Systemwalker Centric Manager クイックガイド - UNIX/Windows(R)共通 -
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第3章 運用管理サーバの環境構築> 3.2 運用管理サーバの環境構築手順【Linux版】

3.2.1 インストール前の作業

Systemwalker Centric Managerをインストールする前に必要な作業について説明します。

データベースのパーティションを作成する

運用管理サーバではデータベースパーティションを作成する必要があります。

SafeDISKを使用している場

RDB管理情報専用パーティションを除くデータベース領域を、SafeDISKで管理しているボリューム上に作成する場合は、ボリュームの高速等価性回復機構を“なし”に設定します。
設定方法の詳細は、SafeDISKのマニュアルを参照してください。

Systemwalker Centric Managerを運用するためには、運用管理サーバに以下のデータベース領域が必要です。

基本的には、上記の4パーティションを使用しますが、どうしてもパーティションが足りない場合は、上記それぞれにレギュラーファイルを指定してデータベース領域を作成することにより、パーティションの数を削減することができます。また、Systemwalker Centric Manager V13.2.0からは専用パーティションを用意しなくてもフレームワークデータベースを作成することができます。詳細については、“Systemwalker Centric Manager導入手引書”の“フレームワークのデータベース作成【Solaris版/Linux版】”を参照してください。

性能を重視する場合は、専用パーティションを使用してください。
データベース用資源をレギュラーファイルに指定して作成する場合、高負荷環境では性能が低下する場合がありますので注意が必要です。

 Systemwalker Centric Managerが使用するパーティションおよびファイルシステムの配置イメージは以下のようになります。

本書では、ヘルプデスクデータベーススペース用パーティション、およびインベントリ管理用データベーススペース用パーティションは、作成しません。

通常、作成したパーティションを指定する場合には、以下のデバイス名を使用します。

データベース領域の見積もり”で算出したディスク容量の見積もりを参考にして、データベース領域の容量が十分であるかを確認してください。

ローデバイスの作成方法

【Red Hat Enterprise Linux (v.4 for x86)、Red Hat Enterprise Linux AS (v.4 for Itanium)の場合】

ローデバイスは、OSのpartedコマンドなどでパーティションを作成した後、作成したパーティションにrawキャラクタデバイスの割り当てを行うことで作成します。

  1. 以下の機能を利用してパーティションまたはボリュームを作成します。
  2. /etc/sysconfig/rawdevicesを編集します。

    PRIMECLUSTER GDSのボリュームの場合、ブロック特殊ファイルを指定してください。

    /etc/sysconfig/rawdevicesの編集例

    /dev/raw/raw1  /dev/sdb5
    /dev/raw/raw2  /dev/sdb6
    /dev/raw/raw3  /dev/sdb7
    /dev/raw/raw4  /dev/sdb8
    /dev/raw/raw10  /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0001
    /dev/raw/raw11  /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0002

  3. ntsysvコマンドを実行し、“rawdevices”を選択します。
     
  4. 以下のコマンドを実行し、/etc/sysconfig/rawdevicesファイルの変更内容を反映します。

    # /sbin/service rawdevices restart

partedコマンド、rawコマンド、ntsysvコマンド、およびシステムファイルの編集の詳細については、使用しているシステムベンダのドキュメントを参照してください。

なお、ローデバイスに対して初期化を行う必要はありません。

【Red Hat Enterprise Linux 5(for Intel Itanium)、Red Hat Enterprise Linux 5(for x86)の場合】

ローデバイスは、OSのpartedコマンドなどでパーティションを作成した後、ブロックデバイスに対してシンボリックリンクを設定して作成します。なお、PRIMECLUSTER GDSを使用する場合は、GDSのブロックデバイスを直接使用します。以下に作成手順を示します。

  1. 以下の機能を利用してパーティションまたはボリュームを作成します。

    PRIMECLUSTER GDSを使用している場合は、上記の作業でローデバイスの作成は完了となります。

    以降の手順は、PRIMECLUSTER GDSを使用していない場合に実施してください。

  2. ディスクのパーティションに対応するudevのブロックデバイス名を特定します。

    udevのブロックデバイス名には、by-id名とby-path名があり、接続されているディスク装置により、使用するデバイス名が異なります。なお、特定したudevのブロックデバイスとディスクパーティションの情報は、対応表などを作成することを推奨します。

