SSF/Backup Facility 運用手引書
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第1章 バックアップ運用の設計

1.4 ネットワーク環境でのバックアップ

ネットワーク環境でのバックアップを行う場合、テープライブラリの設計とネットワーク型バックアップソフトウェアの運用設計を行います。

  • ネットワーク型バックアップとして、ソフトウェア「NetWorker」と「TSM」の共用はできません。
  • ネットワーク環境のバックアップを導入する場合は、次に示す2つのいずれかを選択して行います。
    • テープライブラリを複数台用意する
    • ETERNUS LT160 テープライブラリ、またはETERNUS LT270 テープライブラリの1台で行う場合は、それぞれのテープライブラリの「論理ライブラリオプション」が必要です。

 

1.4.1 LT160/LT270論理ライブラリの設計 

論理ライブラリ機能は、1台のライブラリ資源(ロボット、セル、テープドライブ)を論理的に分割し仮想的に複数のライブラリを作成することができます。

  • 「LT160 論理ライブラリオプション」では、最大2つの論理ライブラリを作成できます。
  • 「LT270 論理ライブラリオプション」では、最大4つの論理ライブラリを作成できます。

 

  • 論理ライブラリ機能についての詳細は、『ETERNUS LT160 テープライブラリ セットアップガイド (UNIX/IAサーバ編)』、または『ETERNUS LT270 テープライブラリ セットアップガイド』を参照してください。

 

ここでは、1台のライブラリ資源(ロボット、セル、テープドライブ)をどのように論理ライブラリに割り当てるか、検討します。

  1. 接続ホスト(使用するバックアップソフトウェア)の検討

    SSF/Backup Facilityでは、複数の論理ライブラリを“ダイレクトバックアップ”と“ネットワーク型バックアップソフトウェア(NetWorker, TSM)"でそれぞれ使用します。

     

  2. 論理ライブラリ名の検討

    論理ライブラリを管理するための「論理ライブラリ名」を検討します。
    この論理ライブラリ名は“Unique Name”としてETERNUS LT160に設定します。

    下記の表は、それぞれの論理ライブラリ名を「LT160_DBU」と「LT160_NET」とした例です。

     

  3. ロボット制御パスの検討

    それぞれの論理ライブラリにおいてロボット制御パスとして、どのアダプタを使用するのか決定します。
    複数の論理ライブラリで同じアダプタを使用することはできません。

    下記の表は、それぞれのロボット制御パスを「Adapter0」と「Adapter1」とした例です。

     

  4. 収納巻数(セル数)の検討

    それぞれの論理ライブラリにおいて収納巻数(セル数)を決定します。セル数は自由に設定可能です。

    下記の表は、それぞれのセル数を「84巻」ずつとした例です。

     

  5. 接続テープドライブ台数の検討

    それぞれの論理ライブラリに割り当てるテープドライブ台数を決定します。
    テープドライブ台数が決定すれば、割り当てるテープドライブがどの位置から始まっているのか、開始位置(物理的な位置)も決定します。

     

[表 LT160論理ライブラリの設計例]

手順

 

物理ライブラリ
(A20/221モデルの場合)

論理ライブラリ1

論理ライブラリ2

1.

接続ホスト
(使用するバックアップソフトウェア)

 −

SSF/Backup Facility
(ダイレクトバックアップ)

SSF/Backup Facility
(NetWorker または、
TSM)

2.

論理ライブラリ名
(Unique Name)

 −

LT160_DBU

LT160_NET

3.

ロボット制御パスの位置 (Adapter)

Adapter0/1/2/3

Adapter0

Adapter1

4.

収納巻数(cell)

221

84

84

5.

テープドライブ台数(Drive)

10

6

4

テープドライブ開始位置
(Drive Start Position)

0

0

6

 

  • 論理ライブラリの設定については、『ETERNUS LT160 テープライブラリ セットアップガイド (UNIX/IAサーバ編)』の「2.7 論理ライブラリの設定」、または『ETERNUS LT270 テープライブラリ セットアップガイド』の「2.8 論理ライブラリの設定」を参照してください。
 

1.4.2 NetWorkerによるバックアップ 

ここでは、ネットワーク型バックアップにNetWorkerを使用する場合の考慮点について述べます。 

  • NetWorkerを使った一般的なバックアップ運用設計については、『NetWorker 管理者ガイド UNIXおよびLinux版』を参照してください。

 

■サーバ/クライアントの配置

NetWorkerのバックアップシステムは、NetWorkerサーバ,NetWorkerクライアントで構成されます。

NetWorkerサーバはSSF/Backup Facilityに、NetWorkerクライアントはローカルの業務ボリュームをもつ業務サーバにインストールします。

