バックアップ運用/レプリケーション運用における全般的な注意事項について説明します。
Storageサーバのロケールについて
すべてのStorageサーバには、AdvancedCopy Managerが使用する内部コード系(Storage管理サーバへAdvancedCopy Managerをインストールする際に指定するコード系)のロケールがインストールされている必要があります。
Storage管理サーバとStorageサーバの間で、言語環境(LANG)が異なる場合に対処が必要となります。以下にその組み合わせと対処方法を示します。
Storage管理サーバ | Storageサーバ | 対処方法 |
---|---|---|
Windows (SJIS) | Windows (SJIS) | 必要なし |
Solaris (EUC) | StorageサーバにSJISパッケージをインストールする必要がある | |
HP-UX (EUC) | StorageサーバにSJISパッケージをインストールする必要がある | |
Linux (EUC) | 必要なし | |
Linux (UTF8) | 必要なし | |
AIX (SJIS) | 必要なし | |
AIX (EUC) | StorageサーバにSJISの言語環境を追加する必要がある | |
Solaris ロケールの設定による(標準EUC) | Windows (SJIS) | 必要なし(Storage管理サーバがEUCの場合、Storageサーバが問題なく処理する) |
Solaris (EUC) | 必要なし(同じコードの場合) | |
HP-UX (EUC) | 必要なし(同じLANGの場合) | |
Linux (EUC) | 必要なし | |
Linux (UTF8) | 必要なし | |
AIX (SJIS) | 必要なし(同じLANGの場合) | |
AIX (EUC) | 必要なし(同じLANGの場合) | |
Linux (EUC) | Windows (SJIS) | 必要なし(Storage管理サーバがEUCの場合、Storageサーバが問題なく処理する) |
Solaris (EUC) | 必要なし | |
HP-UX (EUC) | 必要なし | |
Linux (EUC) | 必要なし | |
Linux (UTF8) | 必要なし | |
AIX (SJIS) | StorageサーバにEUCの言語環境を追加する必要がある | |
AIX (EUC) | 必要なし | |
Linux (UTF8) | Windows (SJIS) | 必要なし |
Solaris (EUC) | StorageサーバにUTF8の言語環境を追加する必要がある | |
HP-UX (EUC) | StorageサーバにUTF8の言語環境を追加する必要がある | |
Linux (EUC) | 必要なし | |
Linux (UTF8) | 必要なし | |
AIX (SJIS) | StorageサーバにUTF8の言語環境を追加する必要がある | |
AIX (EUC) | StorageサーバにUTF8の言語環境を追加する必要がある |
該当パッケージをインストール後、再度GUIクライアントから「Storageサーバ上の全デバイス情報の更新」操作を実施してください。
バックアップ、レプリケーション対象について
以下のデバイスは、バックアップ対象、レプリケーション対象としないでください。
AdvancedCopy Managerがインストールされているデバイス
AdvancedCopy Managerの管理簿が存在するデバイス
ボリューム上のデータとデータの整合性について
業務ボリューム上のデータ | データの整合性確保 | 運用方法 |
---|---|---|
運用中のOracleのデータベーススペース | Oracleと連携する必要があります。 | Oracle連携用のサンプルスクリプトを使用します。 |
運用中のSymfowareのデータベーススペース | AdvancedCopy ManagerのコマンドがSymfowareと連携して整合性を確保します。 | 「第5章 バックアップ運用(Symfoware)」を参照してください。 |
ファイルシステム | AdvancedCopy Managerのコマンドがファイルシステムをアンマウントして整合性を確保します。 | 「付録A バックアップ/リストアの前後処理」および「付録C レプリケーションの前後処理」を参照してください。 |
上記以外 | 運用でデータの整合性を確保する必要があります。 | バックアップ、レプリケーションの実行時に業務を停止するなどの対処を行ってください。 |
デバイス情報の取り込みについて
バックアップ運用/レプリケーション運用を開始する前に、AdvancedCopy ManagerのGUIクライアントを使用して、全Storageサーバが管理するデバイス情報の取り込みを行います。デバイス情報の取り込みについては、「4.4.5 Storageサーバ配下のデバイス情報の取り込み」を参照してください。この操作は、選択したStorageサーバに定義されているデバイスの総数に比例した時間がかかります。デバイス数が多い場合はCPU負荷やI/O負荷の低い状態で実施してください。
目安として、負荷のない状態で、1デバイス(パーティション)あたり約0.5秒かかりますので、参考としてください。
同時実行数の上限について
