SSF/Backup Facility 運用手引書 |
目次
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第1章 バックアップ運用の設計 |
SSF/Backup Facilityによるバックアップ運用を設計する上で、前提となる知識について説明します。
SSF/Backup Facilityでは、以下に示すバックアップ方式が提供されます。
各バックアップ方式により、バックアップ可能なデータ範囲、バックアップ処理単位などが違います。業務内容やデータの種類に合わせて、バックアップ方式を選択してください。
バックアップ方式 |
バックアップ製品 |
バックアップ可能なデータ |
バックアップ単位 |
バックアップ先媒体 |
バックアップ条件等 |
SAN環境 |
AdvancedCopy Manager |
ETERNUS ディスクアレイにあるオープン系ボリュームの業務データ |
論理デバイス |
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業務サーバ上にAdvancedCopy Manager エージェントを搭載 |
SAN環境 |
ダイレクトバックアップ |
ETERNUS ディスクアレイにあるオープン系ボリュームの業務データ(※1) |
論理ユニット(OLU) |
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なし |
SAN環境 |
AdvancedCopy Manager |
ETERNUS ディスクアレイにあるSymfowareデータベース |
ロググループ |
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業務サーバ上にAdvancedCopy Manager エージェントを搭載 また、業務サーバ上にSymfoware Server Advanced Backup Controllerを搭載 (※3) |
SAN環境 |
AdvancedCopy Manager |
ETERNUS ディスクアレイにあるSQL Serverデータベース |
ボリューム(パーティション) |
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業務サーバ上にAdvancedCopy Manager エージェントを搭載 |
SAN環境 |
AdvancedCopy Manager |
ETERNUS ディスクアレイにあるVxVM配下のボリューム |
物理スライス |
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業務サーバ上にAdvancedCopy Manager エージェントを搭載 また、業務サーバ上にVERITAS Volume Managerを搭載 |
SAN環境 |
Systemwalker StorageMGR GR/CF |
ETERNUS6000,ETERNUS8000 にあるグローバルサーバボリュームの業務データ |
論理ユニット(MLU) |
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Systemwalker StorageMGR GR/CF搭載のグローバルサーバ |
ネットワーク環境 |
NetWorker |
ネットワーク上の業務サーバにある業務データ |
ファイル |
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業務サーバ上にNetWorkerクライアント を搭載 |
TSM |
ネットワーク上の業務サーバにある業務データ |
ファイル |
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業務サーバ上にTSMクライアント を搭載 |
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NAS環境 |
ダイレクトバックアップ |
ETERNUS NR1000F seriesにある業務データ |
ディレクトリ |
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SSF/Backup Facilityに「SSF/Backup Facility NR1000 バックアップライセンス」を導入 |
※1: 「論理ユニットバックアップ」は、業務サーバに搭載されたオペレーティングシステムのプラットフォームやデータ種別に関係なく、バックアップが可能です。
※2: Symfoware Server 使用時の制限事項について
標準セキュリティ運用を選択して導入されている環境では、運用できません。
※3: Symfoware Server Advanced Backup Controllerを使用したバックアップ運用とダイレクトバックアップとの関係については、『Symfoware(R) Server RDB運用ガイド』の『14章 Advanced Backup Controller使用時の運用』を参照してください。
※4: ETERNUS6000,ETERNUS8000内ディスクへのバックアップは、Systemwalker StorageMGR GR/CFによって可能です。詳細は、『OSIV Systemwalker StorageMGR GR/CF使用手引書』を参照してください。
※5: ETERNUS NR1000F series内ディスクへのバックアップは、ETERNUS NR1000F seriesのSnapshot機能によって可能です。詳細は、ETERNUS NR1000F seriesのマニュアルを参照してください。
