Interstage Application Server 移行ガイド
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第6章 Interstage Application Server V5からの移行> 6.8 Interstage シングル・サインオンの移行> 6.8.1 リポジトリサーバの移行

6.8.1.3 Interstage Application Server Standard Edition, Enterprise Editionからの移行(リポジトリサーバを複数台で運用している場合)

 V5.x Interstage Application Server Standard Edition, Enterprise Editionからのリポジトリサーバの資源の移行手順について説明します。ここではリポジトリサーバを複数台で運用している場合の移行手順について説明します。リポジトリサーバを1台で運用している場合の移行手順については、“Interstage Application Server Standard Edition, Enterprise Editionからの移行(リポジトリサーバを1台で運用している場合)”を参照してください。

■移行手順

 移行は以下の手順で行います。

  1. リポジトリサーバ資源のバックアップ
  2. SSOリポジトリからのデータの抽出
  3. パッケージのアンインストールとインストール
  4. SSOリポジトリ(マスタ)の作成
  5. SSOリポジトリへのデータの移入
  6. SSOリポジトリ(マスタ)のバックアップ
  7. SSOリポジトリ(スレーブ)の作成
  8. SSOリポジトリ(マスタ)の設定変更
  9. リポジトリサーバ資源のリストア
  10. リポジトリサーバ定義ファイルの編集
  11. Webサーバ(Interstage HTTP Server)定義の編集
  12. リポジトリサーバの環境設定

1)リポジトリサーバ資源のバックアップ

 リポジトリサーバの資源をバックアップします。バックアップする資源は以下です。

  1. リポジトリサーバ定義ファイル
  2. サービスIDファイル

 資源のバックアップはすべてのリポジトリサーバに対して行ってください。なお、資源のバックアップ時はWebサーバ(Interstage HTTP Server)を停止してください。

 以下に資源のバックアップの例を示します。


 バックアップ先パスがX:\Backup\ssoatcsvの場合の操作例を以下に示します。

  1. copyコマンド(またはエクスプローラ)を使用して、リポジトリサーバの資源をバックアップ用ディレクトリにコピーします。
      copy C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\conf\ssoatcsv.conf X:\Backup\ssoatcsv
      copy C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\conf\serviceid X:\Backup\ssoatcsv(注)

 注)サービスIDファイルはリポジトリサーバ定義ファイルの“serviceidpath”定義に設定したファイルを指定してください。


 バックアップ先パスが/backup/FJSVssosvの場合の操作例を以下に示します。

  1. cpコマンドを使用して、リポジトリサーバの資源をバックアップ用ディレクトリにコピーします。
      cp -p /etc/opt/FJSVssosv/conf/ssoatcsv.conf /backup/FJSVssosv
      cp -p /etc/opt/FJSVssosv/conf/serviceid /backup/FJSVssosv(注)

 注)サービスIDファイルはリポジトリサーバ定義ファイルの“serviceidpath”定義に設定したファイルを指定してください。

 Webサーバ(Interstage HTTP Server)の移行については“Webサーバ(Interstage HTTP Server)の移行”を参照してください。
 なお、Webサーバ(Interstage HTTP Server)にInterstage シングル・サインオン以外のサービスを設定している場合は、設定している各サービスの移行方法に従ってください。

2)SSOリポジトリからのデータの抽出

 本バージョンでは、SSOリポジトリにSmart Repositoryを使用します。SSOリポジトリをInfoDirectoryからSmart Repositoryに移行する際には、“使用上の注意”の“Smart Repositoryの注意事項”-“InfoDirectoryからの移行に関する注意事項”を参照し、注意事項を確認してください。使用できない文字などを指定している場合は、InfoDirectoryに登録したデータ、またはInfoDirectoryから抽出したデータを、Smart Repositoryに移入できるデータに変更してください。

 InfoDirectoryに登録したデータをすべて抽出します。データの抽出は、リポジトリサーバ(更新系)で、ldapsearchコマンドを実行して行います。コマンドの詳細については旧バージョンの“InfoDirectory使用手引書”を参照してください。