    ETERNUSのディスクに対してローデバイスを作成する場合
    by-id名を使用してください。
    ETERNUS以外のディスクに対してローデバイスを作成する場合
    by-path名を使用してください。

    例)
    ETERNUS以外のディスク(/dev/sda5)に対するudevのブロックデバイス名の特定をする場合
    (/dev/sda5のudevのブロックデバイス名は、/dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5となります。)

    # cd /dev/disk/by-path
    # ls -l
    lrwxrwxrwx 1 root root 9 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0 -> ../../sda
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part1 -> ../../sda1
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part2 -> ../../sda2
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part3 -> ../../sda3
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part4 -> ../../sda4
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5 -> ../../sda5
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part6 -> ../../sda6
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part7 -> ../../sda7

  3. “/dev_symfowareディレクトリ”を作成します。

    # mkdir /dev_symfoware
    # chmod 700 /dev_symfoware
    # chown root:root /dev_symfoware

    Symfoware Server、またはSymfoware Serverを同梱する製品と共存する場合、すでに“/dev_symfoware”ディレクトリが存在する場合があります。その場合は、作成済みの“/dev_symfoware”ディレクトリを使用します。

    すでに作成済みの“/dev_symfoware”ディレクトリを使用する場合、アクセス権の設定に注意する必要があります。本製品では“/dev_symfoware”ディレクトリにシステム管理者(ユーパーユーザ)がアクセス可能である必要があります。

  4. udevのブロックデバイスへシンボリックリンクを作成します。

    シンボリックリンクは、手順3で作成した/dev_symfoware配下に作成します。

    例)
    udevのブロックデバイス(/dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5)へシンボリックリンク(cmgr_raw1)を作成する場合

    # cd /dev_symfoware
    # ln -s /dev/disk/by-path/pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5 cmgr_raw1
    # ls -l
    lrwxrwxrwx 1 root root 10 12月 17 10:42 cmgr_raw1 -> pci-0000:00:10.0-scsi-0:0:0:0-part5

partedコマンド、udevコマンド、chownコマンド、chmodコマンド、およびlnコマンドの詳細については、使用しているシステムベンダのドキュメントを参照してください。

なお、ローデバイスに対して初期化を行う必要はありません。

RDBログファイル用パーティションをレギュラーファイルとして作成する場合の例を記載しています。この場合、運用管理サーバに以下のデータベース領域が必要になります。

作成方法については、“データベースパーティションの作成例【Linux版】”を参考にしてください。

パーティションの作成について

パーティションはシステムにより異なるため、付録例をそのまま使用するとシステムを破壊してしまうことがあります。使用しているシステムの容量に応じた値で作成してください。

OSのユーティリティでパーティションを切り出す場合、ユーティリティで指定したサイズと、実際に切り出されるサイズが若干異なることがあります。また、複数のパーティションを切り出す場合に、OSのユーティリティにそれぞれ同一のサイズを指定しても、実際に切り出されるパーティションによってサイズが異なることがあります。そのため、実際に切り出されたパーティションのサイズについては、OSのユーティリティで確認してください。

管理者アカウントを作成する

Systemwalker管理者アカウントをインストールする前に作成します。Systemwalker管理者アカウントは、インストール時に指定する必要があり、Systemwalker Centric Managerの各種操作を行う場合の管理者アカウントとして使用されます。Systemwalker管理者アカウントは、運用管理サーバで作成しておく必要があります。なお、システム管理者(スーパーユーザ)の権限は必要ありません。

アカウントは32バイト以内、パスワードは64バイト以内で指定します。使用できる文字種は、OSのマニュアルを参照してください。

アカウント(ユーザ名)とパスワードについて

アカウント(ユーザ名)/パスワードの文字数は、機能ごとに異なります。

・[Systemwalkerコンソール]

 − ユーザ名12バイトまで

 − パスワード16バイトまで

・システム監視設定

 − ユーザ名36バイトまで

 − パスワード16バイトまで

上記機能から、管理者アカウントを使用してログインする場合には、この値内のアカウント(ユーザ名)/パスワードを管理者アカウント/パスワードに指定してください。

運用管理サーバに、Systemwalker管理者アカウントを作成する手順を以下に示します。

  1. スーパーユーザでログインします。
  2. 以下のコマンドを実行し、Systemwalker管理者アカウントを作成します。
    # /usr/sbin/useradd <Systemwalker管理者アカウント名>

  3. 以下のコマンドにより、Systemwalker管理者アカウントのパスワードを設定します。コマンド実行後、設定するパスワードを2度正しく入力するプロンプトが表示されますので、指示にしたがいパスワードを入力します。
    # /usr/bin/passwd <Systemwalker管理者アカウント名>
    Changing password for <Systemwalker管理者アカウント名>
    New password: <パスワード>
    Retype new password: <パスワード>
    passwd: all authentication tokens updated successfully.

