Symfoware Server 解説書 - FUJITSU -
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第1章 Symfoware Serverとは何か> 1.1 Symfoware Serverの目的

1.1.1 情報システムの要件

現代の情報システムの要件を説明します。

■情報システムの動

インターネッの急速な広がりによって、企業のビジネススタイルは大幅な変革時期を迎えています。企業の規模や取り扱う商品の種類に関係なく、インターネットをビジネスの中心として捉えなければならない時代になってきています。一方、競争力のある戦略的なビジネスを進めていくためには、情報活用(ビジネスインテリジェンスやデータウェアハウスなど)も、すべての企業に必須のIT(情報技術)環境になっています。

インターネットビジネスについて、以下に示します。

[図:インターネットビジネス]

UNIXサーバ、IAサーバを利用した情報システムの急速な拡大には、2つの背景があると捉えられています。

1つは、コンピュータや周辺機器の小型化・低価格化と、通信ネットワークの大容量化・高速化の進展により、安価に高処理能力が得られる環境が整ってきたという技術的背景です。

もう1つは、企業活動の激化や無駄のない企業経営・部門経営の観点から、ビジネスの効率化が企業活動の基礎として重要になってきたという、社会的背景です。

このように、情報システムは、技術的、社会的な環境が整備され、1企業内に閉じず、企業間、およびインターネットを利用した形で個人や社会にまで広がりを見せています。

ネットワークそのものがインターネットを介して1つのコンピュータとして統合化され、シームレスな利用環境がどこまでも広がっていく、“いつでも、どこでも、誰にでも”を実現するインターネットビジネス時に来ています。

■インターネットビジネスとは

インターネットビジネスは急速に拡大しています。inB企業内のシステムが、BtoB、つまり企業間へのサービスへ発展し、さらにBtoC企業から個人へのサービスにまで広がりつつあります。そのようなビジネスの拡大に伴い、利用者の急増、データ量の急増といったサービスの拡大・変化、あるいは、24時間365日途切れることのないサービス提供の必要性、といった各種の要件が発生しています。このようなインターネットビジネスにおけるシステムの要件の変化に伴って、データベースシステムへの要件も大きく変化しています。

インターネットビジネスにおけるデータベースの特徴

インターネットビジネスの拡大に伴い、データベースの特徴は変化しています。ここでは、ブロードバンド環境におけるデータベースの特徴を説明します。

サービス利用者の急増

インターネットビジネスにおいて、規模の予測は大変難しいと言われています。インターネットに接続し、サービスを利用できる人は、世界中に大勢います。実際にサービスを開始してみると、予想を越える利用者が、サービスを使用する可能性があります。さらに、サービスの運用中に多くの新しい利用者がサービスを利用し始め、予想以上に利用者が急増することもあります。または、そういったサービス拡大の要望を踏まえて、新しいサービスを開始することもあります。このような利用者の急増、サービスの拡大に対して柔軟に対応しなければなりません。

インターネットビジネスにおいては、高い拡張性を持ったシステムが要求されています。

サービス利用者の急増について、以下に示します。

[図:サービス利用者の急増]

膨大な顧客データ

インターネットビジネスにおいて、顧客の数は無制限であり、そこには、顧客データ、取引データなどの膨大なデータが存在します。また、これらの膨大な情報は分析されることにより、次のビジネスの方向を決定付けるための重要な情報元になります。誰が、どのような時期に、どのような商品を買ったか、ということを分析することによって、何を、何時頃、どれほど生産し、どこで販売すればよいかを決めることができます。あるいは、どのようなメディアで、どのように宣伝すれば効果的かというような戦略を練ることもできます。このようなインターネットという広大なスペースで効率的にビジネスを推進するためには、個々の詳細な情報が重要であり、それを受容できる巨大なデータベースが必要となります。

膨大な顧客データについて、以下に示します。

[図:膨大な顧客データ]

途切れることのないサービスの提供

インターネットを用いたビジネスにおいては、ネットワーク先の利用者の環境を特定できません。世界各国の利用者が、あらゆる状況で使用している可能性があります。サービス提供者にとっては夜間の保守の時間でも、ある利用者にとっては仕事の最中という可能性もあります。そのため、一瞬たりともサービスを停止することができません。完全なサービスの連続的な提供が必要になっています。このことは、従来のビジネスシステムの場合よりもさらに高度でミッションクリティカルな局面を迎えています。それゆえに、限りなく高い信頼性が要求されています。保守、運用もサービスを止めずに実施しなければなりません。ビジネスチャンスを逃すことのない無停止なシステムが、インターネットビジネスに要求されています。

途切れることのないサービスの提供について、以下に示します。

[図:途切れることのないサービスの提供]

インターネットビジネスにおけるデータベースの要件

インターネットビジネスにおけるデータベースの3つの特徴には、常に、高性能が要求されています。多くの利用者が使用していても、レスポンスを保証しなければなりません。もちろん、大容量のデータベースであっても、データの保守が同時に走行していても、高いレスポンスを保証する必要があります。そのような意味で、高性能は、インターネット環境において最も重要な要件といえます。

また、24時間連続運転やサービスを続けながら運用や保守をしたいという高可用性、膨大な顧客のデータや取引データを蓄積して運用したいという運用性、利用者の急増やビジネスの拡大に対して柔軟に対応したいという拡張性が要求されています。さらに、完全には拭い去れないハードトラブルが万が一発生したとしても、早急に対処しサービスを再開したいという高信頼性が要求されています。

インターネットビジネスにおけるデータベースの要件について、以下に示します。

[図:インターネットビジネスにおけるデータベースの要件]


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