SSF/Backup Facility 運用手引書
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第1章 バックアップ運用の設計

1.5 NAS環境でのバックアップ

NAS環境下のETERNUS NR1000F series の業務データのバックアップは、SSF/Backup Facility、ETERNUS NR1000F seriesおよび、テープライブラリをSANで接続してテープドライブを共有し、そのSSF/Backup Facilityに搭載されたダイレクトバックアップからNDMP(Network Data Management Protocol)を使用することにより ETERNUS NR1000F seriesのボリュームに含まれるディレクトリ単位で、テープ媒体へのバックアップを行うものです。

  • ETERNUS NR1000F seriesには、Snapshot機能(ETERNUS ディスクアレイの「OPC」のようなもの)を持ってます。Snapshot機能については、ETERNUS NR1000F seriesのハードのマニュアルを参照してください。

 

NDMPバックアップに必要なシステム構成は以下の通りです。

 

コンポーネント

必要な条件

SSF/Backup Facility

  • 「SSF/Backup Facility NR1000 バックアップライセンス」をインストールします。
  • ETERNUS ディスクアレイおよびテープライブラリとは、FC I/Fで接続します。
  • ETERNUS NR1000F seriesとは、LANで接続します。

ETERNUS NR1000F series

  • SSF/Backup FacilityおよびNAS業務サーバとは、LANで接続します。
  • SSF/Backup Facilityおよびテープライブラリとは、FC I/Fで接続します。
    FC I/FがサポートされているETERNUS NR1000F seriesは以下の通りです。
    • ETERNUS NR1000 F220
    • ETERNUS NR1000 F325
    • ETERNUS NR1000 F420
    • ETERNUS NR1000 F500
    • ETERNUS NR1000 F520

ETERNUS ディスクアレイ

  • SSF/Backup Facilityの「SP管理領域」をETERNUS ディスクアレイ内に確保する必要があります。

テープライブラリ

  • FC I/Fに対応したテープライブラリを用意します。

NAS業務サーバ

  • ETERNUS NR1000F seriesのボリュームをLAN(NFS、CIFS)接続して使用します。

  • NDMPバックアップを行う場合は、1台のテープライブラリを複数台のSSF/Backup Facility から共有することはできません。

 

1.5.1 テーププールの設 

NDMPバックアップは、ndmpsetpolicyコマンドで指定したテーププールに属するテープ媒体にバックアップデータが保存されます。
また、ETERNUS NR1000F seriesのバックアップデータは、SAN環境のバックアップやネットワーク型バックアップと同一のテープ媒体に書き込むことはできません。そのため、NDMPバックアップ用にテーププールを分けてください。

更に複数のNDMPバックアップ対象のディレクトリがある場合は、バックアップ対象のディレクトリごとにテーププールを分けることを推奨します。

  • ndmpsetpolicyコマンドについては、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「第16章 ETERNUS NR1000F seriesのバックアップのためのコマンド」を参照してください。

 

1.5.2 バックアップデータ量の算 

NDMPバックアップの場合、ETERNUS NR1000F seriesのボリュームに含まれるディレクトリ単位でバックアップを行います。よって、バックアップ1回のバックアップデータ量は、バックアップ対象のディレクトリのサイズと等しくなります。

  • ETERNUS NR1000F seriesのボリュームは“/vol/ボリューム名”という名前のディレクトリとして参照できます。

 

1.5.3 テープ量(必要本数)の算 

NDMPバックアップにおける必要なテープの必要本数は、テーププールの構成、テープライブラリの構成(テープドライブ数など)および、バックアップポリシーの設定など 環境によって違ってきます。そのため、詳細な設計については、富士通技術員に相談してください。

参考として、以下にバックアップポリシー「書き込みポリシー」による算出式を示します。
テープの必要本数を見積もる際の目安としてください。

 

