サーバとクライアントの同期を取った適用が必要な業務アプリケーションを配付する場合は、後刻適用により部門管理/業務サーバまで事前に資源を配付し、指定された適用予定日時経過後にクライアントにダウンロード・適用を行う運用を行っていました。しかし、大量の資源配付を行う場合には新業務開始時間までにクライアントへのダウンロードが完了しないケースが出てきました。
この問題を解決するため、資源配付では、新業務開始時(適用予定日時)までに業務と並行してクライアントまで事前に資源を配付しておき、新サービス開始時に一斉にクライアント上で適用する運用方法をサポートします。この運用形態を「分割事前デリバリ」と呼びます。
ここでは、分割事前デリバリの運用について説明します。
ダウンロード種別
ダウンロード種別には、「通常配付」と「事前配付」があります。
通常配付
通常の方式です。
個別資源の場合
適用種別「後刻」で、クライアントの適用予定日時が未経過の場合は、クライアントからのダウンロードが行えません。
メンテナンス版数の場合
クライアントの適用予定日時が未経過の場合は、クライアントからのダウンロードが行えません。
事前配付
分割事前デリバリを行う場合の方式です。事前配付は、適用種別が「後刻」の場合だけ有効です。
個別資源の場合
適用種別「後刻」で、クライアントの適用予定日時が未経過の場合でも、クライアントからのダウンロードが行えます。
メンテナンス版数の場合
クライアント適用予定日時が未経過の場合でも、クライアントからのダウンロードが行えます。
通常配付
通常配付は、各資源に対して適用予定日時を設定し、設定した日時を経過した場合にだけクライアントに当該資源をダウンロードする方式です。
事前配付
事前配付は、各資源に対して適用予定日時を設定し、設定した日時を経過しなくてもクライアントに当該資源をダウンロードできます。
適用予定日時が経過した時に、クライアント側で一斉に適用する方式です。
なお、適用予定日時経過後にダウンロードした場合は、通常配付での日時経過と同じです。
クライアント側での適用は、以下の条件を満たした場合に行われます。
クライアント資源の適用予定日時が経過している場合
サーバ資源が存在する場合は、サーバ資源の適用が正常に完了している場合
ダウンロード種別の設定方法
ダウンロード種別はメンテナンス版数または個別資源単位に運用管理サーバ上で指定します。以下の作業で指定可能です。
資源登録時
メンテナンス版数作成時
個別資源、メンテナンス版数送信時
分割転送の設定方法
サーバとクライアント間の分割転送は、ダウンロード種別が「事前配付」の場合だけ有効です。分割転送の設定箇所を以下に示します。
部門管理/業務サーバのDRMS編集ファイル
DRMS編集ファイルに以下のオプションを設定します。
cl_seglenオプション
cl_segtimeオプション
DRMS編集ファイルについては“Systemwalker Centric Manager リファレンスマニュアル”の“DRMS編集ファイル”を参照してください。
[資源配付クライアント設定]
[資源配付クライアント設定]で、分割量と時間間隔を設定します。
分割転送の設定値の有効範囲について
分割転送の設定が部門管理/業務サーバとクライアントで異なる場合に、どの設定値が有効になるかを下表に示します。
分割転送の設定 | 部門管理/業務サーバ | ||
---|---|---|---|
なし | あり | ||
クライアント | なし | クライアント設定値が有効 | |
あり | |||
サーバの設定に従う | サーバ設定値が有効 |
注意事項
以下の機能は、ダウンロード後に即時に適用する必要があるため、事前配付を行う資源の対象外となります。
ポリシー資源(#DEF#POLICY)
クライアント業務追加用資源(#DEFxxx)
事前配付指定の資源はクライアントのダウンロード時に分割転送の指定が行えるため、分割指定された資源を受信完了するまで、次の資源のダウンロードが行われません。
このため、緊急にクライアントに配付したい資源(個別資源など)があっても、分割転送が終わるまでクライアントに資源がダウンロードされないことがあります。
事前配付指定の資源は、共通メンテナンス版数に含めずに、個別メンテナンス版数に含めるか、個別資源として配付してください。
分割転送中にシステムを停止した場合は、そのクライアントは送信エラーとなり、次のダウンロードで最初からダウンロードが行われます。
そのため、分割転送の設定では、業務時間内にダウンロードが完了するような設定値にしておく必要があります。
分割事前デリバリ機能をサポートしていないクライアントには、事前配付および分割転送機能は有効となりません。通常配付となります。
また、分割事前デリバリ機能をサポートしていないサーバには、事前配付の指示を行うダウンロード種別は無視され、通常配付となります。
事前配付資源の適用に失敗した場合について
クライアントで適用失敗した世代、および以降の世代に事前配付資源が含まれる場合は、異常の原因を取り除いた後ダウンロード処理を実行してもすべて再ダウンロードは行われず、以前に受信した資源の適用処理が行われます。
以下にダウンロードが行われない場合を示します。
世代が1つの場合
適用異常世代が事前配付資源の場合、再度ダウンロードはされません。
世代が複数の場合
世代のうち1つでも事前配付資源が含まれる場合は、適用異常の世代が通常資源、事前配付資源にかかわらず、再度ダウンロードは行われません。
また、適用異常となった世代をサーバ側で作成し直した場合でも、再度ダウンロードは行われません。作成し直した資源を再度ダウンロードしたい場合は、以下の手順でクライアントの事前配付完了状態を破棄してください。
サーバとクライアントの適用異常世代を削除します(運用管理サーバからの削除指示)。
運用管理サーバで適用異常世代を再作成します。
運用管理サーバより、再作成した世代を部門管理/業務サーバに配付します。
なお、クライアントへの最新世代だけのダウンロードを行っている場合は、サーバ側にクライアント未受信の世代が存在し、クライアントに適用異常世代が存在した場合に、ダウンロード種別が通常配付資源、事前配付資源にかかわらず、クライアントの状態は自動的に破棄されサーバ側に存在する最新世代がダウンロードされます。