SSF/Backup Facility 導入手引書
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第8章 オプション製品の追加導入

8.6 PRIMECLUSTER GLS

 

8.6.1 シングル構成への導入 

 

8.6.1.1 インストール 

■FSUNnetパッケージのインストール

  1. システム上でスーパ・ユーザになります。

    % su <Return>

     

  2. 以下の手順でCD-ROMをマウントし、本ソフトウェアのCD-ROM媒体(1枚目)をCD-ROM装置にセットします。

    # mount -F hsfs -r /dev/dsk/<デバイス名>s0 /mnt <Return>

     

  3. pkgadd(1M)コマンドを実行します。

    # pkgadd -d /mnt/Solaris9/products/MAINTENANCE/sparc FSUNnet <Return>

     

    以下の対話処理を行ってください。

    (Copyrightが表示されます)
    
    The copyright notice above dose not evidence any actual or intended
    publication of such source code.
    
    This package's default installation information is following:
            Program install directory: /opt
            Fixed configuration install directory: /etc/opt
            Modifying configuration install directory: /var/opt
    
    Are you sure ? y  [y,n,?,q] y <Return>
    
                            :
                            :
    
    This package contains scripts which will be executed with super-user
    permission during the process of installing this package.
    Do you want to continue with the installation of <FSUNnet> [y,n,?] y <Return>
    
                            :
                            :
    Installation of <FSUNnet> was successful.

     

  4. CD-ROM媒体(1枚目)をCD-ROM装置から取り出します。

    以下のコマンドを実行後、CD-ROM装置のイジェクトボタンを押下してCD媒体を取り出してください。

    # umount /mnt <Return>

     

■FJSVhanetパッケージのインストール

  1. CD-ROM媒体(2枚目)をCD-ROM装置にセットします。

    # mount -F hsfs -r /dev/dsk/<デバイス名>s0 /mnt <Return>

     

  2. pkgadd(1M)コマンドを実行してください。

    # pkgadd -d /mnt/Solaris9/products/GLS/sparc FJSVhanet <Return>

     

    以下の対話処理を行ってください。

    (Copyrightが表示されます)
    
    This package's default installation information is following:
                       Program install directory:                   /opt
    
    Do you want to change the install directory? n [y,n,?,q] n <Return>
    
                            :
                            :
    
    Installation of <FJSVhanet> was successful.

     

  3. CD-ROM媒体(2枚目)をCD-ROM装置から取り出します。

    以下のコマンドを実行後、CD-ROM装置のイジェクトボタンを押下してCD媒体を取り出してください。

    # umount /mnt <Return>

     

  4. shutdown(1M)コマンドを実行して、システムをリブートしてください。

    # shutdown -y -g0 -i6 <Return>

 

8.6.1.2 設計 

 

8.6.1.2.1 二重化方式の選定 

使用する二重化方式を決めます。

SSF/Backup Facilityで使用できる二重化方式は

  • NIC切替方式

のみです。

 

  • 設計の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.1 設計」を参照してください。

 

8.6.1.3 システムの設定 

上記「設計」で決定した内容に従って環境設定を行います。

  • システムの設定の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.2 システムの設定」を参照してください。

 

8.6.1.3.1 カーネルパラメタの設定 

伝送路二重化機能では、以下の値のカーネルパラメタが必要です。システム全体で値が不足する場合は拡張してください。

[カーネルパラメタのチューニング値]

カーネルパラメタ

必要値

備考(パラメタの意味)

shmsys:shminfo_shmmax

5120以上

共有メモリセグメントの最大サイズ

shmsys:shminfo_shmmni

2以上

共有メモリセグメントの最大数

semsys:seminfo_semmni

1以上

セマフォ識別子の最大数

semsys:seminfo_semmns

1以上

システム中のセマフォ最大数

  • カーネルパラメタのチューニング値については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「付録H カーネルパラメタ見積もりワークシート」を参照してください。

カーネルパラメタを編集するには、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。

 

[カーネルパラメタの編集例]

set shmsys:shminfo_shmmax = 278921226
set shmsys:shminfo_shmmni = 197
set semsys:seminfo_semmni = 413
set semsys:seminfo_semmns = 1022

 

