ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 13.1 -Solaris-
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第5章 バックアップ運用(Symfoware)> 5.5 運用

5.5.3 リカバリの実行

スナップショット型高速バックアップおよび同期型高速バックアップで退避したデータの復元には、リストア実行コマンド(swstrestore)を用います。

Symfowareのリカバリは、業務ボリュームまたはロググループを指定して、バックアップ実行コマンド(swstbackup)でバックアップされた履歴管理されているバックアップボリュームから、リストア実行コマンド(swstrestore)を用いて行います。

ロググループを指定してリカバリを行う場合、ロググループに含まれる業務ボリュームを一度にリカバリします。

また、“-bundle”オプションを使用して同一ロググループの複数の業務ボリュームを一括してリカバリすることも可能です。これを、バンドル・リカバリと呼びます。

RAIDグループ内に複数のデータベーススペースが配置されている場合、これらのデータベーススペースを一括してリカバリすることにより、ログ適用にかかる時間が短縮され、リカバリ時間が短縮されます。

リカバリは、次に挙げる方法で実行することができます。

リカバリするデータのバックアップした方法(通常ダンプ/参照ダンプ)によって、指定できるリカバリ方法が異なります。次に示すような組み合わせで指定することができます。

バックアップ単位

バックアップ方法

リカバリ単位

リカバリ方法

最新状態への復旧

リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧 *1

バックアップ時点への復旧

業務ボリューム

通常ダンプ

ロググループ

同一ロググループの複数の業務ボリューム

業務ボリューム

×

×

ロググループ

通常ダンプ

ロググループ

同一ロググループの複数の業務ボリューム

業務ボリューム

×

×

参照ダンプ

ロググループ

×

同一ロググループの複数の業務ボリューム

×

業務ボリューム

×

×

○:可能 ×:不可能

*1:リカバリポイントについては、Symfoware Serverのマニュアルを参照してください。リカバリポイントはデータベースのリカバリ時まで覚えておく必要があります。

すべての方法において、リカバリ対象となるデータベーススペースがアクセス禁止状態になっている必要があります。アクセス禁止状態にするには、Symfowareが提供するコマンドの“rdbinh”コマンドまたは“rdbexspc”コマンドを用いて行います。コマンドの詳細については、『Symfoware(R) Server RDB 管理者ガイド』または『Symfoware(R) Server RDB運用ガイド』を参照してください。

ロググループに含まれる業務ボリュームを個別にリカバリする場合は、最新状態へ復旧するリカバリ方法のみ行うことができます。この場合、ロググループ内の表間のリレーションはデータベースの管理者の責任で整合させる必要があります。

“最新状態への復旧”、“特定時点への復旧”を行う場合、アーカイブログファイルが外部媒体に保管されていれば、リカバリ時に必要なアーカイブログ退避ファイル名を列挙したファイルを、リカバリを行う業務ボリュームが存在するStorageサーバに作成しておき、リカバリ時に指定する必要があります。このファイルの記述方法については、『Symfoware(R) Server RDB管理者ガイド』または『Symfoware(R) Server RDB運用ガイド』を参照してください。

リストア実行コマンドで実行したリカバリが、作業ディレクトリの空き容量不足で失敗した場合、“-w”オプションを使用して、一時的に別のディレクトリを作業ディレクトリとして再実行することにより、リカバリが可能になります。“-w”オプションの詳細については、「リストア実行コマンド(swstrestore)」を参照してください。

“リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧”もしくは“バックアップ時点への復旧”を行う場合、Symfowareの管理情報を復旧する処理が行われます。この処理はリカバリの実行処理の一部として実施されるため、コマンドの処理に時間がかかります。

データベーススペース単位にバックアップを実施した場合、ロググループ単位リカバリまたはバンドル・リカバリでは、世代指定に相対世代番号を指定するようにしてください。これは、以下の例のようにデータベーススペース単位にバックアップを実施した場合、特定の業務ボリューム(データベーススペース)の履歴が更新されるため、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろわない状態が発生するからです。

(例)ロググループ(LOG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)が存在する場合

1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d0s1
/dev/dsk/c1t0d0s1 swstbackup completed

2日目:データベーススペース(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)を個別にバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d0s1
/dev/dsk/c1t0d0s1 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d0s2
/dev/dsk/c1t0d0s2 swstbackup completed

