ユーザリストの作成
ユーザリストの作成方法は、"A.2.2 ユーザ・インターフェース"とほとんど同じです。ただし個人カレンダー資源の移動の場合は、以下の内容が異なります。
ユーザリストの制御文のオペランド"//op"に指定可能な値は、同一サイト内のときは"calendar"または"personal"です。どちらの値を指定しても、資源移動の動作および結果は同じです。他サイトへの移動の場合には、個人情報の移出とリストファイルを共用するために、"personal"を使うことをお勧めします。個人情報の移動については、"付録G 組織再編成ユーティリティ"を参照してください。
移動したいユーザの個人カレンダー資源を、移動元サーバから中間ファイルへ移出します。
なお、このコマンドの実行は、TeamWARE Officeの動作中に行ってください。
tocalexp ICF_file list_file
中間ファイル名を指定します。
ユーザリストの名前を指定します。
注意
資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を行わないでください。また、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないようにユーザに指示してください。
もし、移出処理中にカレンダー・予約・週間メモのどれかを操作された場合、操作元と操作対象のカレンダー資源との状態に矛盾が生じる可能性があります。
中間ファイル名(ICF_file)には、出力先のパスに存在しないファイル名を指定してください。すでに存在しているファイル名を記述するとエラーになります。この場合、存在しないファイル名に変更して、処理をもう一度行ってください。
ユーティリティの性能負荷の理由から、一度に移動可能なユーザ数は、最大100人までとなります。また、100人以上指定した場合には、移出処理でエラーとなります。
移出処理が正常に行われた場合、移動元サーバの移出した個人カレンダー資源をカレンダーデータベースから削除します
中間ファイルに必要な容量見積もり
中間ファイルに必要な容量を出力します。このコマンドは、事前に中間ファイルの容量を把握しておきたいとき、たとえば、中間ファイル出力先の空き容量が十分かどうか確認したいときなどに使用します。
tocalexp -e list_file
中間ファイル見積もり処理を意味します。
list_fileにユーザリストの名前を指定します。
注意
移出処理と同じくらいの時間がかかります。移出処理と同じ環境条件で起動してください。
個人カレンダー資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を禁止するようにしてください。また、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないよう、ユーザに連絡しておいてください。
資源移動ユーティリティで作成される中間ファイルは、2GBを超えて作成することができません。あらかじめ、-eオペランドを使用して中間ファイルの予測サイズを測定してください。2GBを超える場合は、リストファイルを分割した上で、中間ファイルが2GBを超えないように、移出を行ってください。
以下に、中間ファイルに必要な容量を見積もる機能を実行した場合の出力例を示します。
D:¥to>tocalexp -e test.txt INFO : 116100 List file read complete. INFO : 116100 User[cn=中山 賢一,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] checked. INFO : 116100 User[cn=大川 憲之介,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] checked. INFO : 116100 User[cn=江島 和秀,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] checked. INFO : 116100 User check complete. estimate start. User[cn=中山 賢一,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] estimate completed. User[cn=大川 憲之介,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] estimate completed. User[cn=江島 和秀,ou=TW,l=area,o=Fj,c=jp] estimate completed. File size = 1,848 (Byte) Done. D:¥to> |
リカバリ機能
移出処理の内部では、大きく分けて以下の2つの手順があります。
移動元サーバのカレンダーデータベースからユーザの個人カレンダー資源を抽出して、中間ファイルに出力する。
移動する個人カレンダー資源の抽出が完了したら、移動する個人カレンダー資源を移動元サーバのカレンダーデータベースから削除する。
1.の処理で失敗した場合は、移動元サーバのカレンダーデータベースの状態は変更されません。したがって、移動元サーバのTeamWARE Officeサーバの状態に問題がない限り再度移出を始めることができます(たとえば、ユーザリストの定義を間違えた場合など)。
しかし、2.の処理で異常が発生した場合は、完全に個人カレンダー資源の削除ができないので、移動元サーバのカレンダーデータベースの容量が減少しません。
この問題に対応するため、tocalexpコマンドの以下の機能を使用することでリカバリを行えます。このリカバリ機能は移出処理を行った移動元サーバ以外では使用できません。
この機能は、2.の処理で失敗した場合、移出処理のためのtocalexpコマンドを実行する前の状態にデータベースを復元します。1.の処理で作成した中間ファイルに含まれる個人カレンダー資源を移動元サーバのカレンダーデータベースに移入することで復元を行います。
tocalexp -r ICF_file
-r :
ICF_fileに1.で作成された中間ファイル名を指定します。
この機能は、2.の処理で失敗し、移動元サーバから削除できなかったユーザの個人カレンダー資源を、1. の処理で作成された中間ファイルに含まれる個人カレンダー資源の情報を使用して削除します。
tocalexp -d ICF_file
-d :
ICF_fileに1.で作成された中間ファイル名を指定します。
中間ファイルの転送
中間ファイルが作成されたら、中間ファイルを移動元サーバから移動先サーバへ、バイナリ形式で転送します。ファイルは圧縮して転送してもかまいませんが、転送後、解凍を忘れないようにしてください。ただし、異なるOS間での圧縮、解凍はできません。
移動させるユーザの個人カレンダー資源を、中間ファイルから移動先サーバへ移入します。コマンドは移動先サーバのTeamWARE Officeのインストールディレクトリ上で実行してください。
なお、このコマンドの実行は、TeamWARE Officeの動作中に行ってください。
tocalimp ICF_file
中間ファイルのファイル名を指定します。
注意
資源の移動中に起こるデータベースの変化を避けるため、処理が完全に終了するまで、サイト内のすべての運用管理機能の実行を行わないでください。また、TeamWARE Officeサーバにアクセスしないようにユーザに指示してください。
移入処理が失敗した場合は、移動先のデータベースのバックアップ情報をリストアし、再度実行してください。移動処理を中断した状態で運用を開始すると、データベース間に不整合が発生することがあります。作業を中断した状態で運用を開始する場合には、サイト内のすべてのデータベースのリストアを実行してください。
移入時に、すでに移動対象ユーザの個人カレンダー資源が存在した場合は、中間ファイルの情報により上書きされます。