※6: ネットワーク型バックアップのテープ媒体へのバックアップは、ダイレクトバックアップで使用するライブラリとは別に、専用のライブラリ(または論理ライブラリ)を必要とするため次に示す2つのいずれかの方法を選択して行います。
SSF/Backup Facilityがサポートする業務サーバのプラットフォームとディスクアレイは、以下のとおりです。業務内容や必要となるバックアップ機能に合わせて、接続する業務サーバのプラットフォームとディスクアレイを選択してください。
提供する機能 |
接続可能な業務サーバのプラットフォーム |
サポートするディスクアレイ |
統合バックアップ : |
Solaris 8, 9, 10 OS |
ETERNUS GR710 を除くETERNUS GR series(*1) |
統合バックアップ : |
Solaris 8, 9, 10 OS |
ETERNUS GR720,GR730,GR740,GR820,GR840内のオープン系データのみ(*1) |
統合バックアップ : |
Solaris 8, 9, 10 OS |
ETERNUS GR710 を除くETERNUS GR series(*1) |
統合バックアップ : |
Microsoft Windows 2000 Server SP4 |
ETERNUS GR710 を除くETERNUS GR series(*1) |
統合バックアップ : |
Solaris 8, 9, 10 OS |
ETERNUS GR720,GR730,GR740,GR820,GR840内のオープン系データのみ(*1) |
統合バックアップ : |
OSIV/MSP |
ETERNUS6000, ETERNUS8000 内のグローバルサーバボリュームの業務データ |
統合バックアップ : |
プラットフォームに依存しません。 |
ETERNUS NR1000 F220 |
統合バックアップ : |
OEMソフトウェアに依存 |
ETERNUS ディスクアレイ |
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*1:アドバンスト・コピー機能の「EC」を使用する場合は、ETERNUS8000,ETERNUS6000,ETERNUS4000 (モデル200以上),ETERNUS3000 (モデル200以上)または、ETERNUS GR740以降のETERNUS GR seriesが必要です。 *2:アドバンスト・コピー機能をサポートする機種に限ります。 |
アドバンスド・コピー機能(EC/OPC)を使用したバックアップにおけるバックアップデータ格納領域の割り当て論理について説明します。
業務ボリュームのバックアップデータを格納する領域は、OPC利用時はバックアップ実行時に、EC利用時はバックアップ同期処理の開始時に、I/Oアクセス中でない論理ユニットから選択します。
Symfowareデータベースのバックアップでは、「バックアップ先論理ユニット固定化機能」により、“バックアップ先論理ユニット設定ファイル(lupool.conf)”にロググループに含まれるデータベーススペースのバックアップ先論理ユニットを定義します。
よって、「図 論理ユニットプールからの格納領域割り当て(OPC利用時)」および「図 論理ユニットプールからの格納領域割り当て(EC利用時)」で 論理ユニットプールから切り出される論理ユニットは、lupool.confファイルで各データベーススペース(業務ボリューム)に対応付けられた論理ユニットです。
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バックアップデータは、業務ボリュームに設定されたバックアップポリシーに基づいて世代管理されます。バックアップ時の世代管理動作は、以下のように分類されます。
バックアップポリシーのパラメタ |
世代管理動作 |
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バックアップ先 |
ディスク保存世代超過処理 |
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ディスク |
最古世代を削除 |
パターン1を参照してください |
最古世代をテープに退避 |
パターン2を参照してください |
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テープ |
― |
パターン3を参照してください |
両方 |
― |
パターン4を参照してください |
上記パラメタの組み合わせを例に、論理ユニットの割り当て論理を説明します。
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バックアップポリシーの「バックアップ先」に“ディスク”が、「ディスク保存世代超過処理」に“最古世代を削除”が設定されている場合、バックアップデータは論理ユニットプールのみを使用して管理されます。
すでにバックアップデータの保存世代数がバックアップポリシーの「ディスク保存世代数」に達している状態で、バックアップを行った場合、以下の処理論理で、論理ユニットプールに保存されるバックアップデータの世代数と「ディスク保存世代数」を等しい状態に戻します。
具体例を下図で説明します。「ディスク保存世代数」が“3”に設定されており、3世代分のバックアップデータが論理ユニットプールに存在しています。この状態でバックアップを行うと、一時的に4世代分のバックアップデータが存在するため、世代超過が発生します。そこで、最古世代(絶対世代番号1のバックアップデータ)を削除し、論理ユニットプールに最近の3世代分(絶対世代番号2〜4)のバックアップデータを保持します。