履歴情報の表示

# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LOG1/RDB1
Server=SV01 Device=/dev/dsk/c1t0d0s1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LOG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation Version   Backup-Date        Backup-Device       Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/dsk/c1t0d2s2   succeeded   ----       5
   2          1      2002/12/11 22:00   /dev/dsk/c1t0d2s1   succeeded   ----       5
Server=SV01 Device=/dev/dsk/c1t0d0s2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LOG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation  Version  Backup-Date        Backup-Device       Status    Execute  ArcSerial
   1          1      2002/12/12 23:00   /dev/dsk/c1t0d2s3   succeeded   ----       5

以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリまたはバンドル・リカバリでは、指定するオプションによって使用されるバックアップデータが異なります。上記の場合、相対世代番号を指定した方が両データベーススペースとも2日目のバックアップデータが使用されるため、リカバリ後のデータベースの整合性を保つことができます。

世代番号の種類

指定

オプション

リカバリに使用されるバックアップデータ

DB1.DBSP1

(/dev/dsk/c1t0d0s1)

DB1.DBSP2

(/dev/dsk/c1t0d0s2)

相対世代番号

-g 1

2日目のバックアップデータ

(/dev/dsk/c1t0d2s2)

2日目のバックアップデータ

(/dev/dsk/c1t0d2s3)

絶対世代番号

-v 1

1日目のバックアップデータ

(/dev/dsk/c1t0d2s1)

ロググループ単位にバックアップを実施した場合、データベーススペース単位バックアップや履歴の削除で絶対世代番号がそろっていない状態でも、ロググループ単位バックアップの絶対世代番号はそろいます。これは、以下の例のように絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)の番号が、絶対世代番号が大きい業務ボリューム(データベーススペース)の番号に合わせられるからです。よって、絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)では、途中の絶対世代番号が抜けた状態になります。

(例)ロググループ(LOG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース1(DB1.DBSP2)が存在する場合

1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d0s1
/dev/dsk/c1t0d0s1 swstbackup completed

2日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)をロググループ単位でバックアップ

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n LOG1/RDB1
LOG1/RDB1 swstbackup completed

履歴情報の表示

# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LOG1/RDB1
Server=SV01 Device=/dev/dsk/c1t0d0s1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LOG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation Version   Backup-Date        Backup-Device       Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/dsk/c1t0d2s2   succeeded   ----       5
   2          1      2002/12/11 22:00   /dev/dsk/c1t0d2s1   succeeded   ----       5
Server=SV01 Device=/dev/dsk/c1t0d0s2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LOG1/RDB1 (SymfoWARE)
Generation  Version  Backup-Date        Backup-Device       Status    Execute  ArcSerial
   1          2      2002/12/12 22:00   /dev/dsk/c1t0d2s3   succeeded   ----       5

以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリまたはバンドル・リカバリでは、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろっているため、どちらの世代指定でも使用されるバックアップデータに違いはありません。

世代番号の種類

指定

オプション

リカバリに使用されるバックアップデータ

DB1.DBSP1

(/dev/dsk/c1t0d0s1)

DB1.DBSP2

(/dev/dsk/c1t0d0s2)

相対世代番号

-g 1

2日目のバックアップデータ

(/dev/dsk/c1t0d2s2)

2日目のバックアップデータ

(/dev/dsk/c1t0d2s3)

絶対世代番号

-v 2

ただし、“-v 1”を指定した場合は、データベーススペース2(DB1.DBSP2)のバックアップデータが存在しないため、リストアコマンドはエラーになります。

リカバリの実行は、業務ボリューム一覧画面またはバックアップ履歴一覧画面を用いて、Web画面による指示が可能です。Web画面の詳細については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』を参照してください。
バンドル・リカバリはWeb画面による指示はできません。

バンドル・リカバリを実行するには、あらかじめ「デバイスリストファイ」という一括してリカバリしたい業務ボリュームを列挙したファイルを作成しておく必要があります。デバイスリストファイルの詳細については、「デバイスリストファイルの記述方法」を参照してください。

5.5.3.1 デバイスリストファイルの記述方

デバイスリストファイルは、リカバリを行うStorageサーバ上の任意の場所に作成します。このファイルをリカバリ実行時に指定することで、複数の業務ボリュームを一括してリカバリすることができます。

デバイスリストファイルの記述例を以下に示します。

デバイスリストファイル作成時の規則を以下に示します。

リストア実行コマンドで-bundleオプションが指定された場合、デバイスリストファイルに記述された業務ボリューム全てがリストアの対象となります。以下の場合、リストア処理はエラーとなります。

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