8.6.1.3.2 ネットワークの設定 

  1. 物理インタフェースの確認

    使用する物理インタフェースがシステムに実装されているかどうかを、prtconf(1M)コマンドを実行して確認してください。

    # prtconf -D | grep "物理インタフェース名" <Return>

    prtconf(1M)コマンドの詳細については、Solaris OSのマニュアルを参照してください。

    使用する物理インタフェースがシステムに実装されていない場合は、NICを本体装置に追加してください。なお、NICを本体装置に追加した場合は、okプロンプトからboot -rコマンドを実行してシステムを起動するなどして、予め本体装置に追加したNICを認識させてから、再度上記の処理を行ってください。

     

  2. ネームサービスの設定確認

    DNS運用、NIS運用などのネームサービスを使用する場合には、hosts、netmasks、ipnodesのキーワードには、先にローカルファイルを参照するように設定(/etc/nsswitch.confファイル)してください。本設定により、DNSサーバまたはNISサーバと通信ができない状態でもアドレス解決が正常に実行されます。以下に、/etc/nsswitch.confファイルの設定例を示します。

    #
    # /etc/nsswitch.files:
    #
    # An example file that could be copied over to /etc/nsswitch.conf; it
    # does not use any naming service.
    #
    # "hosts:" and "services:" in this file are used only if the
    # /etc/netconfig file has a "-" for nametoaddr_libs of "inet" transports.
    
    passwd:     files
    group:      files
    hosts:      files dns
    ipnodes:    files
    networks:   files
    protocols:  files
    rpc:        files
    ethers:     files
    netmasks:   files
    bootparams: files
    

    • 伝送路二重化機能で設定するアドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名)を定義する際、IPv4アドレスのみを使用する場合でも、/etc/inet/hostsと/etc/inet/ipnodesファイルの両方に設定を行ってください。

     

  3. NIC切替方式の設定

8.6.1.3.3 syslog の設定

伝送路二重化機能によるインタフェースup/downの動作履歴をsyslogメッセージとして出力するためには、以下の設定を行う必要があります。

  1. 設定ファイル(/etc/syslog.conf)に"*.info"の情報を追加します。

    以下に、/etc/syslog.confファイルの設定例を示します。
    本設定では、/var/adm/messagesファイルにメッセージが出力されます。

    # #ident  "@(#)syslog.conf        1.4     96/10/11 SMI"   /* SunOS 5.0 */
    #
    # Copyright (c) 1991-1993, by Sun Microsystems, Inc.
    #
    # syslog configuration file.
    #
    #
    *.err;kern.notice;auth.notice                   /dev/console
    *.err;kern.debug;daemon.notice;mail.crit;*.info /var/adm/messages
    

     

    • メッセージ出力を無効にする場合設定ファイルに“*.info”の情報を削除します。

     

  2. 設定ファイル(/etc/syslog.conf)を変更した後、スーパ・ユーザ資格にて以下のようにsyslogデーモン(syslogd)へ定義ファイルの再読込み通知を行います。

     

    1) syslogデーモンのプロセスID取得

    以下の場合、234がプロセスIDになります。

    # ps -ef | grep syslogd <Return>
      root   234     1  0 17:19:04 ?        0:00 /usr/sbin/syslogd

     

    2) SIGHUPの送信

    1)で取得したプロセス(上記例の場合、プロセスID=234)に対して、SIGHUPを送信します。

    # kill -HUP 234 <Return>

     

8.6.1.4 環境設定の追加手順 

環境設定の追加手順について説明します。

  1. 構成情報の追加

    以下の手順により、構成情報の追加を行います。

    1) 仮想インタフェース情報の設定をhanetconfig createコマンドで行います。

    2) 待機パトロール情報の設定をhanetconfig createコマンドで行います。

    3) 監視先情報の設定をhanetpoll createコマンドで行います。

    • 詳細は、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』の「7.1 hanetconfigコマンド」または「3.3.4 NIC切替方式」を参照してください。
      また具体的な設定例については、「8.6.1.3.3. syslog の設定」を参照してください。

     

