ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 13.3 - Microsoft(R) Windows(R) 2000 -,- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 -, - Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 -
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第8章 レプリケーション運用> 8.1 概要

8.1.1 スナップショット型レプリケーションの処理

スナップショット型レプリケーションは、ETERNUS ディスクアレイのOPC/ROPC機能を用いて、複写元ボリュームから複写先ボリュームに複製を作成します。

スナップショット型レプリケーションは、以下のように処理が行われます。

  1. 複製作成コマンド(swsrpmake)で複写元ボリュームから複写先ボリュームへのスナップショット処理(OPC/ROPC)を起動して複製を作成します。複製作成コマンド(swsrpmake)では、複写元ボリュームのロック/ロック解除を行います。これにより複写元データを確定させます。詳細については、「レプリケーションの前後処理」で説明します。(図の1〜4)

  2. 複製を再作成したい場合は、再度、複製作成コマンド(swsrpmake)を起動するだけです。以前のスナップショット処理中の場合は、動作中のスナップショット処理を停止して、新規のスナップショット処理を起動します。

[図: スナップショット型レプリケーションの処理方法]

スナップショット型レプリケーションは複製作成実行指示を行った時点で完了します。実際のデータのコピー処理はETERNUS ディスクアレイのOPC/ROPC機能によって内部的に行われます。

スナップショット型レプリケーションでアドバンスト・コピー機能のROPC機能を使用する場合は、ROPC機能が動作可能なETERNUS ディスクアレイが必要です。

8.1.1.1 スナップショット型レプリケーションの種類 

スナップショット型レプケーションには、使用するアドバンスト・コピー機能により、以下の種類があります。

通常のスナップショット型レプリケーション

ある時点(論理コピー)のデータをすべてコピー先ディスク領域にコピーします。

[図: 通常のスナップショット型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域と同容量以上が必要です。
コピー時間は、全データのコピー時間です。

QuickOPC型レプリケーション

ETERNUS ディスクアレイが、QuickOPC機に対応している場合は、QuickOPC型レプリケーションを行うことができます。

初回は、ある時点(論理コピー)のデータをすべてコピー先ディスク領域にコピーします。
2回目以降は、前回以降の更新分だけをコピーします。

[図: QuickOPC型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域と同容量以上が必要です。
2回目以降のコピー時間は、差分データのコピー時間です。

QuickOPC型レプリケーションを行うためには、QuickOPC機能に対応したETERNUS ディスクアレイが必要です。
QuickOPC機能は筐体内コピー(OPC)の場合だけ利用できます。筐体間コピー(ROPC)の場合はQuickOPC機能を利用することはできません。
また、SDXオブジェクトを論理ボリューム単位にレプリケーションする場合もQuickOPC機能を利用することはできません。

QuickOPC機能では、OPC論理コピーの完了後にコピー元/コピー先に発生した更新をハードウェアが記録しています。ハードウェアが更新箇所を記録している状態を「トラッキング状」と言います。

SnapOPC型レプリケーション

SnapOPC機能は、コピー元となるディスク領域に対し、ある時点(論理コピー)以降に更新されるデータだけをコピー先ディスク領域にコピーする機能です。

[図: SnapOPC型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域より少ない容量になります。
コピー時間は、更新されるデータのコピー時間です。

SnapOPCは筐体内レプリケーション(OPC)の場合だけ利用できます。筐体間レプリケーション(ROPC)の場合はSnapOPCを利用することはできません。
SnapOPCのコピー先ディスクのことをSnap Data Volumeと呼びます。

[図: SnapOPCの仕組み]

SnapOPCは複製先ボリューム容量の縮小、コピー時間の短縮という点で従来のOPCよりも優れている反面、アクセス性能、コピーデータの信頼性の点で問題があります。

アクセス性能
SnapOPC中はコピー元からコピー先へのデータコピーが発生するため、コピー先のアクセス性能だけでなく、コピー元のアクセス性能も劣化する場合があります。
コピーデータの信頼性
コピーデータは、「コピー元」+「コピー元の更新部分」で成り立つため、コピー元がハードウェア障害に陥った場合は、コピーデータが失われます。
また、リストアを行った場合、「コピー元」のデータが失われることと等価であることから、複数の「コピー元の更新部分」があったとしてもリストアを行った時点で無効となります。

上記の点から、SnapOPCは、アクセス性能を重視しないシステム向けのテープバックアップ用一時領域として使用されることを想定しています。

SnapOPC+型レプリケーション

SnapOPC+機能は、データの更新時に、更新されたデータの更新前データのみをコピーし、スナップ世代単位でデータを保存する機能です。

SnapOPC+機能の処理の流れを以下に示します。

[図: SnapOPC+機能の流れ]

