
コストと環境負荷を低減するため、サーバの集約・仮想化を選択する企業が増えています。しかし、サーバを仮想化して集約すると、運用環境が大きく変化するため、新たな課題も生まれています。2009年5月14日、5月15日に東京国際フォーラムで開催された「富士通フォーラム2009」では、システムマネジメント・ミドルウェア事業部 事業部長 大西真吾が、サーバの仮想化環境における新たな運用管理の課題を解決し、コスト削減とサービス品質の向上を共に実現する、富士通のミドルウェアを活用したソリューションとその効果をご紹介いたしました。
[2009年7月14日掲載]
サーバ集約・仮想化が運用にもたらす新たな課題
物理サーバと仮想サーバの一元管理により、トラブル復旧時間を短縮
リソース使用状況を把握し、リソースの有効活用とグリーンITを実現
マルチベンダー環境の統合により、専任の監視要員が不要に
開発と運用プロセスの連携により、アプリケーション変更管理作業のミスを削減
昨年秋以降の急激な経済環境の悪化により、企業のコストに対する関心が高まっています。IT部門の課題に関するある意識調査によると、今年初めの「コスト低減」に関する課題意識は、昨年末に比べて倍増しています。しかも、IT部門のコスト低減は、環境負荷の低減にもつながることもあり、より一層関心が高まっています。
「このような状況の中、コスト競争力強化に向けて、サーバの集約や仮想化を選択するお客様が増えています。各部門に分散していたIT資産を一箇所に集約してさらに仮想環境にすることで、「サーバ台数の縮小」、「設置スペースの削減」、「消費電力の削減」につなげることができ、コストと環境負荷の低減を同時に実現できるからです。」(大西)
あるお客様では、次のような成果があがりました。
このようにサーバ集約や仮想化は、大きなメリットをもたらす一方で、システム運用に二つの大きな変化をもたらし、その結果新たな課題が生じています。ひとつめの変化は、システム構成の変化です。従来は、基本的にひとつのサーバにひとつの業務を構成するアプリケーションが搭載されていたため、その関係が明確でトラブル箇所の特定が容易でした。しかし、仮想化によって複数のサーバを束ねて複数の業務を構成するアプリケーションを稼働させるようになると、アプリケーションとサーバの関係が複雑化します。そのため、アプリケーションとハードウェアの関係がわからなくなり、トラブル箇所の特定が困難で、その復旧に時間がかかるようになっています。また、物理サーバ上で、各仮想サーバがどのぐらいリソースを使用しているかが把握しづらく、リソースが有効活用されているかどうかわからないという問題も生じています。
もうひとつの変化は、組織体制の変化です。業務部門ごとにシステムを管理していた時は、開発部門と運用部門が垂直連携で作業を行っていたため、業務の内容やシステム構成などを熟知した担当者が運用も手がけており、スムーズな運用ができていました。しかし、サーバを集約すると、開発部門は従来体制のままで運用部門だけが集約されるので、開発部門と運用部門の関係に変化が発生します。
開発部門と運用部門が分離し、内部統制により職務分掌を明確にすると、従来開発部門が行っていた細かいトラブル調査なども運用部門が行わねばならず、運用部門の負荷が高まります。また、業務システムごとに管理方式が異なるため、運用を統合しても、結局業務システムごとに専任の監視要員が必要となってしまいます。
また、運用部門は複数の開発部門を相手に業務運用を進めなければなりません。業務を構成するアプリケーションに変更が発生した場合、複数の開発部門を相手にすることを前提に部門間でアプリケーションを受け渡すことになり、ミスが発生しやすくなるのです。