    • NIC切替方式では、切替え時に物理インタフェースの活性/非活性処理を行いますが、デフォルトではログファイルには記録されません。動作履歴を詳細に把握したい場合には、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.2.3 syslogの設定」に示す設定を行ってください。
    • hanetconfigコマンドの'-i'オプションまたは'-e'オプションで物理IPアドレスを指定する場合、必ず /etc/hostname."インタフェース名"で設定したIPアドレスと同一のIPアドレスを指定してください。異なる物理IPアドレスを指定した場合は、仮想インタフェースの活性化時にhanetconfigコマンドで指定した物理IPアドレスに上書きして活性化されるため、物理インタフェースを使用した通信ができなくなる場合があります。
    • 使用するHUBがSTP(スパニングツリープロトコル)を使用する設定となっている場合、HUB監視機能により伝送路に異常が発生していないにも関わらずNICの切替えが発生することがあります。この場合、HUB監視機能の監視パラメータをチューニングする必要があります。監視パラメータのチューニング方法については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』の「7.7 hanetpollコマンド」または「D.2.3.1 NIC切替方式で監視先が故障していないのに切替えが発生する」を参照してください。

     

  2. パラメタ設定

    • パラメタ設定の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.3.6 各方式のパラメタ設定」を参照してください。

     

8.6.1.5 オプション機能の設定 

  • オプション機能の設定の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.6 オプション機能の設定」を参照してください。

 

8.6.1.6 その他の機能の設定 

  • オプション機能の設定の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.7 その他の機能の設定」を参照してください。

 

8.6.1.7 動作確認 

ネットワークに接続できるか確認してください。

 

8.6.2 クラスタ構成への導入 

 

8.6.2.1 インストール 

両ノードにPRIMECLUSTER GLSをインストールします。共用ディスクにはインストールしないでください。各ノードへのインストールはシングル構成への導入と同じですので、そちらを参照してください。

 

8.6.2.2 設計 

シングル構成での設計と同じですので、そちらを参照してください。

 

8.6.2.3 システムの設定 

上記「設計」で決定した内容に従って環境設定を行います。

  • システムの設定の詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)』「3.2 システムの設定」を参照してください。

 

8.6.2.3.1 カーネルパラメタの設定 

伝送路二重化機能では、以下の値のカーネルパラメタが必要です。システム全体で値が不足する場合は拡張してください。

[カーネルパラメタのチューニング値]

カーネルパラメタ

必要値

備考(パラメタの意味)

shmsys:shminfo_shmmax

5120

共有メモリセグメントの最大サイズ

shmsys:shminfo_shmmni

2

共有メモリセグメントの最大数

semsys:seminfo_semmni

1

セマフォ識別子の最大数

semsys:seminfo_semmns

1

システム中のセマフォ最大数

  • カーネルパラメタのチューニング値については、『SSF/Backup Facility 運用手引書』の「付録H カーネルパラメタ見積もりワークシート」を参照してください。

カーネルパラメタを編集するには、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。

 

[カーネルパラメタの編集例]

set shmsys:shminfo_shmmax = 270532618
set shmsys:shminfo_shmmni = 227
set semsys:seminfo_semmni = 433
set semsys:seminfo_semmns = 1052

 

8.6.2.3.2 ネットワークの設定 

  1. 物理インタフェースの確認

    使用する物理インタフェースがシステムに実装されているかどうかを、prtconf(1M)コマンドを実行して確認してください。

    # prtconf -D | grep "物理インタフェース名" <Return>

    prtconf(1M)コマンドの詳細については、Solaris OSのマニュアルを参照してください。

    使用する物理インタフェースがシステムに実装されていない場合は、NICを本体装置に追加してください。なお、NICを本体装置に追加した場合は、okプロンプトからboot -rコマンドを実行してシステムを起動するなどして、予め本体装置に追加したNICを認識させてから、再度上記の処理を行ってください。

     

  2. ネームサービスの設定確認

    DNS運用、NIS運用などのネームサービスを使用する場合には、hosts、netmasks、ipnodesのキーワードには、先にローカルファイルを参照するように設定(/etc/nsswitch.confファイル)してください。本設定により、DNSサーバまたはNISサーバと通信ができない状態でもアドレス解決が正常に実行されます。以下に、/etc/nsswitch.confファイルの設定例を示します。

    #
    # /etc/nsswitch.files:
    #
    # An example file that could be copied over to /etc/nsswitch.conf; it
    # does not use any naming service.
    #
    # "hosts:" and "services:" in this file are used only if the
    # /etc/netconfig file has a "-" for nametoaddr_libs of "inet" transports.
    
