FUJITSU Linkexpress 解説書 |
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第1章 Linkexpressの紹介 | > 1.2 Linkexpressの特徴 |
Linkexpressの業務定義を利用すると、システムを短時間で構築できます。しかし、相手システムへのメッセージ転送などのように、業務定義で提供しているイベントではニーズを満たせない場合もあります。このような場合のために、Linkexpressは利用者プログラムから利用するためのAPI(利用者プログラムインタフェース)としてC言語の関数とカスタムコントロールを提供しています。APIを利用する事で、業務定義で提供しているイベントよりさらに柔軟な業務を構築し、以下のような処理が可能になります。
利用者プログラムから、直接ファイル転送指示を発行します(ファイル転送)。
自システムと相手システムの利用者プログラム間で連絡をとるための簡易なデータ転送を行います(メッセージ転送)。
相手システム上のジョブの起動を依頼します(相手側ジョブ起動)。
ファイル転送、メッセージ転送、相手側ジョブ起動などのシステム連携処理をコマンドで提供しています。SystemWalkerなどの運用管理製品からファイル転送コマンドを利用できるだけでなく、それらの運用管理製品からファイル転送、メッセージ転送、相手側ジョブ起動を管理することもできます。
ファイル転送コマンドによって相手システムにメッセージ転送を行う場合、相手システムが本書で説明しているPC/UNIXのLinkexpressを搭載していれば、利用者プログラムだけでなく、PCではファイルまたはイベントログに、UNIXではファイルまたはコンソールに転送メッセージを出力することができます。
なお、相手システムがグローバルサーバ/PRIMEFORCEのLinkexpressの場合、メッセージ転送は利用者プログラムやコンソールに通知できますが、ファイルに出力することはできません。
また、ファイル転送コマンドをサポートしていないLinkexpressの場合、メッセージ転送は利用者プログラムに通知できますが、ファイルやコンソールなどに出力することはできません。
ファイル転送を行う場合、ファイル名をワイルドカード名で指定することにより、一度のファイル転送依頼で複数ファイルの一括送信を行うことができます。
なお、相手システムが、一括ファイル転送機能をサポートしているLinkexpressである必要があります。以下のLinkexpressがサポートしています。
Linkexpress V3.0L10 相当以降
Linkexpressは、IPv6アドレスを認識します。IPv4アドレスをもたないシステムで動作することができます。また、IPv4アドレスをもたない相手システムとも通信を行うことができます。以下のLinkexpressがサポートしています。
Solaris(TM)版 Linkexpress 3.0
Solaris(TM)版 Linkexpress Advanced Edition 3.0
Linkexpress V3.0L20相当以降
大規模ファイルの転送を行うことができます。大規模ファイルとは2Gバイトを超えるファイルのことであり、Linkexpressはシステムのファイルサイズ上限値までをサポートしています。なお、ファイルサイズの上限値は、システムおよびシステムのバージョン等により異なります。詳細は各システムのマニュアルを参照してください。
以下のLinkexpressがサポートしています。
Linkexpress V3.0L10 相当以降 (注1)
Linkexpress SAN option 1.0
注) Linux版 Linkexpress V3.0L10 および AIX版 Linkexpress 3.0はサポートしていません。
Linkexpressでは、システム連携処理の応答側動作を作成する場合、複数の方法からシステム構築の手段を選べます。
業務定義で相手システムからのファイル転送要求を監視します(応答側監視業務)。
利用者プログラムで相手システムからのファイル転送要求およびメッセージ転送を監視します(応答監視型利用者プログラム)。
相手システムから通知される転送ファイル名を変換します(仮想ファイル名変換定義)。
また、上記の機能で応答側動作を作成していない場合でも、相手システムからの指示だけでファイル転送要求、メッセージ転送要求、およびジョブ起動要求に対する応答側動作を実行することができます。
Linkexpressは、TCP/IPに加えてFNA/SNA、SANプロトコルをサポートしているため、既存のグローバルサーバ/PRIMEFORCEのネットワーク資産を損なうことなく、新規業務をネットワークに組み込むことができます。これにより、グローバルサーバ/PRIMEFORCEのデータ資産をクライアント/サーバシステムまで流通させることができます。
Linkexpressは、FTPプロトコルとHTTPプロトコルをサポートしているため、他社機との接続も可能です。これにより、他社機のデータ資産を損なうことなく、Linkexpress搭載サーバで活用できます。(HTTPプロトコルはLinkexpress Advanced Editionのみサポートしています)
LinkexpressがサポートするFTPコマンドについては、"付録E FTPコマンド一覧"を参照してください。
LinkexpressがサポートするFTP系、HTTP、HTTPSを利用することでファイアウォールを越えることが出来ます。なお、ファイアウォール越えに際しては、使用するプロトコルをシステムのセキュリティポリシーで許可してください。
(HTTP、HTTPSの場合)
HTTP、HTTPSはLinkexpress Advanced Editionがサポートしています。また、プロキシサーバのリバースプロキシ機能を利用することで、WWWサーバとLinkexpressを同一のマシンで動作させることも可能です。
(FTP系の場合)
FTP系は以下のいずれかの設定を行うことにより、ファイアウォール越えができます。
"データコネクション確立要求元ポート番号"をLinkexpressのネットワーク定義に指定します。以下のLinkexpressがサポートしています。詳細はオンラインヘルプのネットワーク定義(dportオペランド)の説明を参照してください。
・Linkexpress for Windows NT(R) V2.1L20
・Linkexpress Advanced Edition V2.1L20
・Linkexpress Advanced Edition (Solaris(TM)版)2.0
