ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 13.2 -Linux-
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第8章 レプリケーション運用> 8.5 運用

8.5.2 同期型レプリケーションの実行

同期型レプリケーションは、以下の手順で行います。

  1. 複製開始コマンド(swsrpstartsync)を用いて、同期処理を開始します。開始した同期処理のキャンセルは、複製解除コマンド(swsrpcancel)コマンドで行います。

  2. 運用状況表示コマンド(swsrpstat)で等価性維持状態であることを確認した後、複製作成コマンド(swsrpmake)で同期処理を一時停止し、複製元ボリュームの複製を作成します。

  3. 更新(差分)データのコピーを行う場合は、再度複製開始コマンド(swsrpstartsync)で同期処理を再開します。

8.5.2.1 筐体内同期型レプリケーション 

筐体内同期型レプリケーションでは、ディスクアレイ装置のEC機能を用いて、複写元ボリュームから複写先ボリュームに複製を作成します。

EC機能は、複写元ボリュームへのWriteに同期して複写先ボリュームにコピーするモード(同期Writeモード)で動作します。

8.5.2.2 筐体間同期型レプリケーション 

筐体間同期型レプリケーションでは、ディスクアレイ装置のREC機能を用いて、複写元ボリュームから複写先ボリュームに複製を作成します。

REC機能には、コピーの動作モードに以下の3種類があり、運用に合わせて動作モードを指定することができます。

また、REC機能では、サスペンド状態からコピー方向の反転を行うことができます。

■転送モード

RECのデータ転送方法に関するモードです。

[表: 転送モードの種類]

モード

説明

同期

複写元ボリュームにWriteがあった時、コピーが完了した後、Writeの完了をホストに返す転送モードです。

同期転送モードを使用している場合、Writeのレスポンス性能は筐体間の回線性能に依存するため、回線性能の劣化に伴ってWriteのレスポンス性能も劣化します。

非同期
(逐次転送)

複写元ボリュームへのWriteに応答した後、直ちに複写先ボリュームへデータ転送が行われる転送モードです。Writeの順序性は保証されます。

筐体間の転送性能に比べ複写元ボリュームへの更新量が多い場合は未コピーデータが溜まり、ある程度コピーされるまでホストWriteが待たされます。非同期モードを使用する場合は、複写元ボリュームへの単位時間の更新量と同等以上の回線性能を用意する必要があります。

Stack

未転送のデータを複写元の筐体に蓄積(Stack)して不定期にコピーを行い、複写先筐体への時間当たりの転送データ量を低く抑える転送モードです。複写元ボリュームの更新データは複写先ボリュームに不定期に転送されるため、Writeの順序性は保証されません。

Consistency

複数の同期処理のデータ反映の順序性を保証する転送モードです。複数の同期処理の更新データが定期的にまとめてコピーされるため、複数の同期処理間でのWriteの順序性が保証されます。

StackモードまたはConsistencyモードを使用した同期型レプリケーション運用を行う場合は、複製開始コマンド(swsrpstartsync)複製作成コマンド(swsrpmake)のほかに同期処理モード変更コマンド(swsrpchsync)を使用します。また、実行状態を確認するために運用状況表示コマンド(swsrpstat)を使用します。StackモードまたはConsistencyモードを使用した同期型レプリケーション運用の流れを以下に示します。

[図: 同期型レプリケーションの流れ(Stackモード/Consistencyモードの場合)]

等価性維持状態のRECの動作モード変更を行った場合は、動作モード変更後に再度、等価性維持状態になるのを待ち合わせる必要があります。

■Recoveryモード

筐体間パス異常状態(halt状態)から復旧した場合に、コピー処理を再開する動作に関するモードです。

[表: Recoveryモードの種類]

モード

説明

Automatic Recovery

筐体間のFCRAパスが正常に復旧した場合、RECセッションがHALT状態から正常な状態に自動的に遷移し、コピー処理が再開するRecoveryモードです。

Manual Recovery

筐体間のFCRAパスが正常に復旧しても、RECセッションはHALT状態のままでコピー処理が再開しないRecoveryモードです。コピーの再開は手動で行います。本モードは、スタンバイデータベースの運用などで使用されます。

■Splitモード

同期転送モードでRECを行っている場合に、筐体間パス異常状態(halt状態)が発生した場合のコピー元ボリュームへのWrite動作に関するモードです。

[表: Splitモードの種類]

