PRIMECLUSTER 導入運用手引書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
|
目次
索引
|
2.3.1 スタンバイ運用
スタンバイ運用の運用形態を以下に示します。
スタンバイ運用には、ホットスタンバイ運用とコールドスタンバイ運用があります。
ホットスタンバイ運用は、待機状態にあるノードで、すぐに運用状態となるための事前準備を行います。ホットスタンバイ運用の場合、運用状態にあるノードのクラスタアプリケーションの状態はOnline、待機状態にあるノードのクラスタアプリケーションの状態はStandbyとなります。ホットスタンバイ運用を行うためには、使用するPRIMECLUSTER対応製品や ISVアプリケーション、利用者アプリケーションがホットスタンバイをサポートしている必要があります。
コールドスタンバイ運用は、待機状態にあるノードで、すぐに運用状態となるための事前準備を行いません。コールドスタンバイ運用の場合、運用状態にあるノードのクラスタアプリケーションの状態はOnline、待機状態にあるノードのクラスタアプリケーションの状態はOfflineとなります。
■1:1運用待機
◆特徴
- 2ノードから構成されるクラスタシステム上で動作する運用形態。一方が「運用」、もう一方が「待機」の状態になります。運用ノードで異常が発生すると、クラスタアプリケーションは待機ノードに切替わります。こうして中断することなく運用が続けられます。
[利点]
- フェイルオーバ後もクラスタアプリケーションの処理能力は保証されます。
[欠点]
- 冗長構成になっているため、通常時のノードを効率よく使うことができません。
◆フェイルオーバイメージ
■相互待機
◆特徴
- 2つ以上のノードから構成されるクラスタシステム上で動作する運用形態。一般的には2ノードが「運用」として使用されます。各ノードには「運用」状態と「待機」状態のクラスタアプリケーションが存在します。各「運用」クラスタアプリケーションの「待機」を各他ノード上に持ちます。
[利点]
- 全てのノードがクラスタアプリケーションの運用となるため、通常時のノードを効率良く使うことができます。
[欠点]
- いずれかのクラスタアプリケーションがフェイルオーバすると、フェイルオーバしたノードでは2つのクラスタアプリケーションが運用となるため、クラスタアプリケーションの処理能力が低下することがあります。
◆フェイルオーバイメージ
■N:1運用待機
◆特徴
- 3つ以上のノードから構成されるクラスタシステム上で動作する運用形態。一方が「運用」、他方が「待機」の状態になります。運用ノードで異常が発生すると、クラスタアプリケーションは待機ノードに切替わります。同時に複数の運用ノードで異常が発生した場合でもクラスタアプリケーションは待機ノードに切替わります。
[利点]
- 1つのクラスタアプリケーションがフェイルオーバした場合は、フェイルオーバ後もクラスタアプリケーションの処理能力は保証されます。
- 1つのノードが複数のクラスタアプリケーションの待機となるため、クラスタアプリケーション数が多い場合は待機コストを軽減できます。
[欠点]
- 複数のクラスタアプリケーションがフェイルオーバした場合は、1つのノードで複数のクラスタアプリケーションが運用となるため、クラスタアプリケーションの処理能力が低下します。
◆フェイルオーバイメージ
■カスケード(1:1運用待機の応用系)
◆特徴
- 3つ以上のノードから構成されるクラスタシステム上で動作する運用形態。一方が「運用」、他方が「待機」の状態になります。運用ノードで異常が発生すると、クラスタアプリケーションは待機ノードに切替わります。切替えが失敗した場合でも、クラスタアプリケーションはもう一方の待機ノードへ切替わります。
[利点]
- 1ノードを停止した後も、残りのノードでクラスタアプリケーションの冗長構成がとれるため、保守作業時にも可用性を保てます。
- フェイルオーバ後もクラスタアプリケーションの処理能力は保証されます。
[欠点]
- 冗長構成になっているため、通常時のノードを効率よく使うことができません。
◆フェイルオーバイメージ
クラスタアプリケーションの設定時に、各ノードの「クラスタアプリケーションの優先順位」が高い方からノード1、ノード2、ノード3の順に定義された例について説明します。
■移動待機(N:1運用待機の応用系)
◆特徴
- 1つのノードが複数のクラスタアプリケーションの待機となります。その他のノードは1つのノードにつき1つのクラスタアプリケーションの運用と、複数のクラスタアプリケーションの停止となります。
- 本運用形態は、カスケードとクラスタアプリケーション間の排他機能を使用します。
[利点]
- 1つのクラスタアプリケーションが運用となっているノードでは、他のクラスタアプリケーションが運用または待機にならないため、フェイルオーバ後もクラスタアプリケーションの処理能力は保証されます。
- クラスタアプリケーションの復旧時にクラスタアプリケーションを切り戻す必要がないため、復旧時にも業務が継続できます。
- 1つのノードが複数のクラスタアプリケーションの待機専用となるため、クラスタアプリケーション数が多い場合は待機コストを軽減できます。
[欠点]
- 1つのノードが複数のクラスタアプリケーションの待機となるため、クラスタアプリケーション数が多い場合の可用性は低下します。
- 1つのノードに異常が発生し、フェイルオーバした場合、保守作業が完了するまでの間一時的に待機が存在しないため可用性が低下します。
◆フェイルオーバイメージ
■N:M運用待機 (N:1運用待機の応用系)
◆特徴
- 複数の待機専用ノードが複数のクラスタアプリケーションの待機となります。
- 待機専用ノード以外は1つのノードにつき1つのクラスタアプリケーションの運用と、複数のクラスタアプリケーションの停止となります。
- 本運用形態は、カスケードとクラスタアプリケーション間の排他機能を使用します。
[利点]
- 1つのクラスタアプリケーションが運用となっているノードでは、他のクラスタアプリケーションが運用または待機にならないため、フェイルオーバ後もクラスタアプリケーションの処理能力は保証されます。
- クラスタアプリケーションの復旧時にクラスタアプリケーションを切り戻す必要がないため、復旧時にも業務が継続できます。
- 複数のノードが複数のクラスタアプリケーションを待機するため、クラスタアプリケーション数が多い場合の可用性も保てます。
[欠点]
- 冗長構成になっているため、通常時のノードを効率よく使うことができません。
◆フェイルオーバイメージ
All Rights Reserved, Copyright (C) 富士通株式会社 2005