【図1 : サーバ集約・仮想化による二つの変化】
このような新たに発生した4つの課題に対し、富士通は運用管理ミドルウェアで運用の負担を軽減し、運用コスト削減とサービス品質の向上を目指します。
それでは、4つのソリューションについて事例を交えながらご紹介いたします。
まず、システム構成の変化に起因する課題と、それに対応するソリューションをご紹介します。
業務と物理サーバの関係が仮想化によって分断され、関係がわからない状況でトラブルに対応するためには、複数のツールやコンソールを駆使したり、設計書と照らし合わせながらトラブルの原因を探る必要があり、原因の特定までにかなりの時間がかかってしまいます。
この課題に対して富士通の「ServerView Resource Coordinator VE」を利用すると、仮想サーバと物理サーバ、さらに仮想ネットワークを含めて、それぞれの関係を「見える化」することができ、これにより、ハード異常がどの業務に影響を及ぼすかを、即座に把握できるようになります。さらに、サーバ異常時に短時間で予備サーバに切り替えることも可能です。

【図2 : 仮想サーバと物理サーバの関係の見える化と予備サーバへの自動復旧により、トラブル復旧時間を劇的に短縮】
あるお客様では、サーバ9台をサーバ5台(予備1台)に集約して運用を効率化するとともに、障害復旧時間の短縮を実現するため、「ServerView Resource Coordinator VE」を採用されました。従来半日以上かかっていた復旧時間を、平均30分以内、最短で12分に短縮できました。
仮想環境では、物理サーバのリソース使用状況の詳細が分かりにくく、また、仮想サーバの稼働状況にあわせたリソース配分の正しい判断ができないため、この問題を解決するためには、リソース使用状況の見える化とリソースの自動配分が重要です。
富士通の「Systemwalker Service Quality Coordinator」は、物理サーバごとに仮想サーバ別のCPU使用率の見える化が可能です。これにより、物理サーバにリソースの余裕があるかどうかを確実に把握できるのです。
さらに、「ServerView Resource Coordinator VE」を利用して、仮想サーバを物理サーバ間で移動させることが可能です。たとえば、3台の物理サーバを利用している場合、2台のリソースで足りるのであれば、仮想サーバを2台の物理サーバにまとめて、未使用となった物理サーバの電源をオフにできます。これにより、省電力運用も実現します。

【図3 : リソースの使用状況を把握し、グリーンITを実現】
このソリューションは、新たなシステムを追加する際にも有効です。物理サーバのリソースを把握することにより、既にある物理サーバに仮想サーバを追加できるのか、新たな物理サーバを導入しなければならないかを判断できるようになります。
さらに、オフィスにおけるグリーンITという意味では、PCの省電力も重要です。IT機器の中でサーバの消費電力が占める割合は16%。それに比べてPCは31%です。(注1)富士通の「Systemwalker」は、サーバ対策だけではなく、「Systemwalker Desktopシリーズ」でクライアント対策を行い、サーバとクライアントの両面からグリーンITをサポートします。
たとえば、PCの電力使用量やCO2排出量を見える化して、意識の向上につなげたり、すべてのPCを一律に省電力モードにすることが可能です。この製品を富士通の開発部門にある約5,000台のPCに適用すれば、電力使用量が約40%削減できるという試算が出ています。
(注1)出典:Gartner Inc. “IT Hardware Energy Consumption, Worldwide, 2005-2012” By Jim Tully, Peter Middleton and Stan Bruederle(2008年12月17日)
ここからは、体制の変化に起因する課題と、それに対応するソリューションをご紹介します。
サーバを集約すると、それぞれのシステムの構築時期やベンダーが違うことによって、異なる製品の混在環境になりがちです。そのため、システムを管理する運用管理製品もそれぞれのベンダーの製品を利用することが多く、操作方法が異なるためシステムごとに担当者が必要になり、せっかく集約しても運用の効率化が図れません。
「Systemwalker Centric Manager」は、既存の業務システムに手を入れることなく統合管理を実現できるよう、各社の運用監視製品と連携するためのアダプタを提供しています。これにより、異なる運用管理製品で監視していたシステムの統合管理が簡単に実現できます。統合監視画面は、すべてのイベントをひとつの画面で表示でき、各イベントメッセージからドリルダウンしていくだけで、エラーの詳細や対処方法を確認できます。これにより、オペレーターは対処方法の違うエラーでも、間違いなく対処できるようになります。