1つのLU(Logical Unit)内で、同時に実行できるアドバンスト・コピーのセッション数には、上限(最大値)があります。そのため、1つのLU内のボリューム数は、LUあたりの最大コピーセッション数以下にしてください。
運用上、1LUあたりの最大コピーセッション数以上のボリュームを、同一LUに作成する必要がある場合、同一LU内のボリュームに対して、最大コピーセッション数以上のアドバンスト・コピーを同時に実施しない運用設計が必要です。
なお、1LUあたりの最大コピーセッション数については、ETERNUS ディスクアレイの『SA/SEハンドブック』を参照してください。
VTOCを含むスライスについて
VTOCラベル付きディスクでは、先頭のスライスにディスクの管理情報(VTOC)が含まれる場合があります。
バックアップ運用では、このようなVTOCを含むスライスを利用できません。
レプリケーション運用では、複製ボリューム情報の設定を行う際に、-Xvtocオプションを指定することで利用できます。
注意
VxVMのディスクグループを構成する物理ディスク単位の運用の場合は、上記の制限を受けません。
注意
VTOCを含むスライスを別のディスクの先頭スライス(VTOCを含むスライス)にコピーする場合、コピー先ディスクのVTOCが書き換えられます。
VTOCを含むスライスを別のディスクの先頭スライス(VTOCを含むスライス)にコピーする場合は、コピー先ディスクのVTOCラベル付きディスクに揃え、また、同じディスク構成にしてコピーを実施してください。
注意
VTOCを含まないスライスを別のディスクの先頭スライス(VTOCを含むスライス)にコピーしないでください。
VTOCを含まないスライスを別のディスクの先頭スライス(VTOCを含むスライス)にコピーした場合、コピー先ディスクのVTOCが上書きされ、コピー先ディスクのスライスにアクセスできなくなる可能性があります。
SafeFILEおよびGlobal File Servicesローカルファイルシステムについて
複数スライスから構成されているSafeFILEのファイルシステムおよびGlobal File Servicesローカルファイルシステムは処理できません。
複数スライスから構成されているSafeFILEのファイルシステムおよびGlobal File Servicesローカルファイルシステムをバックアップ/リストアする場合は、アンマウント状態で複数のスライスを同時に処理してください。
SafeFILE/GlobalファイルシステムおよびGlobal File Services共用ファイルシステムについて
SafeFILE/GlobalファイルシステムおよびGlobal File Serveces共用ファイルシステムのバックアップ/リストアまたはレプリケーションを実施する場合は、以下の点に注意してください。
事前に対象となるファイルシステムをアンマウントする。
対象となるファイルシステムを構成する全てのパーティションに対して実施する。
なお、ファイルシステムのアンマウントは以下の操作になります。
SafeFILE/Globalファイルシステムの場合:サービスの停止
Global File Services 共用ファイルシステムの場合:全ノードでアンマウント
ディスクへの他サーバからのマウントについて
複数のサーバからマウントできる状態のボリュームに対してバックアップ/リストア、レプリケーションを行う場合は、他サーバからのマウントを事前に解除してください。
また、他サーバからのマウントが必要ないディスクには、ETERNUS ディスクアレイやファイバーチャネルスイッチ等のハードウェアの設定により、複数のサーバから同じパーティションを検出したり、アクセスしたりできないように設定してください。
ファイルシステムを対象としたコピー処理を実行する場合の注意事項
ファイルシステムを対象とする場合、データへのアクセス抑止とデータの整合性を保証するためにボリュームのアンマウントを行います。
そのため、ボリュームが使用中の場合はアンマウントができないため、バックアップ/リストアおよびレプリケーション処理の実行はエラーとなります。
以下の点などに注意して、アンマウントができる状態で処理を実行するようにしてください。
他のアプリケーションがボリュームを使用していないこと。使用している場合は、一時的にアプリケーションを停止してください。
ユーザーがボリュームを使用していないこと。利用している場合は、一時的に利用をやめてください。
ボリュームの中に別のボリュームをマウントしていないこと。別のボリュームをマウントしている場合は、一時的にマウントを解除してください。
NFS共有でshareされていないこと(Solaris/HP-UX/Linuxの場合)。Shareされている場合は、一時的にunshareしてください。
アンマウントが必要な時間はコマンドの実行中のみです。コマンドの終了後は運用を再開することができます。
大容量ディスクの運用について
1TBを超えるディスクを使用する場合、EFIディスクラベルのディスクにする必要があります。
Logical Unit(ディスク)単位コピーを実施する場合の注意事項
Logical Unit(ディスク)単位コピーは、レプリケーション運用で利用できます。
Logical Unit(ディスク)単位コピーを実施する場合、以下の点に注意してください。
テープバックアップについて
テープバックアップ機能については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 テープバックアップ連携編』の「システムボリュームのバックアップ/リストア」を参照してください。