・Linkexpress (Solaris(TM)版)2.0
・Linkexpress V3.0L10 相当以降
"データコネクション確立モード"としてPASVモードをLinkexpressのネットワーク定義に指定します。以下のLinkexpressがサポートしています。詳細はオンラインヘルプのネットワーク定義(pasv_modeオペランド)の説明を参照してください。
・Linkexpress V3.0L10 相当以降
Linkexpressは、異種データベース間のデータ流通を行うための機能としてDB連携機能を用意しています。
この機能を利用すると、異種データベース間のデータ流通が可能になります。たとえば以下のような処理が簡単に実行できます。
グローバルサーバ/PRIMEFORCEのAIM/DBから必要なデータを抽出して、サーバA のSymfoware/RDBに転送します。
サーバA でSymfoware/RDBのデータを抽出します。このデータをサーバB で編集し、Oracleに反映します。
これらの処理は、DB連携機能の以下の機能を使用して行うことができます。
機能 |
説明 |
データ抽出機能 |
Symfoware/RDB、Oracle、AIM/DBなどからのデータ抽出が可能です。(注) |
データ格納機能 |
Symfoware/RDB、SymfoWARE7000、Oracle、SQL Serverなどに対してのデータ格納が可能です。(注) |
データ編集機能 |
入力データの列の並びを変更、またはデータ項目で使用されている文字列のコード系や数値表現の変換を行います。 |
注) PC/UNIXサーバでデータ抽出および差分反映を行う場合は、Linkexpress Replication optionが必要です。
グローバルサーバ/PRIMEFORCEでDB連携機能を利用する場合は、DB-EXPRESSが必要です。
データ抽出/格納可能なデータベース種別は、Linkexpressの動作システムで異なります。詳細は"3.1 運用システムの設計とは"を参照してください。
Linkexpressは、データベースをネットワーク内の各サーバ上に複写することができるレプリケーション機能を用意しています。
レプリケーション機能では、複写元のデータベースの更新結果を、複写先のデータベースに対して自動的に反映します。このことにより、以下の効果を得ることができます。
データの最新性を保証することができます。
差分データだけを転送するため、ネットワークに余分な負荷がかかりません。
なお、Linkexpressのレプリケーション機能を使用するには、以下のソフトウェアが別途必要になる場合があります。詳細は"Linkexpress Replication option説明書"を参照してください。
PC/UNIXサーバの場合 : Linkexpress Replication option
グローバルサーバ/PRIMEFORCEの場合 : DB-EXPRESS/DとPowerAIM/TJNL
異なるシステムの間でデータ流通を行う場合は、格納データを各システムのコード系に変換する必要があります。また、データベースに格納するデータは数値型のデータ(注)をともなうため、抽出したデータをファイル転送の際にテキスト形式に変換したり、表現形式を変換したりしなければなりません。
PC/UNIXサーバのLinkexpressは、格納データに対するコード変換、データ変換をDB連携機能のデータ編集とユーティリティで提供しています。
注) 数値型データは、各システムによってデータの表現形式が異なるため、異なるシステム間でデータ流通を行う際には形式変換を行う必要があります。
表現形式の変換が必要なデータ属性として整数型、外部10進数型、および浮動小数点型などがあります。
なお、Linkexpressは数値型データ属性の変換(整数型→外部10進数など)は行いません。
Linkexpressが扱うコード系は以下のとおりです。
分類 |
コード系 |
富士通グローバルサーバ/PRIMEFORCE |
・ JEF-EBCDIC(カナ) |
IBM計算機システム |
・ IBM日本語文字セット-EBCDIC(カナ) |
UNIXサーバ |
・ EUC(U90)系 (注1) |
PCサーバ |
・ シフトJIS(MS)系 (注4) |
その他 |
・ Unicode(UCS-2)系 |
注1) EUC(U90)系とは、UXP/DSで使用される富士通固有のコード系のことです。
注2) EUC(S90)系とは、Solaris(TM)などで一般的に使用されているコード系のことです。
注3) EUC(HP)系とは、HP-UXでなどで一般的に使用されているコード系のことです。
注4) シフトJIS(MS)系とは、マイクロソフト標準キャラクタセットのことです。
注5) Unicode系とは、全世界の主要な文字を同時に表現する事を目的に策定された文字コード系です。
Linkexpressは、業務定義や利用者プログラムによる回線の同時使用数を判断し、制御を行っています(回線制御、多重制御)。利用者は回線の同時使用数が多すぎる場合に、待ち合わせ制御の有無をネットワーク定義で指示することができます。
待ち合わせ制御を指示している場合は、利用者が行う業務開始指示をLinkexpressがいったん受け付けて、同時使用数が減るまでLinkexpressが保持します。利用者は、通信回線の空き状況を意識する必要はありません。
Linkexpressはファイルの転送中に通信異常が発生した場合に、転送ファイルの途中から転送の再開を行う途中再送機能を用意しています。大規模なサイズのファイル転送の際に途中再送機能を利用することで、通信異常時の再送にともなう通信回線の無駄な圧迫を最小限に食い止めることができます。
Linkexpressは、通信路の負荷を軽減するためにデータ転送速度を抑える機能(転送速度制御)を用意しています。たとえば、大量であるが優先度の低いデータ転送では、転送速度を遅く設定することができます。これにより、他業務の通信処理も滞りません。
Linkexpressはファイル転送時に自動的にファイルを圧縮する転送連動圧縮と、ユーティリティを利用してファイルを事前に圧縮する転送非連動圧縮の2種類のデータ圧縮機能を用意しています。
利用者は適切なデータ圧縮方法を指定する事で、転送時間を短縮できます。
なお、相手システムはLinkexpressがサポートするデータ圧縮方式をサポートしている必要があります。
Linkexpressは、ファイル転送の多重度を表示するコマンドを提供しています。これにより、より正確なリソース見積もりができます。
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