Enhanced Support Facility 2.5.1 ユーザーズガイド
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第3部 保守機能> 第10章 システム情報採取ツール

10.4 コマンド・リファレンス

【名前】

fjsnap - システム情報採取ツール

【形式】

/opt/FJSVsnap/bin/fjsnap [ -H ][ -abhlns ][ -T directory ] output

/opt/FJSVsnap/bin/fjsnap -C [ -H ][ -abhlns ][ -T directory ][ -D directory ] output

【機能説明】

障害解析に必要なシステム情報を採取します。

【オプション】

小文字のオプションは、採取する情報のグループを指定します。省略された場合は、基本ソフトウェア関連のグループ情報を採取します(-bオプション指定と同じです)。

指定可能なグループは、Usageメッセーで表示されます(-Hオプション指定で本コマンドを実行してください)。

以下のオプションがあります。

-H
以下のUsageメッセージを表示します。
Usage: fjsnap [ -H ] [ -abhlns ] [ -T directory ] output
: fjsnap -C [ -H ] [ -abhlns ] [ -T directory ] [ -D directory ] output
-H : Usage
-a : all
-b : basic software (default)
-h : high availability
-l : lp
-n : network
-s : storage array
-T directory : work directory
-C : Add crash dump information
-D directory : Savecore directory
output : ex. /dev/rmt/0
-a
すべての情報を採取します。
-b
基本ソフトウェア関連のグループ情報を採取します。
-h
高信頼性関連のグループ情報を採取します。
-l
プリンタ関連のグループ情報を採取します。
-n
ネットワーク関連のグループ情報を採取します。
-s
ストレージアレイ関連のグループ情報を採取します。
-T
directoryに作業ディレクトリ(作業領域)を指定します。当オプションが省略された場合は、環境変数TMPDIRに定義されているディレクトリを作業領域とします。さらに環境変数TMPDIRが定義されていない場合は、/var/tmpを作業領域として使用します。もし、-Tオプションと環境変数TMPDIRの両方を指定した場合は、-Tオプションで指定したディレクトリが優先されます。
output
出力媒体の特殊ファイル名または出力ファイル名を指定します。
-C
outputに出力した採取情報のアーカイブファイルの後ろにクラッシュダンプファイルのアーカイブファイルを追加で格納します。この場合、outputに指定する出力媒体には、テープをリワインドしない特殊ファイル名(ex. /dev/rmt/0n)を指定してください。outputにテープをリワインドする特殊ファイル名(ex. /dev/rmt/0)を指定すると、採取情報のアーカイブファイルはクラッシュダンプファイルのアーカイブファイルによって上書きされます。
-D
directoryにクラッシュダンプファイルの配置場所を指定します。-Cオプションを指定した場合にのみ有効です。-Dオプションを指定しない場合は、システム上で現在定義されているSavecore directory配下のクラッシュダンプファイルを採取します。Savecore directoryを特定できない場合は、/var/crash/`uname -n`配下からクラッシュダンプファイルを採取します。
採取情報を通常ファイルに出力する場合
この例ではファイル名をallとします。
# cd /export/home/fjsnap <RETURN>
#/opt/FJSVsnap/bin/fjsnap -a all <RETURN>
<<< fjsnap * START !! >>>
<<< Path-name check * START !! >>>
                :
                :
<<< Output * END !! >>>
<<< fjsnap * END !! >>>
# ls <RETURN>
all

採取情報として/export/home/fjsnap/allファイルが作成されます。

クラッシュダンプファイルを追加しない場合
/opt/FJSVsnap/bin/fjsnap -a -T /work /dev/rmt/0 <RETURN>
クラッシュダンプファイルを追加する場合
/opt/FJSVsnap/bin/fjsnap -C -a -T /work /dev/rmt/0n <RETURN>

作業領域のサイズチェッ

作業ディレクトリ(作業領域)は、-Tオプションまたは環境変数TMPDIRに指定されたディレクトリを使用し、指定がない場合は、/var/tmpを使用します。

採取情報のチェッ

採取するファイルの有無をチェックします。チェック結果はログファイルに格納し、存在するファイルを採取します。

採取情報のサイズチェッ

採取するファイルのサイズをチェックします。

サイズが128MBを超えるファイルおよびディレクトリは、WARNINGメッセージを表示して採取対象にしません。

メッセージが表示された時は、システム障害の内容に応じて個別に採取してください。

不明な場合は、当社技術員にご相談ください。

fjsnap:WARNING: XXXXX: Information size limit over : xxxxxxxxx

採取情報の総容量および作業領域の空き容量を表示します。

<<<  needed tmp-space size  >>>

9999 MB is left in xxxxxxxxx

9999 MB is needed

採取情報の総容量が作業領域の使用可能な空き容量よりも大きい場合は、ERRORメッセージを表示して終了します。

fjsnap:ERROR: Not enough space in xxxxxxxxxx

ディスクの空き容量が、採取情報の総容量より十分に大きい作業領域を指定して、 本コマンドを実行してください。

-Tオプションにて指定する場合
# /opt/FJSVsnap/bin/fjsnap -b -T /work /dev/rmt/0 <RETURN>
環境変数TMPDIRにて指定する場合
# TMPDIR=/work; export TMPDIR <RETURN>

