Interstage Application Server 高信頼性システム運用ガイド |
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付録B 旧バージョンでのクラスタ環境構築手順 | > B.3 クラスタサービス機能/SafeCLUSTER(Solaris OE) | > B.3.2 ホットスタンバイ機能(相互待機) | > B.3.2.4 Interstageの環境設定 |
Interstageでクラスタサービス機能を使用した場合、Interstage統合コマンドを使用して環境を設定するのではなく、CORBAサービス、コンポーネントトランザクションサービスのそれぞれで提供されているコマンドを利用し、環境の設定を行う必要があります。
クラスタを使用した環境では、以下のInterstage統合コマンドの使用は禁止されています。使用した場合、誤動作する場合があるので注意してください。
以下の流れで環境の設定について説明します。この時、クラスタを構成するサーバをそれぞれ“ノード1”、“ノード2”として説明します。また、当初の設定は、ノード1がサービス1の運用ノード、ノード2がサービス2の運用ノードとします。
コンポーネントトランザクションサービスの環境定義に対して、ノード1およびノード2で同一のシステム規模を設定する必要があります。システム規模の設定方法については、以下の手順で設定してください。なお、コンポーネントトランザクションサービスの環境定義については“チューニングガイド”を参照してください。
1) 下記ファイルをエディタで開きます。
/var/opt/FSUNtd/etc/sysdef |
2) [SYSTEM ENVIRONMENT]セクションの"System Scale :"を記述し、ファイルを保存します。
CORBAサービス環境定義を変更します。
運用ノードおよび待機ノードにおいて、以下の手順で定義変更を行ってください。
1) 下記ファイルをエディタで開きます。
CORBAサービスインストールディレクトリ/etc/config |
2) “チューニングガイド”の“Interstageのチューニング”を参照し、システム規模に合ったCORBAサービス環境定義の変更を行ってください。
CORBAサービスの環境設定では、以下の設定を行います。
なお、インタフェースリポジトリ(標準インタフェース/valueインタフェース)、ネーミングサービス、ロードバランスは、サービス1に登録し、サービス1の切り替え時のためにデータベースは共用ディスクに置いて両ノードから共用します。
また、サービス1およびサービス2に登録されたCORBAサーバアプリケーションが両ノードで起動できるように、インプリメンテーションリポジトリは両ノードで同じ登録を行います(以降の設定手順では、簡略化のためインプリメンテーションリポジトリをコピーして両ノードを同じ登録内容にしています)。
1) ノード1においてOD_set_envコマンドでオブジェクトリファレンス生成時に埋め込むIPアドレス情報の設定を行います。
OD_set_env -n xxx.xxx.xxx.xxx |
xxx.xxx.xxx.xxx: サービス1に登録された論理IPアドレス。
2) ノード1においてodadminコマンドでCORBAサービスの初期環境の設定を行います。
odadminコマンドでCORBAサービスの初期設定を行います。この時、必要に応じてインタフェースリポジトリ(標準インタフェース、valueインタフェース)、ネーミングサービスを使用するように設定します。また、ロードバランスを使用するかどうかを設定します。なお、odadminコマンドの終了直前に、ObjectDirectorを停止するか確認がありますが、以降の設定のために停止しないでください。
odadmin |
3) CORBAサーバアプリケーションを使用する場合、サービス1・サービス2に登録するすべてのCORBAサーバアプリケーション情報をノード1のインプリメンテーションリポジトリに登録します。
OD_impl_inst -a -r ImplID |
なお、上記のコマンド実行時には、CORBAサービス(OD_start)が起動されている必要があります。
環境設定後およびシステム運用中の登録も可能です。その場合は、両ノードで同じ内容を登録する必要があります。
4) CORBAサーバアプリケーションを使用する場合、ノード1においてサービス1・サービス2に登録するすべてのCORBAサーバアプリケーションのオブジェクトリファレンスを作成し、ネーミングサービスに登録します。その際、ホスト名としてサービス1に登録するサーバアプリケーションはサービス1に登録された論理IPアドレス、サービス2に登録するサーバアプリケーションはサービス2に登録された論理IPアドレスを指定します。
OD_or_adm -c IntfID -a implID -h xxx.xxx.xxx.xxx -p 8002 -n name |
上記コマンド実行時には、CORBAサービス(OD_start)およびネーミングサービス(CosNaming_s)が起動されている必要があります。
環境設定後およびシステム運用中の登録も可能です。なお、ノード1, 2のどちらのノードで行ってもかまいません。
5) ノード1でネーミングサービスを使用する場合、ローカルディスク上の環境ディレクトリを共用ディスク上の任意のディレクトリに複写し、複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /etc/opt/FSUNod/CosNaming $SWITCH |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
6) ノード1でロードバランスを使用する場合、ローカルディスク上の環境ディレクトリを共用ディスク上の任意のディレクトリに複写し、複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /etc/opt/FSUNod/LBO $SWITCH |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
