PRIMECLUSTERは、パブリッククラウド上のクラスタシステムにおけるネットワークの引継ぎのためにアーキテクチャパターンを提供しています。クラスタシステムの円滑な設計のために、これらのアーキテクチャパターンから適したものを選択してください。
ネットワークの引継ぎのためのアーキテクチャパターンと各パターンに適したシーンを以下に示します。
適用シーン | アーキテクチャパターン | 留意事項 |
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オンプレミスまたはほかのVNet内のクライアントが利用するバックエンドサーバのクラスタシステム | 内部ロードバランサーによるネットワーク引継ぎ(推奨) |
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セカンダリIP付け替えによるネットワーク引継ぎ |
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同一VNet内のクライアントシステムから、クラスタノードへのアクセスを許可するアーキテクチャパターンです。オンプレミスなどVNet外のクライアントシステムからアクセスを行う場合は、VPN接続が必要です。アプリケーション層はオンプレミス、データベースアクセス層はクラウド、といったようなハイブリッド構成が可能です。
本アーキテクチャパターンでは、クラウドサービスが提供するAzure内部ロードバランサーを使用して、クラアントからの接続をクラスタの運用ノードに振り分けることで、ネットワークの引継ぎを実現します。クライアントが、内部ロードバランサーのIPアドレス(以下、引継ぎIPアドレス)に接続すると、内部ロードバランサーは、その通信を運用ノードのIPアドレスに転送します。クラスタアプリケーションが切り替わった場合には、内部ロードバランサーは新運用ノードのIPアドレスに通信を転送します。
図26.1 内部ロードバランサーによるネットワーク引継ぎ
VPN接続を実現するためには、クライアント環境が配備されたネットワーク側でVPNの設定や機器が必要になります。
同一VNet内のクライアントシステムから、クラスタノードへのアクセスを許可するアーキテクチャパターンです。オンプレミスなどVNet外のクライアントシステムからアクセスを行う場合は、VPN接続が必要です。アプリケーション層はオンプレミス、データベースアクセス層はクラウド、といったようなハイブリッド構成が可能です。内部ロードバランサーによるネットワーク引継ぎを使用できない場合は本アーキテクチャパターンを使用してください。
本アーキテクチャパターンでは、Azureコマンドラインインタフェースを使用して、運用ノードの仮想NICに対してセカンダリIPを割り当てることで、ネットワークの引継ぎを実現します。クライアントからの接続は、セカンダリIPを使用して行います。クラスタアプリケーションが切り替わった場合には、セカンダリIPを旧運用ノードの仮想NICから削除し、新運用ノードの仮想NICに付け替えます。
注意
本アーキテクチャパターンを使用した場合、クラスタアプリケーションの切替えの際にAzure コマンドラインインタフェースを使用してIPの付け替えを行うため、切替え時間が長くなります(1IPあたり数十秒)。
図26.2 セカンダリIP付け替えによるネットワーク引継ぎ
VPN接続を実現するためには、クライアント環境が配備されたネットワーク側でVPNの設定や機器が必要になります。