    表示されるメッセージなどは、OSのバージョンやディストリビューションにより異なる可能性があります。 また、useraddコマンドには、上記に記載した例以外にも、ユーザのホームディレクトリを指定するなどの多くのオプションが指定可能です。詳細は、OSのマニュアルを参照してください。

システムパラメタをチューニングする

運用管理サーバでは、システムパラメタのチューニングを行う必要があります。チューニングが必要なシステムパラメタとその値については、以下の表を参照してください。パラメタにより、すでに設定されている値(初期値)に加算する場合と、すでに設定されている値と比較し大きい方の値(最大)を設定する場合があります。(加算の場合、設定のシステム上限値も確認してください。)各パラメタがどちらに当たるかは、表の“種別”を参照してください。

詳細についてはLinuxのマニュアルを参照してください。

◆システムパラメタのチューニング値

セマフォ

セマフォの設定値は、各パラメタ値を以下の形式で指定します。

kernel.sem = para1 para2 para3 para4

パラメタ

説明

種別

para1

セマフォ識別子当たりの最大セマフォ数

133

最大

para2

システム全体のセマフォ数

2745

加算

para3

セマフォコールあたりの最大演算子数

50

最大

para4

システム全体のセマフォ識別子数

2509

加算

メッセージキュー

パラメタ

説明

種別

kernel.msgmnb

1つのメッセージキューに保持できるメッセージの最大値

32768

最大

kernel.msgmni

メッセージキューIDの最大値

545

加算

kernel.msgmax

メッセージの最大サイズ

16384

最大

共有メモリ

パラメタ

説明

種別

kernel.shmmni

共有メモリセグメントの最大数

21197

加算

kernel.shmmax

共有メモリの最大セグメントサイズ

15117192

最大

◆チューニング作業手順

  1. 以下のコマンドを使用して現在システムに設定されている上記表に該当するパラメタの設定値を確認します。

    #/sbin/sysctl -a

    (例)

    # /sbin/sysctl -a
       ・
      (省略)
       ・
    kernel.sem = 1100 35406 200 800
    kernel.msgmnb = 4194304
    kernel.msgmni = 8199
    kernel.msgmax = 32768
    kernel.shmmni = 4315
    kernel.shmall = 2097152
    kernel.shmmax = 4000000000
       ・
      (省略)
       ・


  2. 上記“システムパラメタのチューニング値”を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメタごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。
  3. /etc/sysctl.confを編集します。

    システムパラメタをチューニングするために、/etc/sysctl.confファイルにチューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。

    (例)

    kernel.sem=1100 38151 200 3309

    kernel.msgmax=32768
    kernel.msgmnb=4194304
    kernel.msgmni=8744

    kernel.shmmax=4000000000
    kernel.shmmni=25512


  4. /etc/sysctl.confへの編集内容が反映されていることを、以下のコマンドで確認します。

    #/bin/cat /etc/sysctl.conf


  5. 上記設定を有効にするために、下記のどちらかの方法を実行します。

    方法1 : システムをリブートして設定を反映

    # cd /
    # /sbin/shutdown -r now

    方法2 : /sbin/sysctl -p を使用して設定を反映

    # /sbin/sysctl -p /etc/sysctl.conf

     ※このコマンドを使用した場合リブートの必要がありません。

  6. 設定したシステムパラメタが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。

    # /sbin/sysctl -a

◆確認コマンドの実行例

# /sbin/sysctl -a
   ・
  (省略)
   ・
kernel.sem = 1100 38151 200 3309
kernel.msgmnb = 4194304
kernel.msgmni = 8199
kernel.msgmax = 32768
kernel.shmmni = 25512
kernel.shmall = 2097152
kernel.shmmax = 4000000000
   ・
  (省略)
   ・