 データの抽出先パスがX:\Backup、データの抽出ファイルがX:\Backup\dir.ldifの場合の操作例を以下に示します。

C:\Interstage\ID\Dir\sdk\C\bin\ldapsearch -h localhost -p ポート番号 -D DSA管理者dn -w DSA管理者dnに設定したパスワード -b トップエントリ "(objectclass=*)" > X:\Backup\dir.ldif


 データの抽出先パスが/backup、データの抽出ファイルが/backup/dir.ldifの場合の操作例を以下に示します。

/opt/FJSVidsdk/C/bin/ldapsearch -h localhost -p ポート番号 -D DSA管理者dn -w DSA管理者dnに設定したパスワード -b トップエントリ "(objectclass=*)" > /backup/dir.ldif

 注)トップエントリはSmart RepositoryでSSOリポジトリを作成する際に必要となります。

3)パッケージのアンインストールとインストール

 現在インストールされているパッケージをアンインストール後、本バージョンのパッケージをインストールします。パッケージのアンインストールとインストールは、すべてのリポジトリサーバに対して行ってください。

4)SSOリポジトリ(マスタ)の作成

 リポジトリサーバ(更新系)において、SSOリポジトリ(マスタ)をSmart Repositoryで作成します。SSOリポジトリ(マスタ)の作成は構築するマシンのInterstage管理コンソールを使用して作成します。詳細については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“SSOリポジトリの作成”を参照してください。

 また、レプリケーションをSSL通信で行う場合は、あらかじめリポジトリサーバ(更新系)にSSL通信環境を構築しておく必要があります。構築方法については、“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“SSOリポジトリ(マスタ)のSSL通信環境の構築”を参照してください。

 なお、SSOリポジトリ作成時には、以下に注意して設定してください。他の項目については“シングル・サインオン運用ガイド”を参照してください。

 注)InfoDirectoryからSmart Repositoryに移行する場合、公開ディレクトリに指定できる文字が制限されます。手順2)でデータを変更した場合は、変更後のディレクトリを指定してください。

5)SSOリポジトリへのデータの移入

 Smart Repositoryで作成したSSOリポジトリにInfoDirectoryから抽出したデータを移入します。リポジトリサーバ(更新系)でldapmodifyコマンドを実行し、InfoDirectoryから取り出したLDIFファイルのデータをSmart Repositoryへ移入してください。コマンドの詳細については“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。


 データの抽出先パスがX:\Backup、データの抽出ファイルがX:\Backup\dir.ldifの場合の操作例を以下に示します。
 パスワードの入力を求められますので、SSOリポジトリ作成時に設定した管理者用DNのパスワードを入力してください。

C:\Interstage\bin\ldapmodify -h localhost -p 通常(非SSL)ポート番号 -D リポジトリ管理者用DN -W -a -c -f X:\Backup\dir.ldif



 データの抽出先パスが/backup、データの抽出ファイルが/backup/dir.ldifの場合の操作例を以下に示します。
 パスワードの入力を求められますので、SSOリポジトリ作成時に設定した管理者用DNのパスワードを入力してください。

/opt/FJSVirepc/bin/ldapmodify -h localhost -p 通常(非SSL)ポート番号 -D リポジトリ管理者用DN -W -a -c -f /backup/dir.ldif

6)SSOリポジトリ(マスタ)のバックアップ

 リポジトリサーバ(参照系)のSSOリポジトリ(スレーブ)を作成するため、リポジトリサーバ(更新系)のSSOリポジトリ(マスタ)のデータをバックアップします。バックアップの方法については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“リポジトリサーバ(更新系)のSSOリポジトリのバックアップ”を参照してください。

7)SSOリポジトリ(スレーブ)の作成

 リポジトリサーバ(参照系)において、SSOリポジトリ(スレーブ)をSmart Repositoryで作成します。SSOリポジトリ(スレーブ)の作成は構築するマシンのInterstage管理コンソールを使用して作成します。

 また、レプリケーションをSSL通信で行う場合は、あらかじめ、すべてのリポジトリサーバ(参照系)にSSL通信環境を構築しておく必要があります。構築方法については、“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“SSOリポジトリ(スレーブ)のSSL通信環境の構築”を参照してください。