■バックアップポリシー「書き込みポリシー」が“新規テープの先頭から”の場合

バックアップを行うたび、新規テープにバックアップデータが格納されます。1回のバックアップに使用するテープ本数は、以下の計算式で算出できます。

テープ媒体本数 = バックアップ対象のディレクトリの容量 ÷ テープ媒体1本の容量

※ 除算の計算結果が少数点の値を含む場合は、小数点以下を切り上げてください。

テープ本数を最も多く消費するポリシーですが、テープドライブ数に依存しないため見積もりが容易です。テープの有効期間に対してバックアップを行う間隔を考慮した場合に、テープの再利用を効率的に行うことが容易なことからも、このポリシー設定による運用を推奨します。

 

■バックアップポリシー「書き込みポリシー」が“可能な限り追加書き込み”の場合

使用可能な状態にあるテープのうち、最後にバックアップデータが書き込まれたテープに追加書き込みします。ただし、テープドライブ数により見積もりが以下のように異なります。

 

◆テープドライブ数が“1”の場合

最後にバックアップデータが書き込まれたテープに追加書き込みされます。バックアップデータ書き込み中にテープが終端に来た場合は、新規テープが選択されます。1回のバックアップに使用するテープ本数は、以下の計算式で算出できます。

テープ媒体本数 ≦ バックアップ対象のディレクトリの容量 ÷ テープ媒体1本の容量

※ 除算の計算結果が少数点の値を含む場合は、小数点以下を切り上げてください。
※ ≦:2回目以降のバックアップでは追加書き込みがおこなわれるため。

テープに連続してバックアップデータが書き込まれるため、テープ媒体を遠隔保存しやすいですが、テープへの書き込み時間が最もかかるポリシー設定です。

 

◆テープドライブ数が“2”以上の場合

追加書き込みよりもテープドライブの有効利用が優先されます。1回のバックアップに使用するテープ本数は、以下の計算式で算出できます。

テープ媒体本数 ≦ (バックアップ対象のディレクトリの容量 ÷ テープ媒体1本の容量) × テープドライブ数

※ 除算の計算結果が少数点の値を含む場合は、小数点以下を切り上げてください。
※ ≦:2回目以降のバックアップでは追加書き込みがおこなわれるため。

テープドライブ数、ボリュームの数、テープの残り容量などに応じて書き込まれるテープが異なるため、最低限のテープ本数を見積もることが難しいですが、性能効率およびテープ容量効率が最もよいポリシー設定です。

 

■バックアップポリシー「書き込みポリシー」が“自動”の場合

使用可能な状態にあるテープのうち、バックアップポリシーによる破棄予定日とテープに書き込まれたバックアップデータの破棄予定日が最も近いテープに追加書き込みされます。
バックアップデータが書き込まれているテープが無い場合は、新規テープが選択されます。ただし、テープドライブ数により見積もりが以下のように異なります。

 

◆テープドライブ数が“1”の場合

バックアップデータの破棄予定日が最も近いテープに追加書き込みされます。バックアップデータ書き込み中にテープが終端に来た場合は、新規テープが選択されます。1回のバックアップに使用するテープ本数は、以下の計算式で算出できます。

テープ媒体本数 ≦ バックアップ対象のディレクトリの容量 ÷ テープ媒体1本の容量

※ 除算の計算結果が少数点の値を含む場合は、小数点以下を切り上げてください。
※ ≦:2回目以降のバックアップでは追加書き込みがおこなわれるため。

テープに連続してバックアップデータが書き込まれるため、テープ媒体を遠隔保存しやすいですが、テープへの書き込み時間が最もかかるポリシー設定です。

 

◆テープドライブ数が“2”以上の場合

追加書き込みよりもテープドライブの有効利用が優先されます。1回のバックアップに使用するテープ本数は、以下の計算式で算出できます。

テープ媒体本数 ≦ (バックアップ対象のディレクトリの容量 ÷ テープ媒体1本の容量) × テープドライブ数

※ 除算の計算結果が少数点の値を含む場合は、小数点以下を切り上げてください。
※ ≦:2回目以降のバックアップでは追加書き込みがおこなわれるため。

テープドライブ数、ボリュームの数、テープの残り容量などに応じて書き込まれるテープが異なるため、最低限のテープ本数を見積もることが難しいですが、性能効率およびテープ容量効率が最もよいポリシー設定です。

 


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