SNMPエージェントをインストールする

Update Release

Update Releaseを適用済みのシステムの場合、SNMPサービスをインストールした後、Update Releaseを再度適用する必要があります。

SNMPエージェントをインストールする場合、以下のrpmパッケージをインストールします。

使用するコマンドについて

[設定ファイル]

/etc/snmp/snmpd.conf


以下にSNMPエージェントの設定ファイルの編集例を記述します。

詳細はmanコマンドを参照してください。

[変更前]

# sec.name source community
com2sec notConfigUser default public

# groupName securityModel securityName
group notConfigGroup v1 notConfigUser
group notConfigGroup v2c notConfigUser

# Make at least snmpwalk -v 1 localhost -c public system fast again.
# name incl/excl subtree mask(optional)
view systemview included .1.3.6.1.2.1.1
view systemview included .1.3.6.1.2.1.25.1.1

# group context sec.model sec.level prefix read write notif

access notConfigGroup "" any noauth exact systemview none none

[変更後]

# sec.name source community
com2sec systemwalker default public

# groupName securityModel securityName
group RWGroup v1 systemwalker
group RWGroup v2c systemwalker
group RWGroup usm systemwalker

# Make at least snmpwalk -v 1 localhost -c public system fast again.
# name incl/excl subtree mask(optional)
view all included .1 80

# group context sec.model sec.level prefix read write notif
access RWGroup "" any noauth exact all none none

設定ファイルを編集後はSNMPエージェントを再起動します。

# /etc/init.d/snmpd stop
# /etc/init.d/snmpd start

コミュニティ名の変更

コミュニティ名を変更する場合、以下のとおり編集します。

ここでは、SNMPエージェントに設定されているコミュニティ名を、“FUJITSU”と仮定して説明します。

[設定ファイル]

/etc/snmp/snmpd.conf

[変更前]

com2sec systemwalker default public

[変更後]

com2sec systemwalker default FUJITSU

アクセス許可するホストの設定

SNMPパケットの受付けを許可するホストの IPアドレスを「*.*.*.*」と仮定して説明します。

[設定ファイル]

/etc/snmp/snmpd.conf

[変更前]

com2sec systemwalker default public

[変更後]

com2sec systemwalker *.*.*.* public

設定ファイルを編集後はSNMPエージェントを再起動します。

# /etc/init.d/snmpd stop
# /etc/init.d/snmpd start

LANGを設定する

Systemwalker Centric Managerの出力メッセージを日本語で出力する場合、Systemwalker Centric Managerをインストールする前に、以下の作業を実施してください。

  1. 以下のファイルと環境変を確認します。

    ファイル名

    /etc/sysconfig/i18n

    環境変数の優先度

    環境変数

    優先度

    LC_ALL

    以下のすべてに優先されます。

    LC_MESSAGES

    LC_ALLが設定されていない場合に有効になります。

    LANG

    LC_ALL、LC_MESSAGESが定義されていない場合に有効になります。

    設定値とコード

    OS名

    上記ファイルの設定値

    Systemwalkerのコード系

    Linux

    ja_JP.UTF-8

    UTF-8

    Linux for Itanium

    ja_JP.UTF-8

    UTF-8

  2. 上記の記述がない場合は、システム管理者(スーパーユーザ)のアカウントで、vi等のエディタを使用してシステムの動作環境に合わせた記述を追加します。

    例)
    環境変数LANGにコード系UTF-8を指定する場合

    LANG= ja_JP.UTF-8

LC_ALL、LC_MESSAGESを定義する場合は、LANGの値と同じ値を設定してください。

ファイアウォールを設定する

Red Hat Enterprise Linux では、標準インストール時にOSのファイアウォール機能が有効となっているため、そのままの設定ではSystemwalker Centric Managerの機能が使用できません。

本書では、ファイアウォール機能を無効としSystemwalker Centric Managerをインストールします。以下の手順で無効の設定をします。

ファイアウォール機能を設定したい場合は、“Systemwalker Centric Manager 導入手引書”を参照してください。

  1. 現在のファイアウォールの設定を消去します。

    # /sbin/iptables -F



  2. すべての送受信を許可します

    # /sbin/iptables -P INPUT ACCEPT
    # /sbin/iptables -P OUTPUT ACCEPT


  3. 設定の保存と反映を行います。設定はすぐにシステムに反映され、システム再起動後も有効になります。

    # /etc/init.d/iptables save
    # /sbin/service iptables restart


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