 以下に、SSOリポジトリ(スレーブ)の作成手順を示します。以下の手順は、すべてのリポジトリサーバ(参照系)に対して行ってください。

  1. SSOリポジトリ(スレーブ)の作成
     リポジトリサーバ(参照系)でSSOリポジトリ(スレーブ)を作成します。
     作成方法については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“リポジトリサーバ(参照系)のSSOリポジトリ(スレーブ)の作成”を参照してください。
  2. SSOリポジトリ(スレーブ)へのリストア
     バックアップしたSSOリポジトリ(マスタ)のデータをリストアします。
     リストアの方法については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“リポジトリサーバ(参照系)へのSSOリポジトリのリストア”を参照してください。
  3. SSOリポジトリ(スレーブ)の設定変更
     SSOリポジトリ(スレーブ)に、レプリケーションを行うための設定を行います。
     設定方法については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“リストアしたリポジトリサーバ(参照系)のSSOリポジトリの設定変更”を参照してください。

 なお、SSOリポジトリ(スレーブ)作成時には、以下に注意して設定してください。他の項目については“シングル・サインオン運用ガイド”を参照してください。

 注)InfoDirectoryからSmart Repositoryに移行する場合、公開ディレクトリに指定できる文字が制限されます。手順2)でデータを変更した場合は、変更後のディレクトリを指定してください。

8)SSOリポジトリ(マスタ)の設定変更

 リポジトリサーバ(更新系)のSSOリポジトリ(マスタ)に、レプリケーションを行うための設定を行います。設定方法については“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築(SSO管理者編)”−“リポジトリサーバの構築”−“リポジトリサーバ(参照系)の追加”−“リポジトリサーバ(更新系)のSSOリポジトリの設定変更”を参照してください。

9)リポジトリサーバ資源のリストア

 バックアップした以下のリポジトリサーバの資源をリストアします。

  1. リポジトリサーバ定義ファイル
  2. サービスIDファイル

 資源のリストアはすべてのリポジトリサーバに対して行ってください。
 以下に資源のリストアの例を示します。


 バックアップ先パスがX:\Backup\ssoatcsvの場合の操作例を以下に示します。

  1. copyコマンド(またはエクスプローラ)を使用して、バックアップ用ディレクトリのリポジトリサーバの資源をもとのディレクトリにコピーします。
      copy X:\Backup\ssoatcsv\ssoatcsv.conf C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\conf
      copy X:\Backup\ssoatcsv\serviceid C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\conf(注)

 注)サービスIDファイルは必ずC:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\confにリストアし、リポジトリサーバ定義ファイルの“serviceidpath”定義に設定してください。


 バックアップ先パスが/backup/FJSVssosvの場合の操作例を以下に示します。

  1.  cpコマンドを使用して、バックアップ用ディレクトリのリポジトリサーバの資源をもとのディレクトリにコピーします。
      cp -p /backup/FJSVssosv/ssoatcsv.conf /etc/opt/FJSVssosv/conf
      cp -p /backup/FJSVssosv/serviceid /etc/opt/FJSVssosv/conf(注)

 注)サービスIDファイルは必ず/etc/opt/FJSVssosv/confにリストアし、リポジトリサーバ定義ファイルの“serviceidpath”定義に設定してください。

10)リポジトリサーバ定義ファイルの編集

 alternative-certificate-attribute定義に“userSMIMECertificate;binary”を設定している場合は、リポジトリサーバ定義ファイルをリストア後、以下のいずれかを行ってください。

 また、accesslog-filename定義を以下に変更してください。

 
  C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\log\ssoatcsv.log
 
  /var/opt/FJSVssosv/log/ssoatcsv.log

11)Webサーバ(Interstage HTTP Server)定義の編集

 Webサーバ(Interstage HTTP Server)の移行作業を実施後、Interstage HTTP Serverの環境定義ファイル(httpd.conf)に設定してあるリポジトリサーバの設定を削除し、以下の設定を追加してください。本設定は、すべてのリポジトリサーバに対して行う必要があります。なお、ポート番号は移行前に使用していたポート番号を設定してください。
 削除する設定については、旧バージョンの“シングル・サインオン運用ガイド”の“環境構築”−“リポジトリサーバの環境構築”−“Interstage HTTP Serverの環境定義ファイルの設定”を参照してください。