情報の採

採取する情報がファイルの場合は、作業領域にコピーします。

find ファイル名 -print | cpio -pdmuL 作業ディレクトリ/fjsnap.d <RETURN>

採取する情報がディレクトリの場合は、そのディレクトリ配下をtar(1)でディレクトリ名のファイルにして、作業領域に配置します。

tar cfh 作業ディレクトリ/fjsnap.d/採取ディレクトリ名.tar 採取ディレクトリ <RETURN>

作業領域に、採取した情報の一覧ファイル、実行時のログファイルおよび採取した情報のファイル属性情報ファイルを作成します。

fjsnap.result : 採取した情報の一覧

fjsnap.elog : 本コマンド実行時のログ(エラー情報を含む)

fjsnap.lsinf : 採取情報ファイルの属性情報(ls(1)の結果)

fjsnap.resultの内容

    
     ST PROG            FILE                                     PHASE
         -              /etc/system                                50
                     〜                 〜                〜
      Uarp_a            ARP_a                                      50
                     〜                 〜                〜
      #EB -             /var/nis                                   50
    
ST :採取結果
スペース:正常に採取しました。
#EB :採取するファイルが存在しませんでした。
#EP :採取プロシジャが存在しませんでした。
#ES :採取する情報のサイズ上限(128MB)を超えました。
#NG :採取プロシジャが異常終了しました。
PROG :採取プロシジャ名
10.6 採取プロシジャ一覧”を参照してください。
FILE :採取するファイルおよびディレクトリ
10.5 採取情報一覧”を参照してください。
PHASE :採取する順位
(標準:50)

情報の採取は、採取する情報を作業領域に配置し、各ファイルをcompress(1)で圧縮を行い、最後にtar(1)でoutputに出力します。

tar cfb output 20 作業ディレクトリ/fjsnap.d <RETURN>

採取禁止ファイル(exclude)

本ツールが採取するシステム情報はすべて、採取する情報のグループ毎に/opt/FJSVsnap/etc配下のファイルに定義されていますが、ここに定義されているファイルまたはコマンド実行結果のうち、採取したくない情報がある場合は、/etc/opt/FJSVsnap/excludeファイルを作成します。例えば、“10.5.2 プリンタ関連”の情報のうち、スプール領域にコピーされた印刷データ(/var/spool/lp/temp/*)を採取したくない場合は、/opt/FJSVsnap/etc配下のプリンタ関連の定義ファイルlpにある"FILE"フィールド(一つ以上の空白またはタブで区切られた第2フィールド)の情報を/etc/opt/FJSVsnap/excludeファイルに記述します。

/opt/FJSVsnap/etc/lpが以下の場合
     #     PROG     FILE                   PHASE
           -        /var/spool/lp/temp     60
           -        /var/spool/print       60
 
/var/spool/lp/tempおよび/var/spool/printを採取したくない場合は、/etc/opt/FJSVsnap/excludeに以下を記述します。
     /var/spool/lp/temp
     /var/spool/print

採取情報の参

採取した情報は、tar(1)でリストアします。カレントディレクトリにディレクトリfjsnap.dを作り、その配下に採取時のディレクトリツリー構造のまま配置します。

tar xf input <RETURN>

inputは、採取媒体に応じた特殊ファイル名または一般ファイル名を指定してください。

採取したファイルは圧縮されていますので、uncompress(1)を用いて解凍してから参照してください。また、採取した情報がディレクトリの場合は、tar(1)でアーカイブファイルになっていますので、展開して参照してください。

クラッシュダンプファイルをリストアする場合は、テープをリワインドしない特殊ファイル名を指定して採取情報を読み込み、続けてtar(1)で読み込んでください。また、mt(1)でテープを進めてから、tar(1)で読み込むこともできます。

mt -f nrinput fsf 1 <RETURN>
tar xf nrinput <RETURN>

nrinputには、テープをリワインドしない特殊ファイル名を指定してください。

【終了ステータス】

情報採取中にエラーが発生した場合、ファイルfjsnap.elogに診断メッセーを出力し、エラーが発生した情報をとばして、次の情報の処理を続けます。

以下の終了ステータスを返します。

0
正常終了
1
異常終了
2
コマンドの構文が不当の場合
3
本コマンドの実行中に本コマンドを再実行した場合

【ファイル】

作業ディレクトリ/fjsnap.d/fjsnap.result

作業ディレクトリ/fjsnap.d/fjsnap.elog

作業ディレクトリ/fjsnap.d/fjsnap.lsinf

【注意事項】

本コマンドの実行中に、本コマンドの再実行は行わないでください。

作業領域が存在しているディスク装置の負荷が一時的に80〜90%程度に高くなります。作業領域が/tmpの場合は、メモリ負荷が高くなります。ディスク負荷が運用上の問題となる場合には、業務アプリケーションやシステムが使用しないディスク装置内のファイルシステムに、作業領域を設定することをお勧めします。

CPUに余力が無い場合(シングルCPUなどの時)は、CPU負荷も非常に高くなります。

スーパ・ユーザ以外のユーザが採取できる情報は制限されています。スーパ・ユーザで実行することをお勧めします。詳細については、“10.7 制限される採取情報”を参照してください。

採取したファイルには、システムの重要な情報が含まれていますので、一般ユーザからアクセスできない場所に配置するなどして、十分な管理を行ってください。

Solaris 10で、zoneを使用する場合は、zone毎に情報を採取してください。また、non-global zoneの情報を採取した場合、global zone の情報が必要になる事がありますので、同時に採取してください。


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