7) ノード1でインタフェースリポジトリを使用する場合、ローカルディスク上の環境ディレクトリを共用ディスク上の任意のディレクトリに複写し、複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /opt/FSUNod/IRDB $SWITCH |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
8) /etc/opt/FSUNod配下に作成された環境定義initial_servicesをinitial_services.scというファイル名としてコピーし、initial_hostsファイルにサービス1に登録された論理IPアドレスをホスト名として追加します。
なお、initial_hostsファイルの編集は“チューニングガイド”の“inithost/initial_hosts”を参照して行ってください。
cp /etc/opt/FSUNod/initial_services /etc/opt/FSUNod/initial_services.sc |
サービス1の切り替え時、initial_services.scの内容を参照して、インタフェースリポジトリのオブジェクトリファレンスを、サービス1が起動するノードのinitial_servicesに登録します。このファイルがない、または壊れている場合、インタフェースリポジトリの起動に失敗します。
9) CORBAサービスを停止し、再起動します。
/opt/FSUNod/bin/OD_stop /opt/FSUNod/bin/S99startod |
10) サービス1の切り替えを行い、ノード2をサービス1の運用ノードにし、ノード2でサービス1で設定した共用ディスクが使用できるようにします。
11) ノード2において、OD_set_envコマンドでオブジェクトリファレンス生成時に埋め込むIPアドレス 情報の設定を行います。
OD_set_env -n xxx.xxx.xxx.xxx |
xxx.xxx.xxx.xxx: サービス2に登録された論理IPアドレス。
12) ノード2においてodadminコマンドでCORBAサービスの初期環境の設定を行います。
odadminコマンドでCORBAサービスの初期設定を行います。この時、インタフェースリポジトリ(標準インタフェース、valueインタフェース)を使用しない設定、ネーミングサービスはリモートで使用する設定にしてホスト名としてサービス1に登録された論理IPアドレスを指定して設定、ロードバランスはノード1の設定と同じ設定をしてください。
odadmin |
13) ネーミングサービスを使用する場合、5)で複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /etc/opt/FSUNod/CosNaming |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
14)ロードバランスを使用する場合、6)で複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /etc/opt/FSUNod/LBO |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
15) インタフェースリポジトリを使用する場合、7)で複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /opt/FSUNod/IRDB |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
16) ノード1の/etc/opt/FSUNod配下の環境ファイルやデータベースファイル(initial_services.sc, impl.db, initial_hosts, obfconfig, irpth)をノード2の/etc/opt/FSUNod配下にコピーします。
17) CORBAサービスを停止し、再起動します。
/opt/FSUNod/bin/OD_stop |
ノード1およびノード2でそれぞれtdsetupコマンドを使用し、コンポーネントトランザクションサービスの環境設定を行う必要があります。この時、セットアップディレクトリについては、ノード1およびノード2のそれぞれのローカルディスクを設定する必要があります。
また、この時ノード1およびノード2で同一のディレクトリ構成としなければなりません。
tdsetup セットアップディレクトリ |
1)ノード2において、ローカルディスク上の環境ディレクトリを共用ディスク上の任意のディレクトリに複写し、複写した共用ディスク上のディレクトリに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /var/opt/FSUNtd/atrbinf $SWITCH |
2)サービスの切り替えを行い、ノード1をサービス1の運用ノードにします。ノード1において1)で複写した共用ディスク上のディレクトリに対して本来のディレクトリパスで参照できるよう、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /var/opt/FSUNtd/atrbinf |
ノード1およびノード2でそれぞれ同一のServletサービスの環境定義を行う必要があります。この時、Servletサービスの環境設定ファイルについては、ノード1およびノード2のそれぞれのローカルディスクに設定する必要があります。
また、この時ノード1およびノード2でServletサービスの環境定義ファイル、Interstage Java実行環境サーバパッケージ、Webアプリケーションは、同一のディレクトリ構成としなければなりません。
Servletサービスの環境設定については、“J2EEユーザーズガイド”の“Servlet/JSP編”を参照してください。
ノード1およびノード2でそれぞれ同一のHTMLページ編集サービスの環境定義を行う必要があります。この時、HTMLページ編集サービスの環境定義ファイルについては、ノード1およびノード2のそれぞれのローカルディスクに設定する必要があります。
また、この時ノード1およびノード2で、HTMLページ編集サービス環境定義ファイル、CORBAオブジェクト定義ファイルは同一のディレクトリ構成としなければなりません。
HTMLページ編集サービスの環境設定については、“WebGateway ユーザーズガイド”の“HTMLページ編集サービスの環境設定と運用手順”を参照してください。
InfoProvider proの環境定義ファイルは、サービスごとの共用ディスク装置上で管理します。
ノード1およびノード2でInfoProvider proの環境定義を同一にするため、ローカルディスク上の環境定義ファイルを共用ディスク上の任意のディレクトリに複写します。複写した共用ディスク上の環境定義ファイルに対して、本来のディレクトリパスで参照できるよう、ノード1およびノード2でシンボリックリンクを作成します。
シンボリックリンク作成後、InfoProvider proの環境定義ファイルの内容を以下のように設定します。
その他の設定方法はクラスタシステムを使用しない場合と同じです。
InfoProvider proの環境定義ファイル
・IPアドレス(IP-address) :サービスで登録された論理IPアドレスを定義します。
・ホスト名(hostname) :論理IPアドレスに対応するドメイン名(または論理IPアドレス)を定義します。
InfoProvider proの環境設定については、“WWWサーバ運用ガイド(InfoProvider Pro編)”を参照してください。
サービス1でノード1(運用ノード)、ノード2(待機ノード)とした場合、以下の手順で設定を行ってください。
1) ノード1(運用ノード)でローカルディスク上のInfoProvider proの環境定義ファイルのあるディレクトリを共用ディスク上に複写し、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /opt/FSUNprovd/conf $SWITCH/conf |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
2) サービス1の切り替えを行い、ノード2を運用ノードにし、ノード2で共用ディスクが使用できるようにします。
3) ノード2では、1)で複写した共用ディスク上のInfoProvider proの環境定義ファイルのあるディレクトリに対して、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /opt/FSUNprovd/conf |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
4) 1)で複写した共用ディスク上にあるInfoProvider proの環境定義ファイルのホスト名(hostname)にノード1(運用ノード)のドメイン名(または論理IPアドレス)を定義します。
5) 1)で複写した共用ディスク上にあるInfoProvider proの環境定義ファイルのIPアドレス(IP-address)にサービス1で登録された論理IPアドレスを定義します。
サービス2は、以下の手順で設定を行ってください。
1) ノード2(運用ノード)でローカルディスク上のInfoProvider proの環境定義ファイルのあるディレクトリを共用ディスク上に複写し、シンボリックリンクを作成します。
cp -r /opt/FSUNprovd/conf $SWITCH/conf |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
2) サービス2の切り替えを行い、ノード1を運用ノードにし、ノード1で共用ディスクが使用できるようにします。
3) ノード1では、1)で複写した共用ディスク上のInfoProvider proの環境定義ファイルのあるディレクトリに対して、シンボリックリンクを作成します。
rm -r /opt/FSUNprovd/conf |
$SWITCH:共用ディスク上のディレクトリ
4) 1)で複写した共用ディスク上にあるInfoProvider proの環境定義ファイルのホスト名(hostname)にノード2(運用ノード)のドメイン名(または論理IPアドレス)を定義します。
5) 1)で複写した共用ディスク上にあるInfoProvider proの環境定義ファイルのIPアドレス(IP-address)にサービス2で登録された論理IPアドレスを定義します。
ノード1およびノード2でそれぞれJava環境設定ファイルを設定する必要があります。
また、この時Java環境設定ファイルで設定するJava(Interstage Java実行環境サーバパッケージ)は、ノード1およびノード2で同一のディレクトリ構成としなければなりません。
下記ファイルを編集して、Java環境を設定してください。
EJBサービスインストールディレクトリ/etc/java_config.txt |
ノード1およびノード2でそれぞれejbmakeapfolderコマンドを使用し、アプリケーション格納フォルダの作成を行う必要があります。この時、アプリケーション格納フォルダについては、ノード1およびノード2のそれぞれのローカルディスクに作成する必要があります。
また、この時ノード1およびノード2で同一のディレクトリ構成としなければなりません。
ejbmakeapfolder /var/ejb-ha/AppFolder |
アプリケーション格納フォルダの作成時には、CORBAサービスを開始しておく必要があります。
S99startodコマンドを使用し、あらかじめCORBAサービスを開始してください。アプリケーション格納フォルダの作成後は、OD_stopコマンドを使用し、CORBAサービスを停止してください。
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