モード

説明

Automatic Split

筐体間のFCRAパスの全閉塞が発生し、HALT状態になった場合、複写元ボリュームへのWriteを通常とおり成功させるSplitモードです。本モードを使用することにより、筐体間のFCRAパスの全閉塞が発生した場合でも複写元ボリュームへのWriteが問題なく行えるため業務に影響がありません。

筐体間のFCRAパスが復旧した場合、Recoveryモードの設定にしたがってコピー処理が再開されます。

Manual Split

筐体間のFCRAパスの全閉塞が発生してHALT状態になった場合、複写元ボリュームへのWriteを許可しない(エラーとする)Splitモードです。本モードを使用することにより、FCRAパスの全閉塞時に場合でも複写元ボリュームと複写先ボリュームの内容を完全に同期させることができます。

筐体間のFCRAパスが復旧した場合、Recoveryモードの設定にしたがってコピー処理の再開が行われます。

■コピー方向の反転

コピー方向の反転機能を利用することにより、センターのサイト切り替えをスムーズに実施することができます。

以下に使用例を示します。

  1. サイトAで運用が行われており、サイトAからサイトBへのRECが行われているとします。

    [図: サイトAからサイトBへRECを行っている場合]

  2. サイト切り替えを行うために、複製作成コマンドを実行してサイトBに複製を作成します。その後、サイトAの運用を停止します。

    [図: 複製作成コマンドでサイトBに複製を作成した場合]

  3. 同期処理反転コマンドを実行して、コピー方向を反転させます。

    [図: 同期処理反転コマンドを実行した場合]

  4. サイトBの運用を開始します。この段階では同期処理はサスペンド状態なのでサイトBのボリュームに対して行われた更新データはサイトAには反映されません。

    [図: サイトBの運用を開始した場合(同期処理サスペンド状態)]

  5. サイトBからサイトAの同期処理を開始(再開)します。同期処理のサスペンド中にサイトBのボリュームに対して行われた更新が、サイトAへ差分コピーによって反映されます。

    [図: サイトBの運用を開始した場合(同期処理再開)]

8.5.2.2.1 初期コピースキップ機能 

初期コピースキップ機能は回線容量不足のため初期コピーの実施ができない場合に使用します。

テープ搬送によって初期コピースキップを行う例を以下に示します。

  1. サイトAの運用が停止されているとします。

[図: サイトAの運用が停止されている場合]

  1. 次に初期コピースキップ機能を使って同期処理を開始します。このとき、RECセッションが設定されますが、複製確立状態となります。複写先ボリュームにはデータはコピーされません

[図: 初期コピースキップ機能による同期処理を開始した場合]

  1. 次に複写元ボリュームのデータをテープへバックアップします。

[図: 複写元のデータをテープへバックアップした場合]

  1. テープ媒体をサイトBに搬送します。また、サイトAの業務を再開します。

[図: サイトAの運用を再開した場合]

  1. テープ媒体のデータを複写先ボリュームに復元します。この時点で複写先ボリュームのデータは運用再開前の複写元ボリュームのデータと同一になります。

[図: テープを複写先へ復元した場合]

  1. Remainモードで同期処理を再開します。Remainモードで同期処理を再開することにより、複写元ボリュームの更新データのみが複写先ボリュームへ反映されます。Remainモードを使用しない場合は複写元ボリュームの全データがコピーされます。

[図: Remainモードで同期処理を再開した場合]

8.5.2.3 コンカレントサスペンド機能 

コンカレントサスペンド機能とは複数のEC/RECセッションを同時にサスペンドするディスクアレイ装置の機能です。

本機能により複数のボリュームにより構成されたデータベースなどのコピーが整合性のとれた状態で容易に採取できます。

以下に、ディスクアレイ装置内部で行われる動作を示します。

[図: ディスクアレイ装置内部の動作]

コンカレントサスペンド機能による複製作成は複製作成コマンド(swsrpmake)に-Xconcurオプションを指定することにより行います。

また、転送モードがConsistencyモードの場合にコンカレントサスペンドを行う場合は複製作成処理時の一時的なモード変更が不要になります。(下図参照)したがって、Consistencyモードでコンカレントサスペンドを使用する場合の操作手順は非同期モード、同期モードと同じ手順となります。

[図: Consistencyモードの場合]


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