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バックアップポリシーの「バックアップ先」に“ディスク”が、「ディスク保存世代超過処理」に“最古世代をテープに退避”が設定されている場合、バックアップデータは論理ユニットプールとテープの双方を使用して管理されます。
パターン1と同じように、すでにバックアップデータの保存世代数がバックアップポリシーの「ディスク保存世代数」に達している状態で、バックアップを行った場合、以下の処理論理で、論理ユニットプールに保存されるバックアップデータの世代数と「ディスク保存世代数」を等しい状態に戻します。
具体例を下図で説明します。「ディスク保存世代数」が“3”に設定されており、3世代分のバックアップデータが論理ユニットプールに存在しています。この状態でバックアップを行うと、一時的に4世代分のバックアップデータが存在するため、世代超過が発生します。そこで、最古世代(絶対世代番号1のバックアップデータ)をテープに書き出した後に最古世代を削除し、論理ユニットプールに最近の3世代分(絶対世代番号2〜4)のバックアップデータを保持します。
テープに格納されたバックアップデータの世代については、世代超過という概念では管理されず、バックアップデータに対する有効期間という概念で管理されます。バックアップデータに対する有効期間は、バックアップポリシーの「有効期間」に設定できます。「有効期間」に設定された期間を超過すると、自動的にその世代のバックアップデータが削除されます。
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バックアップポリシーの「バックアップ先」に“テープ”が設定されている場合、バックアップデータはテープのみを使用して管理されます。
バックアップ実行時は、業務ボリュームのデータをテープに直接書き込むのではなく、業務ボリュームに対してアドバンスト・コピーを実施するための論理ユニットを、論理ユニットプールから切り出します。そして、業務ボリュームから、切り出した論理ユニット(以降、テンポラリ論理ユニットと呼びます)にアドバンスト・コピーを行います。アドバンスト・コピー完了後、テンポラリ論理ユニットにあるデータをテープに書き込みます。テープへの書き込みが完了すると、テンポラリ論理ユニットを論理ユニットプールに返却します。
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テープに格納されたバックアップデータの世代については、パターン2と同じように、世代超過という概念では管理されず、バックアップデータに対する有効期間という概念で管理されます。バックアップデータに対する有効期間は、バックアップポリシーの「有効期間」に設定できます。「有効期間」に設定された期間を超過すると、自動的にその世代のバックアップデータが削除されます。
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この処理の流れを、下図に示します。
バックアップポリシーの「バックアップ先」に“両方”が設定されている場合、バックアップデータは論理ユニットプールとテープの双方を使用して管理されます。
パターン1と同じように、すでにバックアップデータの保存世代数がバックアップポリシーの「ディスク保存世代数」に達している状態でバックアップを行った場合、以下の処理論理で、論理ユニットプールに保存されるバックアップデータの世代数と「ディスク保存世代数」を等しい状態に戻します。
テープへのバックアップデータの保存は、論理ユニットプールに保存されたバックアップデータをテープに書き出し、書き出し完了時にテープのバックアップデータを世代として管理します。したがって、最近のバックアップデータは、下図のように、論理ユニットプールとテープの双方に存在します。下図では、最近の3世代が論理ユニットプールとテープで管理され、それ以前の世代がテープのみで管理されていることを示しています。
テープに格納されたバックアップデータの世代については、パターン2およびパターン3と同じように、世代超過という概念では管理されず、バックアップデータに対する有効期間という概念で管理されます。バックアップデータに対する有効期間は、バックアップポリシーの「有効期間」に設定できます。「有効期間」に設定された期間を超過すると、自動的にその世代のバックアップデータが削除されます。
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保存しているバックアップデータが設定した世代数に達している場合に新たなバックアップを行うと、通常のバックアップ運用では、下図のように、新しいバックアップを登録した後で、最も古いバックアップデータが削除されます。
3世代の保存を設定している場合の、4世代目のバックアップの動き
最新のバックアップが失敗した場合でも、設定された保存世代数を維持するためにこの様な処理を行います。
しかし、上記の方式では、設定した保存世代数よりも1世代分多くバックアップ用の論理ユニットが必要となります。
バックアップ用の論理ユニット保存世代分しか確保できない場合は、バックアップの直前に、最も古いバックアップ履歴を削除することにより、運用することができます。ただし、バックアップが失敗すると、保存世代数が1世代分減ることになります。
バックアップ用の論理ユニットを1世代分しか持たない場合、前述の「+1世代のバックアップ用の論理ユニットを持たないバックアップ運用」と同じ運用を行うと、バックアップが失敗した場合にバックアップデータが無くなってしまいます。また、バックアップ中に業務ボリュームが故障すると、業務データが復旧できなくなってしまいます。
