピーすることを推奨します。


SnapOPC+は、以下の場合に使用されます。