    passwd:     files
    group:      files
    hosts:      files dns
    ipnodes:    files
    networks:   files
    protocols:  files
    rpc:        files
    ethers:     files
    netmasks:   files
    bootparams: files
    

     

  3. NIC切替方式の設定

8.6.2.4 PRIMECLUSTERから引継ぎネットワークの設定を削除 

PRIMECLUSTERを導入する場合、引継ぎネットワークは、PRIMECLUSTER GLSで管理します。このため、PRIMECLUSTERに設定されている引継ぎネットワークの設定を削除してください。

引継ぎネットワークの設定の削除は、クラスタ運用管理の画面で行います。

 

■操作手順

  1. Web-Based Admin Viewから「Global Cluster Services」−「Cluster Admin」を起動します。
  2. 「rms」タブを選択し、RMSメインウィンドウを表示します。
  3. 「ツール」メニューを選択し、「RMS の停止」をクリックします。
  4. 表示される画面から、「利用可能なノード」を選択し、「確認」をクリックしてuserApplicationを停止します。
  5. 「Cluster Admin」画面を閉じて、「Global Cluster Services」−「userApplication Configuration Wizard」を起動します。
  6. 「userApplicationやResourceの削除」を選択し、「次へ」をクリックします。
  7. 「userApp_sp5000」を選択し、「削除」をクリックします。
  8. 表示される画面から、「userApplicationやResourceのみ」を選択し、userApplicationを削除します。
  9. 「userApplicationやResourceの削除」を選択し、「次へ」をクリックします。
  10. 引継ぎネットワークのリソースを選択し、「削除」をクリックして、引継ぎネットワークのリソースを削除します。

 

8.6.2.5 クラスタ環境設定の追加手順 

クラスタ運用の場合、通常の環境設定の他に、引継ぎ仮想インタフェースの設定、およびクラスタ環境設定が必要です。

引継ぎ仮想インタフェースの設定を行うために下記に示すコマンドが提供されています。クラスタシステムがインストールされた環境でのみ実行してください。

種別

コマンド

機能概要

実行権限

引継ぎ仮想インタフェースの設定

/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc

引継ぎ仮想インタフェース情報の登録/削除/表示を行います。

スーパユーザ

  • クラスタ環境設定については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書』の「B.6.6 クラスタシステムによる設定例(1:1運用待機)」を参照してください。

 

8.6.2.6 構成情報の作成 

仮想インタフェースを構築するために必要となる構成情報の作成を行います。

  • 本作業は、プライマリノードとセカンダリノードの両方で行ってください。

 

  • 構成情報の設定については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書』の「第3章 導入」を参照してください。

 

8.6.2.7 引継ぎ仮想インタフェースの作成 

クラスタリソースへ登録する引継ぎ仮想インタフェースの設定を行います。この設定は、クラスタ運用を行うすべてのノードで行う必要があります。以下に、コマンド実行例を示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n "仮想インタフェース名" <Return>

  • 詳細については、『PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書』の「7.14 hanethvrsc」を参照してください。

 

8.6.2.8 クラスタ環境設定 

“引継ぎ仮想インタフェースの作成”で作成した引継ぎ仮想インタフェースを、Glsリソースとして登録し、userApplicationを作成します。クラスタ環境設定は、RMS Wizardを使用して実施します。

  • Glsリソースへの登録の詳細については、『PRIMECLUSTER 導入運用手引書』の「6.6.1.4 Glsリソースの作成」を参照してください。
  • userApplicationへの登録の詳細については、本書「第5章 クラスタ構成での導入」を参照してください。

 

8.6.2.9 ノード名の設定 

ノード名の設定は以下の手順で行います。

  1. setunameコマンドを使用してノード名を設定します。

    # /usr/bin/setuname -n 設定するノード名 <Return>

     

  2. unameコマンドを使用してノード名が設定されていることを確認します。

    # uname -n <Return>
    設定するノード名

     

  3. システムを再起動します。

    # shutdown -y -g0 -i6 <Return>

     

8.6.2.10 userApplicationの起動 

クラスタ環境設定完了後、userApplicationを起動します。

  • 詳細については、『PRIMECLUSTER 導入運用手引書』の「7.2 PRIMECLUSTERシステムの運用操作」を参照してください。

 

8.6.2.11 動作確認 

ネットワークに接続できるか確認してください。

 


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