バックアップ用の論理ユニットを1世代分しか持たない場合は、バックアップ時または、次のバックアップ前にバックアップデータをテープにコピーしておく必要があります。バックアップポリシーの「バックアップエンジン」で“EC”または“EC (SUSPEND)”を選択した場合は、バックアップ同期処理の開始前にバックアップデータをテープにコピーした後、最も古いバックアップ履歴を削除する必要があります。
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下図は、Fibre ChannelとFC-SW(ファイバチャネルスイッチ)を使用して、ETERNUS ディスクアレイをSSF/Backup Facilityに接続した構成です。この構成では、ETERNUS ディスクアレイ同士が連携した処理を行うことはありません。
それぞれのETERNUS ディスクアレイ内にバックアップの論理ユニットを配置し、個別にバックアップ運用を行います。
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テープへのバックアップは、通常、業務ボリュームをテンポラリ論理ユニットにコピーし、このコピーをテープにバックアップします。
通常のテープへのコピーでは、アドバンスト・コピー機能でテンポラリ論理ユニットにコピーした時点で業務ボリュームの使用が可能になるため、すぐに業務を再開できます。
“論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップ”では、テンポラリ論理ユニットを使用しないでバックアップを行います。
“論理ユニットプールを使用しないテープへのバックアップ”は、テンポラリ論理ユニットを使用しないため、論理ユニットを作業用に空けておく必要がありません。しかし、バックアップする間、バックアップ対象の業務ボリュームを使用する業務を停止する必要があります。
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“ECのSuspend/Resumeを使用したバックアップ”は、ETERNUS ディスクアレイ のEC拡張機能を利用して、ECの等価性維持状態までの時間を短縮し、バックアップ運用を高速に行う機能です。
従来の“EC”によるバックアップは、バックアップ同期処理の開始を指令されるたびにバックアップ論理ユニットにフルコピーを行うため、バックアップ可能な等価性維持状態になるまでに時間がかかっていました。
“ECのSuspend/Resumeを使用したバックアップ”では、バックアップ実行時にバックアップ同期処理を一時中断(suspend)し、バックアップ指令時点のバックアップ論理ユニット上にある業務ボリューム(論理ユニット)と等価なデータをバックアップデータとして管理します。
その後、このバックアップデータが不要となった時点(バックアップ履歴が削除された時点)で、バックアップ同期処理を再開(resume)し、次回のバックアップに備えます。
このとき、業務ボリューム(論理ユニット)の前回のバックアップ指令時点から更新されたデータの分のみ、バックアップ同期処理を行うため、等価性維持状態までの時間を短縮することができます。
つまり、“等価性維持状態”→“一時中断(suspend)”→“再開(resume)”を繰り返すことで、バックアップデータ作成から次回のバックアップ可能な等価性維持状態までの時間を短くし、高速なバックアップサイクルを実現します。
“ECのSuspend/Resumeを使用したバックアップ”は、同一の業務ボリューム(論理ユニット)に対して、バックアップポリシーの「ディスク保存世代数」に設定した値まで、複数の一時中断(suspend)状態のバックアップ論理ユニットを保持することができ、1つのバックアップ論理ユニットで運用するより、高速なバックアップ運用が可能となります。
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下図(バックアップポリシー「ディスク保存世代数」に“1”が設定されている場合)で説明します。
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“QuickOPCを使用したバックアップ”は、ETERNUS ディスクアレイ(ETERNUS GR seriesを除く) のQuickOPC機能を利用して、初回コピー以降は、前回のバックアップ起動時点からの差分データのみをコピーすることで、物理コピー時間を大幅に短縮し、バックアップ運用を高速に行う機能です。
OPCを利用したスナップショット型高速バックアップでは、バックアップ(OPC)を起動するたびに業務ボリューム全体を、バックアップボリュームへコピーする必要がありました。しかし、同じ業務ボリュームとバックアップボリュームのペアを使用する限り、業務ボリューム全体を毎回物理コピーする必要はなく、前回のバックアップ起動時点からの差分データのみを物理コピーすることによって完全なスナップショットイメージを作成できるため、物理コピー時間の大幅な短縮が可能です。
QuickOPC機能は、前回の物理コピー時点からの差分データのみをコピーする機能です。この機能を利用することによって、物理コピーの短縮を図ることが可能です。
QuickOPC機能を使用したスナップショット型高速バックアップを、差分スナップショット型高速バックアップと呼びます。
通常のスナップショット型高速バックアップと、差分スナップショット型高速バックアップの比較を以下に示します。
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