AWS環境でのクラスタシステムでは、非同期型強制停止方式またはI/Oフェンシング機能を使用した強制停止方式を使用します。
上記の方式は、異常が発生しているノードに対し強制停止を行い、ノードの停止が完了する前に切替えを開始します。それにより、切替え時間が短縮でき、ノードの停止が完了しないことによるLEFTCLUSTER状態で業務が停止することはありません。
サーバ間ミラーリング構成のクラスタシステムの場合、非同期強制停止方式を選択します。
サーバ間ミラーリングの機能により、切替え時にデータ同期用の通信を遮断します。これにより、複数ノードからの業務データへの同時アクセスを防止し、データを保証します。
なお、クラスタパーティション発生時、各ノードは生存優先度に従って、以下のような動作となります。
生存優先度が高いノード
相手ノードに対し、パニック指示(AWS Nitroシステム環境)と電源断指示による、強制停止を行う
強制停止したノードの停止をまたずに、自ノードを運用とする
生存優先度が低いノード
生存優先度の高いノードの強制停止処理が完了するまでの時間を待ち合わせる
自ノードのインスタンスの状態を確認し、自ノードをパニックさせる
注意
OSのパニック発生時、メモリダンプの出力中にクラスタノードの電源断が実行され、完全な状態のメモリダンプを採取できない場合があります。
サーバ間ミラーリングのスライス先行縮退オプションは設定できません。
OSのパニック発生時、OSが自動で再起動しないため、手動での再起動が必要です。
共用ファイルシステムサービスは使用できません。ボリュームデータの引継ぎを行う場合は、サーバ間ミラーリングを使用してください。
FSx for ONTAPを使用したGDSの共用ディスク構成のクラスタシステムの場合、I/Oフェンシング機能を使用した強制停止方式を選択します。
本方式は、SCSI-3 Persistent Reservation を排他制御機能として利用し、異常が発生したOSをパニックにより停止させることで業務の切替えを実現します。
注意
以下の環境ではI/Oフェンシング機能による強制停止方式は使用できません。
クラスタアプリケーションを構成するノード数が3ノード以上の環境
GDSの共用ディスクを使用するクラスタアプリケーションが複数存在する環境
GDSサーバ間ミラーリング構成のディスクを使用する場合
GDSを使用しない場合、非同期型強制停止方式を選択します。
詳細は、“21.9.1.2.1 非同期型強制停止方式のシャットダウン機構の設定手順”を参照してください。