サーバ間でコピーを行う場合
両サーバのバージョンを13.1以降にしてください。
サイズの異なるLogical Unit(ディスク)間でのコピーを行う場合
サイズの異なるLogical Unit(ディスク)間でコピーを行う場合、小さいサイズのLogical Unit(ディスク)に合わせて物理コピーを行います。小さいサイズのLogical Unit(ディスク)から大きいサイズのLogical Unit(ディスク)へコピーする場合は、一部領域には物理コピーが行われず、コピーを行う前のデータが残ります。この残存した領域にLogical Unit(ディスク)の管理情報が存在している場合、パーティショニングツールがディスク形式を誤って認識することがありますので、事前にコピー先のLogical Unit(ディスク)をフォーマットしてから実施してください。
ディスクの管理情報の重複について
EFIラベル付きディスクのLogical Unit(ディスク)間でのコピーでは、Logical Unit(ディスク)に含まれるディスク、スライスを一意に特定するためのUUIDのディスクの管理情報もコピーされます。そのため、コピーの実施後に、システム内でディスクの管理情報が重複する場合があります。
以下のようなコピーを実施した場合に、ディスクの管理情報が重複します。
サーバ内でLogical Unit(ディスク)間のコピーを行う場合
サーバ間でLogical Unit(ディスク)間のコピーを行う場合で、コピー先のサーバ内に同じコピー元のコピー先が複数ある場合
以前にコピーしたボリュームから、コピー元と同じサーバ上の、コピー元とは別のLogical Unit(ディスク)にコピーする場合
なお、ディスクの管理情報(UUID)が重複した場合した時の対応方法については『Solaris 10 System Administrator Collection - Japanese』の「Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム) 」から「28. UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)」 に記載されている「例 28-2」を参照してください。
コピー実施時の注意
レプリケーション管理の複製元ボリューム/複製先ボリュームの領域と、バックアップ管理の業務ボリューム/バックアップボリュームの領域が重複している場合、領域が重複したボリュームに対して同時にレプリケーション管理とバックアップ管理の操作を行わないでください。
Logical Unit(ディスク)に含まれるスライスをアンマウントした状態でコピーを実施してください。マウントした状態でコピーを実施した場合、コピー先のディスクに含まれるスライスは、ファイルシステムとして整合がとれない場合があります。
SDXオブジェクトについて
SDXオブジェクトのLogical Unit(ディスク)単位コピーは利用できません。
異なるOS間でコピーを実施する場合の注意事項
異なるOS間でのコピーは、レプリケーション運用で利用できます。
異なるOS間でのコピーを実施する場合は、次の組み合わせで実施してください。
| 複製先 | ||
---|---|---|---|
スライス | Logical Unit(ディスク) | ||
複製元 | スライス | ○ | × |
Logical Unit(ディスク) | ○ | × |
○:可能、×:不可
ETERNUSマルチパスドライバ環境下での運用について
Solaris 10 オペレーティングシステムでのETERNUSマルチパスドライバの環境設定時には、アクセス特殊ファイルとして以下のどちらかを使うかを選択します。
Solaris標準特殊ファイル (/dev/[r]dsk/c*t*d*s*)
mplb特殊ファイル (/dev/FJSVmplb/[r]dsk/mplb*s*)
選択したアクセス特殊ファイルに対するETERNUSマルチパスドライバの仕様/制限により、影響を受けるAdvancedCopy Managerの運用について以下に記載します。
アクセス特殊ファイル名 | 影響内容 | ETERNUSマルチパスドライバの仕様/制限 |
---|---|---|
Solaris標準特殊ファイル | システムボリュームのバックアップ運用ができません。 | Bootデバイスとして利用することができない。 |
mplb特殊ファイル | EFIディスクラベルのディスクのLogical Unit(ディスク)単位のコピーができません。 | EFIディスクラベルのディスクのディスク全体を表すアクセスパスが生成されない。 |
-mオプション使用時の注意事項
サーバ間レプリケーションの場合、以下のコマンドにおいて、非操作サーバとの通信処理を行わないことを指定するために-mオプションを指定することができます。
-mオプションを指定する場合は、非操作サーバでのボリューム前後処理が行われなくても問題がないように、以下のいずれかの条件が満たされる必要があります。
非操作サーバがシャットダウンされている。
非操作サーバのボリュームに対する前後処理を手動で別途実施する
対象ボリュームがファイルシステムではなく、(前後処理が不要な)RAWデバイスである(Oracle等)
アドバンスト・コピーのコピー処理性能について
アドバンスト・コピーのコピー処理はETERNUS ディスクアレイによって行われるため、コピー処理性能に関するお問い合わせはETERNUS ディスクアレイのサポート部門までお願いいたします。