 

■NetWorkerクライアントのインストール

NetWorkerクライアントは、業務サーバにインストールしてください。

  • 詳細は、『NetWorker インストールガイド』の「第2章 NetWorkerソフトウェアをインストールする」を参照してください。

 

■SSF/Backup Facility資源の割り当て

NetWorkerを使用する場合、以下のNetWorkerの管理ファイルをETERNUS ディスクアレイ内のボリュームに配置します。

 

■バックアップ対象のデータの種類による設計上の考慮点

 

◆一般ファイルの場合

通常のNetWorker環境の場合と同じです。NetWorkerサーバをSSF/Backup Facilityで運用しても新たに必要な考慮はありません。

 

◆Oracleデータベースの場合

データベースがOracleの場合は、NetWorker BusinesSuite Module for Oracle を使って同期を取り、バックアップを実行します。

  • NetWorker BusinesSuite Module for Oracle については、別途導入してください。

 

■NetWorkerのバックアップディスクのスペース容量

以下の計算式で求めた値を目安としてください。

バックアップ対象ファイルの総サイズ × (バックアップデータの保存世代数+1)

 

1.4.3 TSMによるバックアップ 

ここでは、ネットワーク型バックアップにTSMを使用する場合の考慮点について述べます。TSMを使った一般的なバックアップ運用設計については、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き (Solaris版)』を参照してください。

 

■サーバ/クライアントの配置

TSMのバックアップシステムは、TSMサーバ, TSMクライアントで構成されます。

TSMサーバはSSF/Backup Facilityに、TSMクライアントはローカルの業務ボリュームをもつ業務サーバにインストールします。

 

■TSMクライアントのインストール

TSMクライアントは、業務サーバにインストールしてください。

  • 詳細は、『ETERNUS SF TSM バックアップ/アーカイブ・クライアント インストールとユーザーのガイド』を参照してください。

 

■TSMのバックアップディスクのスペース容量

以下の計算式で求めた値を目安としてください。

バックアップ対象ファイルの総サイズ × (バックアップデータの保存世代数+1)

 

1.4.4 SAN環境とネットワーク環境を組み合わせた運用 

ダイレクトバックアップとネットワーク型バックアップのバックアップ運用を統合して自動化する場合、Systemwalker Operation Managerなどの汎用的なスケジュール管理ソフトウェアを使用し、バックアップ用のコマンドを実行させます。

 

■論理デバイスバックアップの場合

論理デバイスバックアップをコマンドで実行するには、ダイレクトバックアップのバックアップコマンドを使用します。バックアップコマンドは、SSF/Backup Facilityまたは、業務サーバ上でスーパユーザとなり、投入してください。

 

使用するコマンド

投入先

バックアップ

dbubackup

SSF/Backup Facility(クラスタ構成の場合は、引継ぎノード)

spcntl dbubackup

業務サーバ(Storageサーバ)

  • バックアップコマンドの詳細については、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「第14章 論理デバイスバックアップおよびSymfowareデータベースのバックアップのためのコマンド」を参照してください。
 

■論理ユニットバックアップの場合

論理ユニットバックアップをコマンドで実行するには、ダイレクトバックアップサーバが準備する専用のバックアップコマンドを使用します。本コマンドは、SSF/Backup Facility上でスーパユーザとなり、投入してください。

 

使用するコマンド

投入先

バックアップ

lubackup

SSF/Backup Facility(クラスタ構成の場合は、引継ぎノード)

  • バックアップコマンドの詳細については、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「第15章 論理ユニットバックアップのためのコマンド」を参照してください。

 

■NetWorkerの場合

NetWorkerのバックアップをコマンドで実行するには、業務サーバのスーパユーザのシェルプロンプトから、コマンドを投入します。

 

使用するコマンド

投入先

バックアップ

save
savegrp

業務サーバ(NetWorkerクライアント)

  • 詳細は、『NetWorker 管理者ガイド UNIXおよびLinux版』で“save" および “savegrp"コマンドに関連する記述を参照してください。

 

■TSMの場合

TSMのバックアップをコマンドで実行するには、TSMサーバから、クライアント・バックアップ・セットをバッチ・モードで入力します。

 

使用するコマンド

投入先

バックアップ

GERENATE BACKUPSET

TSMサーバ(SSF/Backup Facility)

  • クライアント・バックアップ・セットについては、『ETERNUS SF TSM 管理者の手引き (Solaris版)』の「第13章 クライアント・ノードのデータの管理」を参照してください。
    バッチ・モードについては、『ETERNUS SF TSM 管理者のための解説書 (Solaris版)』の「第3章 コマンド行インターフェースの使用」の「バッチ・モード」を参照してください。

 


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