 なお、Interstage HTTP Serverの環境定義の編集に失敗している場合は、[セキュリティ] > [シングル・サインオン] > [認証基盤] > [一覧]に表示されるリポジトリサーバのポート番号に“不明”と表示されます。編集内容に間違いがないか確認してください。

環境定義ファイルに追加する項目

項目名

内容

Listen

サーバが起動するときのネットワークポート番号

LoadModule

リポジトリサーバのプログラム

AddModule

リポジトリサーバの実行に必要な項目

<VirtualHost _default_:ポート番号>
<Location>
SetHandler
</Location>
DocumentRoot
</VirtualHost>

リポジトリサーバの実行に必要な項目

Interstage HTTP Serverの環境定義ファイル(httpd.conf)の設定例


 環境定義ファイルの最終行に以下の記述を追加し、太字部分(ポート番号)を運用に合わせて変更してください。なお、以下はリポジトリサーバを運用するポート番号に“10550”を使用する場合を例にしています。

Listen 10550
LoadModule ssoatcsv_module "C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\lib\F3FMssoatcsv.dll"
AddModule ssoatcsv.c
<VirtualHost _default_:10550>
<Location /ssoatcsv>
SetHandler ssoatcsv-authenticate-handler
</Location>
<Location /resinfo>
SetHandler ssoatcsv-resourceinfo-handler
</Location>
<Location /roleref>
SetHandler ssoatcsv-rolerefresh-handler
</Location>
DocumentRoot "C:\Interstage\F3FMsso\ssoatcsv\pub\docroot"
</VirtualHost>


 環境定義ファイルの最終行に以下の記述を追加し、太字部分(ポート番号)を運用に合わせて変更してください。なお、以下はリポジトリサーバを運用するポート番号に“10550”を使用する場合を例にしています。

Listen 10550
LoadModule ssoatcsv_module "/opt/FJSVssosv/lib/ssoatcsv.so"
AddModule ssoatcsv.c
<VirtualHost _default_:10550>
<Location /ssoatcsv>
SetHandler ssoatcsv-authenticate-handler
</Location>
<Location /resinfo>
SetHandler ssoatcsv-resourceinfo-handler
</Location>
<Location /roleref>
SetHandler ssoatcsv-rolerefresh-handler
</Location>
DocumentRoot "/opt/FJSVssosv/pub/docroot"
</VirtualHost>

12)リポジトリサーバの環境設定

 環境移行後、リポジトリサーバの環境を移行したマシンのInterstage管理コンソールから以下の手順で環境を設定します。本設定は、すべてのリポジトリサーバに対して行う必要があります。各項目の詳細についてはInterstage管理コンソールのヘルプを参照してください。

  1. [セキュリティ] > [シングル・サインオン] > [認証基盤] > [リポジトリサーバ] > [環境設定]タブ > [リポジトリサーバ詳細設定[表示]]、または[詳細設定[表示]]をクリックし、[認証基盤の情報] > [認証基盤のURL]に業務システムからアクセスを受け付ける認証基盤のURLを設定します。認証基盤のURLについては“シングル・サインオン運用ガイド”の“概要”−“URLの決定”−“認証基盤のURLについて”を参照してください。
  2. [リポジトリ]の[リポジトリ名]にSSOリポジトリとして使用するSmart Repositoryのリポジトリ名を選択します。SSOリポジトリ作成時に指定した“リポジトリ名”を選択してください。
  3. [適用]ボタンをクリックします。

■定義項目

 本バージョンの環境定義はInterstage管理コンソールを使用して設定します。V5.xの環境定義の項目とInterstage管理コンソールによる設定の対応については“シングル・サインオン運用ガイド”の“旧バージョンの環境定義と機能について”を参照してください。
 なお、リポジトリサーバ(更新系)の以下の定義は、本バージョンでは認証サーバで定義します。必ず、認証サーバ定義ファイルに設定してください。認証サーバでの定義方法については、“認証サーバの移行”を参照してください。


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