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ServerView Resource Coordinator VE 導入ガイド

8.1 概要

クローニングは、1台の管理対象サーバから採取したクローニングマスタを、複数の管理対象サーバに配付する機能です。

初期導入時に複数のサーバに対して、同じOSとソフトウェアをインストールできるため、短時間にサーバ導入ができます。
また、パッチ適用、およびソフトウェアの追加や変更などを行ったサーバのクローニングマスタを採取し、他のサーバに配付することで、ソフトウェア保守が簡単に短時間で行えます。

クローニングマスタは、採取する際に管理対象サーバごとに以下の固有の情報を無効化し、配付する際に自動的に再設定します。これにより、1つのクローニングマスタを複数の異なるサーバに配付できます。

これら以外の設定(アプリケーション/ミドルウェアの設定など)は自動的に再設定しないため、必要に応じてクローニング操作の前後に手動で設定してください。

クローニングマスタを配付したサーバの業務LANの設定(IPアドレスと冗長化設定)は、ネットワークパラメタ自動設定機能を利用すると簡単に設定できます。
ネットワークパラメタ自動設定機能については、「8.6 クローニングマスタに定義できるネットワークパラメタ自動設定機能」を参照してください。

注意

  • クローニングでは、管理対象サーバのBIOSで認識された1台目のディスク(起動ディスク)の内容だけが、採取・配付の対象になります。
    2台目以降のディスク(データディスク)の内容はクローニングすることができません。他のバックアップソフトウェアや、ストレージ装置のコピー機能を利用して、データの採取・配付をしてください。
    なお、1台目のディスクに複数の区画(Windowsのドライブ、Linuxのパーティション)を設定している場合は、すべてのパーティションがクローニングの対象になります。

    表8.1 クローニング対象の例

    ディスク

    Windowsのドライブ名

    クローニング対象

    1台目

    C:

    E:

    2台目

    D:

    ×

    F:

    ×

  • クローニングマスタの採取・配付では、管理対象サーバを再起動するため、業務を停止する必要があります。

  • 先頭のパーティションは、基本パーティションである必要があります。

  • 以下のファイルシステムの場合にクローニングマスタを採取できます。なお、LVM(Logical Volume Manager)を使用しているファイルシステムは使用できません。

    • NTFS

    • EXT3

    • LinuxSwap

  • クローニングマスタを採取する管理対象サーバと配付する管理対象サーバで、以下の条件を満たしている必要があります。

    • モデル名が同じであること。

    • オプションカードとその搭載位置などのハードウェア構成が同じであること。

    • 「3.5 サーバ環境の設定」の「管理対象サーバのBIOS設定」に従って同じBIOS設定がされていること。

    • LAN、SANの接続が同じ冗長化方式、冗長パス数で、同一のネットワーク装置やストレージ装置にアクセスできること。
      なお、カスケード接続されたLANスイッチやファイバチャネルスイッチは、1台の装置とみなします。

  • クローニングと連携して、アプリケーションの設定は自動で行えません。
    必要に応じてクローニング操作の前後に、手動でアプリケーションの設定を行ってください。

  • システムイメージのバックアップ、リストア、クローニングマスタの採取、配付は同時に4つの処理まで実行できます。5つ以上の処理が要求された場合は、実行中の処理が完了するまで待機状態になります。
    なお、バックアップ・リストア方式によるサーバ切替え、切戻し中に実行されるリストア処理も待機状態になります。バックアップ・リストア方式の自動リカバリ、および手動切替えを利用する場合は、同時に実行するシステムイメージのバックアップ・リストア、およびクローニングマスタの採取、配付の処理数は3つまでにしてください。

  • クローニングマスタの採取または配付のあと、OS起動時に外部サーバなどへ接続処理が必要なソフトウェアが正しく起動しない場合があります。
    その場合は、採取または配付のあとにOSを再起動してください。

  • 管理対象サーバのWatchdog(一定時間OSが応答しない状態をハングと検出して、自動的にリセットまたは電源切断する機能)が有効になっていると、クローニング中に自動的にリセットまたは電源切断される場合があります。
    クローニングを行う前に、設定を無効にしてください。
    詳細については、管理対象サーバのマニュアルを参照してください。

  • Windows Server 2008でアクティベーションの方式にMAKライセンス認証を使用している場合、Sysprepの実行回数は累積で3回までです。
    Sysprepはクローニングマスタ配付時に実行されるため、クローニングマスタの採取と配付を4回以上行えません。
    そのためクローニングマスタを配付した管理対象サーバから採取せず、専用のマスタサーバから採取することをお勧めします。

  • 本機能は、基本ソフトウェアとしてSUSE Linux Enterprise Serverを使用する場合は、利用できません。