ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 13.2 -Linux-
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第8章 レプリケーション運用> 8.1 概要

8.1.1 スナップショット型レプリケーションの処理

スナップショット型レプリケーションは、ETERNUS ディスクアレイのOPC/ROPC機能を用いて、複写元ボリュームから複写先ボリュームに複製を作成します。

スナップショット型レプリケーションは、以下のように処理が行われます。

  1. 複製作成コマンド(swsrpmake)で複写元ボリュームから複写先ボリュームへのスナップショット処理(OPC/ROPC)を起動して複製を作成します。複製作成コマンド(swsrpmake)では、複写元ボリュームのアンマウント/マウントを行います。これにより複写元データを確定させます。詳細については、「レプリケーションの前後処理」で説明します。(図1〜4)

  2. 複製を再作成したい場合は、再度、複製作成コマンド(swsrpmake)を起動するだけです。以前のスナップショット処理中の場合は、動作中のスナップショット処理を停止して、新規のスナップショット処理を起動します。

[図:スナップショット型レプリケーションの処理方法]

スナップショット型レプリケーションは複製作成実行指示を行った時点で完了します。実際のデータのコピー処理はETERNUS ディスクアレイのOPC/ROPC機能によって内部的に行われます。

スナップショット型レプリケーションでアドバンスト・コピー機能のROPC機能を使用する場合は、ROPC機能が動作可能なETERNUS ディスクアレイが必要です。

8.1.1.1 スナップショット型レプリケーションの種類 

スナップショット型レプリケーションには使用するアドバンスト・コピー機能により以下の種類があります。

通常のスナップショット型レプリケーション

ある時点(論理コピー)のデータをすべてコピー先ディスク領域にコピーします。

[図: 通常のスナップショット型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域と同容量以上が必要です。
コピー時間は、全データのコピー時間です。

QuickOPC型レプリケーション

ETERNUS ディスクアレイが、QuickOPC機に対応している場合は、QuickOPC型レプリケーションを行うことができます。

初回は、ある時点(論理コピー)のデータをすべてコピー先ディスク領域にコピーします。
2回目以降は、前回以降の更新分だけをコピーします。そのため、物理コピー時間の大幅な短縮が可能です。

[図: QuickOPC型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域と同容量以上が必要です。
2回目以降のコピー時間は、差分データのコピー時間です。

QuickOPC型レプリケーションを行うためには、QuickOPC機能に対応したETERNUS ディスクアレイが必要です。
QuickOPC機能は筐体内コピー(OPC)の場合だけ利用できます。筐体間コピー(ROPC)の場合はQuickOPC機能を利用することはできません。
また、SDXオブジェクトを論理ボリューム単位にレプリケーションする場合もQuickOPC機能を利用することはできません。

QuickOPC機能では、OPC論理コピーの完了後にコピー元/コピー先に発生した更新をハードウェアが記録しています。ハードウェアが更新箇所を記録している状態を「トラッキング状」と言います。

SnapOPC型レプリケーション

SnapOPC機能は、コピー元となるディスク領域に対し、ある時点(論理コピー)以降に更新されるデータだけをコピー先ディスク領域にコピーする機能です。

[図: SnapOPC型レプリケーション]

コピー先ディスク領域は、コピー元のディスク領域より少ない容量になります。
コピー時間は、更新されるデータのコピー時間です。

SnapOPCは筐体内レプリケーション(OPC)の場合だけ利用できます。筐体間レプリケーション(ROPC)の場合はSnapOPCを利用することはできません。
SnapOPCのコピー先ディスクのことをSnap Data Diskと呼びます。

[図: SnapOPCの仕組み]

SnapOPCは複製先ボリューム容量の縮小、コピー時間の短縮という点で従来のOPCよりも優れている反面、アクセス性能、コピーデータの信頼性の点で問題があります。

アクセス性能
SnapOPC中はコピー元からコピー先へのデータコピーが発生するため、コピー先のアクセス性能だけでなく、コピー元のアクセス性能も劣化する場合があります。
コピーデータの信頼性
コピーデータは、「コピー元」+「コピー元の更新部分」で成り立つため、コピー元がハードウェア障害に陥った場合は、コピーデータが失われます。
また、リストアを行った場合、「コピー元」のデータが失われることと等価であることから、複数の「コピー元の更新部分」があったとしてもリストアを行った時点で無効となります。

上記の点から、SnapOPCは、アクセス性能を重視しないシステム向けのテープバックアップ用一時領域として使用されることを想定しています。


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