Symfoware Server 解説書 - FUJITSU -
目次 索引 前ページ次ページ

第5章 Symfoware Serverの機能> 5.4 クラスタシステム

5.4.1 フェイルオーバ

Symfoware Serverでは、可用性を高めるためにフェイルオーを実現しています。

Symfoware Serverのフェイルオーバが対応するクラスタシステムには、以下があります。クラスタシステムの機能差の詳細については、“各プラットフォームの機能差”を参照してください。

Symfoware Serverのフェイルオーバを利用すると、複数のサーバ(以降、ノードと呼びます)を使ったクラスタシステムを構築して、運用システムと待機システムでシステムを二重化します。

運用システムのダウン時に待機システムに業務を引き継ぐことができます。その間にダウンしたノードをリカバリさせることで、業務再開の時間を短縮できます。

Symfoware Serverのフェイルオーバには、作業を引き継ぐサーバの状態(可用性のレベル)により、スタンバイ機能とホットスタンバイ機能の2つの機能があります。

フェイルオーバを実現するための運用をフェイルオーバ運用と呼びます。

フェイルオーバについての詳細は、“クラスタ導入運用ガイド”を参照してください。

フェイルオーバの概要について、以下に示します。

[図:フェイルオーバ]

Symfoware Serverのフェイルオーバの機能について以下に説明します。

スタンバイ機

運用システムのダウン後に、待機システムでSymfoware Serverを起動する方式です。一般的に言うウォームスタンバイに相当します。

ホットスタンバイ機

あらかじめ、待機システムでSymfoware Serverを起動させた状態で待機させる方式です。

ホットスタンバイ機能はスタンバイ機能に比べて、ダウン後の再起動時間がないため、格段に可用性が向上します。以降、スタンバイ機能は、ホットスタンバイ機能と一緒に説明します。

■フェイルオーバ運用

フェイルオーバ運用の目的は、ノードダウンに伴う業務活動への影響を最小にすることにあります。

Symfoware Serverのフェイルオーバ運用のホットスタンバイ機能の適用効果について以下に示します。なお、スタンバイ機能では、基本システムでの開始時間のみが短縮されます。

[図: フェイルオーバ運用]

フェイルオーバ運用について、以下の機能を説明します。

◆プレオープ

フェイルオーバ運用は、待機ノードにあらかじめ運用ノードと同等の業務動作環境を展開しておくことができます。このプレオープン機能により、切替え時に業務動作環境の展開処理が不要となり、速やかな業務再開が可能です。

◆キャッシュ・リカバ

Symfoware Serverでは待機ノードにあらかじめ運用ノードと同様にデータベース読込み用のバッファプールを定義しておくことが可能です。切替え時でのダウンリカバリではその大容量のバッファプールが使用可能であるため、オンバッファ効果の向上により、データベースの入出力効率がシステムデフォルトのバッファプールを使用する場合と比較して格段に向上します。さらに、リカバリ後はユーザ定義のバッファプールをそのまま運用に使用できるため、速やかな業務再開が可能となります。

◆待機ノードでのアプリケーションのコネクショ

Symfoware Serverでは、待機ノードにおいても、事前にアプリケーションを起動できます。待機ノードのアプリケーションは、CONNECT文を発行し入力データ待ち状態にすることができます。システムダウンからの業務は、アプリケーションの起動を待つことなく送信データの送り先を切り換えるだけで、高速に再開することができます。

PRIMECLUSTERを利用した場合の運用形態

フェイルオーバ運用

フェイルオーバ運用における運用形態には以下があります。

1:1の運用待機

1つのノードで1つの運用系または待機系が動作する形態です。この形態は、運用系の異常時にフェイルオーバすることで業務の継続が可能なため、信頼性の高いシステムが構築できます。

カスケー

1つのノードで1つの運用系が動作し、その他の複数のノードで待機系が動作する形態です。この形態は、1:1運用待機と比べ、二重故障が発生しても業務の継続が可能となり、可用性の高いシステムが構築できます。また、長期的なノードの保守やノードの故障により1つのノードを起動できない場合でも、運用待機の構成を保証することができます。

N:1運用待機

複数の運用系のノードに対して待機系を1つのノードに集約させて動作する形態です。この形態は、運用系の異常時にフェイルオーバすることで業務の継続が可能なため、信頼性の高いシステムが構築できます。

N:M運用待機

複数の運用ノードに対して複数の待機専用ノードを配置する形態です。

この形態は、N:1運用待機と比べ、2重故障が発生しても業務の継続が可能となり、可用性の高いシステムが構築できます。また、長期的なノードの保守やノードの故障により1つのノードを起動できない場合でも、運用待機の構成を保証することができます。

■SafeCLUSTERを利用した場合の運用形態

◆フェイルオーバ運用

フェイルオーバ運用における運用形態には以下があります。

1:1の運用待機

1つのノードで、1つのインスタンス(運用または待機)が動作する形態です。この形態は、複数の運用ノードで連続してノードダウンが発生した場合でも、処理能力を保証できるため、信頼性の高いシステムが構築できます。このため、ミッションクリティカルな基幹業務のシステム構築に向いています。

1つの運用インスタンスに対して、1つの待機インスタンスを配置します。

N:1の運用待機

1つのノードが、複数の待機インスタンスを持ち、その他のノードは、1つのノードにつき1つの運用インスタンスが動作する形態です。この形態は、運用ノードがダウンした時の処理能力を保証し、かつ待機ノード用コストを削減することができます。このため、大容量のデータに対する問合わせが要件となるデータウェアハウスなどの大規模データベースシステムの構築に向いています。

なお、1つのノードがノードダウンした後に、再びN:1の運用待機型の運用形態に戻すためには、切戻しの操作(業務の停止が必要)を行い、システムの形態を初期状態にします。


目次 索引 前ページ次ページ

All Rights Reserved, Copyright(C) 富士通株式会社 2005-2006