  1. 複製元から複製先へ論理コピーが行われます。

  2. 論理コピー後、SnapOPC+セッションが、複製元と複製先の間に設定されます。

  3. SnapOPC+セッションの設定後、複製元で更新されたデータの更新前データのみを複製先へコピーします(コピー・オン・ライト処理)。

  4. 次の複製先ボリュームが作成されると、コピー・オン・ライト処理は停止されます。

  5. その後、複製元ボリュームと新しい複製先ボリュームとの間にSnapOPC+セッションが設定され、コピー・オン・ライト処理が行われます。

  6. 複製先ボリュームが作成されるごとに、そのボリュームに対して、スナップ世代番号が割り当てられます。

    (スナップ世代番号は、古いものから順に、1から8まで割り当てられます。)

このように、SnapOPC+では、コピー・オン・ライト処理が、複製元ボリュームと最新の複製先ボリュームとの間でのみ行われるため、複製先ボリュームが複数に増えた場合でも、複製元ボリュームのアクセス性能に影響はありません。
また、複製先ボリュームに必要な容量は、直前に更新されたデータの更新前データ分とハードウェアの管理領域だけでよいため、SnapOPC+を利用すると、保存データ領域を必要最小限に抑えることができます。
このSnapOPC+を利用したスナップショット型レプリケーションを、SnapOPC+型レプリケーションと呼びます。

SnapOPC+では、レプリケーション機能を利用したリストアはできません。リストアが必要な場合、複製先ボリュームから手動でコピーしてください。

SnapOPC+による、複製元ボリューム(1)と複数のスナップ世代(N:1〜8)の間で行われる、1対Nのレプリケーション運用について以下に示します。

[図: SnapOPC+による1対3のレプリケーション運用]

SnapOPC+は、その仕組みや特性上、オペレーションミスやソフトウェアエラーといった、ソフト障害からの回復に備えたバックアップとして利用されることを想定しています。ハード障害にも備える場合には、SnapOPC+と併用して、OPC/QuickOPC/EC/RECを利用して全データをコピーすることを推奨します。

SnapOPCとSnapOPC+の機能差一覧を以下に示します。

[表: SnapOPCとSnapOPC+の機能差一覧]

機能内容

SnapOPC

SnapOPC+

コピー方式

コピー・オン・ライト方式

コピー・オン・ライト方式

コピー時間
(論理コピー時間)

瞬時

瞬時

コピー先のボリュームの種類

Snap Data Volume

Snap Data Volume

1対Nの運用


SnapOPCと比較し、複製元ボリュームのアクセス性能が優れています。また、SnapOPCと比較し、複製先ボリュームに必要となる物理容量が少なく済みます。

スナップ世代番号

なし

あり

最大セッション数(注)

8

8

レプリケーション機能を
利用したリストア

×

使用用途

  • テープバックアップの一時領域

  • 更新量の少ないファイルサーバなどのバックアップ

  • テープバックアップの一時領域

  • 更新量の少ないファイルサーバなどのバックアップ


注) 最大セッション数は、1つの複製元ボリュームに設定できるセッションの最大数です。

8.1.1.2 Snap Data Volume、Snap Data Poolについて 

■Snap Data Volumeについて

Snap OPC、SnapOPC+のコピー先のボリュームをSnap Data Volumeと呼びます。このコピー先のボリューム(Snap Data Volume)は、ホストに見える容量を「論理容量」と呼び、物理的に構成された容量を「物理容量」と呼びます。

論理容量は、コピー元容量と等しい、もしくは大きく設定します。

物理容量は、バックアップデータを格納する容量の他に、バックアップデータを管理するための制御情報(変換テーブル)を持ちます。この制御情報は、論理容量の0.1%の容量になります。

Snap Data Volumeの容量不足が発生すると、コピー先のボリューム(Snap Data Volume)へはアクセスが一切できなくなります。
容量不足が発生した場合は、「Snap Data VolumeまたはSnap Data Poolの容量不足が発生した場合の対処方法」を参照してください。

■Snap Data Poolについて

ETERNUSでは、Snap Data Volumeのプール機能であるSnap Data Poolを設定することができます。

Snap Data Poolを設定した場合は、Snap Data Volumeの容量不足が発生すると、Snap Data Poolから自動的に領域が追加されます。

Snap Data Poolの容量不足が発生すると、Snap Data Volumeの容量不足が発生した場合と同様に、コピー先のボリューム(Snap Data Volume)へはアクセスが一切できなくなります。
容量不足が発生した場合は、「Snap Data VolumeまたはSnap Data Poolの容量不足が発生した場合の対処方法」を参照してください。

[図: Snap Data Volume拡張イメージ]


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