【図4 : 異なるベンダーの運用管理製品を統合】
3つの部門で8つのシステムを運用していた某大手地方銀行様では、システムをセンターから集中的に統合管理することにしました。部門ごとに異なる監視製品を利用していましたが、「Systemwalker Centric Manager」により統合監視が可能になりました。これにより、運用工数を20%削減できました。
サーバ集約により運用部門と開発部門が分離すると、どうしても情報伝達が疎遠になりがちです。そのため、モジュールの受け渡しなど連携しなければならない場面でミスが起きやすくなります。また、相手の状況がわかりにくく、問題の発見が遅れる原因にもなります。
さらに、従来モジュールの受け渡しなどは紙文書にしたがって手作業で行われていることが多く、確認も目視で行われてきました。そのため、開発作業でのプログラム集約のミスで一部のモジュールを渡し忘れたり、更新時に運用部門で古い世代のモジュールをアップしてしまうなど、ミスが起こりやすい環境にあります。そして、このようなミスは、重大なトラブルにつながりかねません。
このようなトラブルを減らすには、プログラムの開発からリリースデータの作成、受け渡し、適用、結果確認までのプロセスをシステム化し、アプリケーションの変更が正しく行われたことを保証する必要があります。
富士通の「Systemwalker IT Process Master(注2)」は、従来手作業で行っていたアプリケーションの変更プロセスをワークフローによって電子化し、作業の申請や承認などのプロセスを標準化します。作業や承認の履歴を自動的に記録するので、内部統制にも対応できます。さらに、「Interstage Application Development Cycle Manager」を利用すれば、文書やモジュールなど関連データの一元管理が可能になります。
(注2)Systemwalker IT Process Master : 次版で機能提供予定

【図5 : アプリケーション変更管理作業のミス削減】
システム化によって、開発時に発生する文書とモジュールを一元管理できるので、ミスの起こりにくい開発環境を実現します。また、複数のメンバーが関わった作業の集約管理も容易になり、運用部門への受け渡しによるミスを防止することができます。
一方運用部門では、従来目視で行っていたモジュールの配布から適用、確認までの一連の作業を自動化します。受け取ったモジュールと適用されたモジュールのFingerPrint(FP)(注3)を照合することで、間違いなく適用されたことを確認できるのです。
(注3)FingerPrint(FP) : 修正モジュールが改ざんされていないことを証明するデータ
たとえば、400モジュールを適用する際、40モジュールの適用漏れが起き障害が発生したとします。この状態で漏れを探し出すためには1時間以上かかり、復旧にはさらに時間がかかると想定されます。ここに「Interstage Application Development Cycle Manager」と「Systemwalker IT Process Master」を導入すれば、作業工数や障害を大幅に削減することができます。開発指示書とモジュールを一元管理することで、開発時の管理工数を20%、モジュールの適用工数を30%削減できます。また、受け渡しから適用、結果確認までを自動化することで障害をなくすことが可能です。
「スリム化投資の時代に求められる、さらなるコスト競争力強化、環境経営への取り組みに向けて、最適なIT投資を行なうことが企業の重要課題となっています。富士通のミドルウェアは、サーバ集約・仮想化による効果を最大限に引き出すため、「物理と仮想の関係」を見える化し、「リソース」を有効活用することと、「複数システムの運用」を統合し、「開発と運用の作業プロセス」を標準化することで、運用コスト削減とサービス品質の向上を実現します。」(大西)
富士通は今後も、お客様の期待を超えるようなミドルウェアのご提供を通じ、お客様企業のビジネスの発展に貢献してまいります。

【図6 : 富士通のミドルウェア体系】
(注) 本ページに記載された内容は、掲載日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。
日時: 2009年12月3日(木曜日) 14時~16時40分
場所: Platform Solution Center (東京)
日時: 2009年12月10日(木曜日) 15時~17時
場所: Platform Solution Center (東京)
(注)開催日以降または満員等により上記セミナーは予告なく締め切らせていただくことがございます。あらかじめご了承下さい。
システム全体の最適化支援:
個人情報保護対策、情報漏洩対策ソリューション:
統合運用管理:
ITILに基づく変更 ⁄ リリース管理:
サーバの自動化・可視化ソフトウェア:
アプリケーションライフサイクル管理: