MIB監視の設定は、トラフィックやノードの状態に関するMIBの値を、一定時間間隔または指定時刻に監視し、ノードの異常を検出する場合に設定します。しきい値条件を設定し、しきい値条件を満たしたときに、SNMPトラップを通知できます。MIB監視の設定では、以下の項目を設定します。
項目 | 内容 | 設定画面 |
---|---|---|
[監視対象MIB] | MIB値を一定間隔で監視します。監視を行うためには、MIB監視の設定を有効にします。 | [MIBの監視] |
[MIB名] | MIBの監視の対象となるMIB名を設定します。MIB監視のしきい値超えを監視するために、しきい値条件を設定します。 | [MIBしきい値]の[対象MIB]タブ |
[タイムアウト時間] | MIBの監視を行うためのポーリング間隔および動作時間を設定します。設定した時刻にポーリングが行われます。 | [MIBしきい値]の[ポーリング]タブ |
[しきい値] | MIBの監視を行うためのしきい値条件を設定します。しきい値を超えた場合にイベントで通知するためには、[トラップ]タブの[トラップで通知する]を選択してください。 | [しきい値条件]の[しきい値]タブ |
[トラップで通知する] | しきい値超え発生時にトラップ通知を行い、Systemwalkerコンソールのイベント一覧にイベントを通知する場合に設定します。 | [しきい値条件]の[トラップ]タブ |
[ポーリングの間隔指定] | 稼働監視を行う時間帯、ポーリング間隔、動作時刻を設定します。設定した時刻になると処理を開始します。設定した時刻になると、稼働監視を開始します。 | [動作時間] |
[開始時刻] | ノードの稼働状態を監視する時間帯を設定します。監視を開始する時刻と終了する時刻を設定します。 | [時間帯] |
[時刻指定] | ノードの稼働状態を監視する時刻を設定します。時刻指定または範囲指定で設定します。設定した時刻に監視を行います。 | [時刻] |
手順
[監視ポリシー[管理]]画面を起動します。
[オプション]メニューの[カスタムモード表示]にチェックが入っていることを確認します。チェックが入っていない場合は、[オプション]メニューの[カスタムモード表示]を選択することでチェックします。
[設定対象]の[ポリシー]-[ノード監視]-[MIB監視]を選択します。
[操作]メニューの[新規作成]を選択します。
→[監視ポリシー[ポリシーの作成]]画面が表示されます。
[ポリシー名]、[コメント名]を入力します。
[OK]ボタンをクリックします。
→[MIBの監視]画面が表示されます。
監視対象MIBには、監視中のMIBしきい値が表示されます。
[追加]または[更新]ボタンをクリックします。
→[MIBしきい値]画面が表示されます。
[対象MIB]タブを選択し、MIBしきい値に対する[MIB名]または[インスタンス]を設定します。
MIBしきい値の条件を追加するときは、[追加]ボタンをクリックします。
→[しきい値条件]画面が表示されます。
追加するMIBしきい値の情報を設定します。
[OK]ボタンをクリックします。
→[MIBの監視]画面にもどります。
特定のMIBを一時的に監視対象からはずすときには、監視対象MIBの一覧からMIBを選択し、[選択されているMIBの設定を有効にする]オプションボタンのチェックをはずします。
MIB拡張後のメッセージ
トラップ変換で使用されるObjectIDをMIBの名前形式で表記させます。
MIB拡張操作を行うと、拡張MIBに含まれるObjectIDの定義(OIDの値と名前)が、Systemwalkerに登録されます。
SNMPトラップ受信の結果、表示されるメッセージは、MIB拡張操作前と後で以下のように変わります。
MIB拡張操作前
AP:MpCNappl: ERROR: 106:ネットワークで事象が発生しました. (TRAP agent:xxx.xxx.xxx.xxx community:public generic:6 enterprise:mib-2.22 specific:1 timestamp:1234566 varbind:(mib-2.22.1.1.2 [1 1 0] 3))
MIB拡張操作後
AP:MpCNappl: ERROR: 106 :ネットワークで事象が発生しました. (TRAP agent:xxx.xxx.xxx.xxx community:public generic:6 enterprise:snmpDot3RptrMgt specific:1 timestamp:1234566 varbind:(rptrOperStatus [1 1 0] 3))
上記のように、拡張前はOIDで表示されていたTrapデータ部の情報が、拡張後はオブジェクト名で表示されます。
被監視サーバの文字コードがUTF-8の場合
文字コードがUTF-8のサーバに対してMIBの監視を行う際、取得したデータにマルチバイト文字が含まれていた場合、取得したMIB監視ログを以下の画面およびファイルを参照すると、16進数表示となります。
[Systemwalkerコンソール[監視]]の[ファイル]-[MIB監視ログの表示]を選択し、ファイルを指定して表示される[MIB情報表示]ウィンドウ
[MIB情報表示]ウィンドウ-[ファイル]-[CSVファイル出力]により出力したCSVファイル
MIBログCSV変換コマンドにより出力したCSVファイル
mpnmmibconv(MIBログCSV変換コマンド)の詳細については、“Systemwalker Centric Manager リファレンスマニュアル”を参照してください。
Windows版 SystemWalker/CentricMGR V4.0の部門管理サーバにMIB監視を設定した場合
部門管理サーバを再起動したのと同じ状態になるため注意してください。例を以下に示します。
ある監視対象ノードに対して以下のポリシー設定を行っていた場合
しきい値種別=「絶対値」
しきい値=10
しきい値=11でSNMPトラップ通知を行います。
ポーリング間隔を変更して部門管理サーバにポリシー配付を行います。
2で、すでにSNMPトラップ通知済みにもかかわらず、再度しきい値=11でSNMPトラップ通知を行います。
Linuxノードを被監視サーバとする場合
Linuxノードを被監視サーバとして使用する場合、LinuxノードでバンドルされているSNMPエージェント(UCD-snmp、またはnet-snmp)が、ネットワーク監視のSNMP要求に対し、応答を通知するように設定しておく必要があります。SNMPエージェントの/etc/snmp/snmpd.confファイルを編集し、SNMPエージェントを再起動してください。snmpd.confファイルの編集方法は、manコマンドを参照してください。
rootでログインします。
/etc/snmp/snmpd.confをバックアップします。
snmpd.confのマニュアルを参照し、/etc/snmp/snmpd.confを編集します。
snmpdを再起動します。
【Red Hat Enterprise Linux 6以前】
/etc/init.d/snmpd restart
【Red Hat Enterprise Linux 7以降】
systemctl restart snmpd
LinuxノードのSNMPエージェントが起動されていても、MIB情報が正しく取得できない場合があります。この場合、Systemwalker上では、以下の機能がSNMPエージェント未起動ノードと同様の監視結果を返すため、本影響が見られる場合は、SNMPエージェントのバージョンを新しいものに変更してください(UCD-snmpの場合、4.2.3以上を使用してください)。
影響のある機能一覧
MIB情報
ノード検出
稼働状態の監視
MIB監視
Linuxサーバでファイアウォール機能を導入している場合、監視サーバからのSNMP要求(161/udp)に対し応答を通知できるように、161/udpを許可するように設定してください。ipchainsコマンドまたはiptablesコマンドによる設定状況の確認および設定方法を以下に示します。
なお、ポートが使用できない場合、MIB情報の取得や性能情報の監視機能が正しく動作しません。
【ipchainsコマンドの場合】
現在の設定状況を確認します。
/sbin/ipchains -L
snmpポートが開いていない場合、以下のようなコマンド実行で、任意のコンピュータからsnmpポートに対してアクセスできるようになります。
/sbin/ipchains -I input -p udp -d 0.0.0.0/0 161 -j ACCEPT
【iptablesコマンドの場合】
現在の設定状況を確認します。
/sbin/iptables -L
snmpポートが開いていない場合、以下のようなコマンド実行で、任意のコンピュータからsnmpポートに対してアクセスできるようになります。
/sbin/iptables -I INPUT -p udp -d 0.0.0.0/0 --dport 161 -j ACCEPT
実際には必要最低限のコンピュータから要求を受け付けるなど、必ずセキュリティを考慮して設定してください。詳細については“man ipchains”または“man iptables”を参照してください。
MIB監視ログについて
MIB監視時に監視対象ノードがSNMP要求に対し応答を返さなかった場合は、MIB監視ログに、何も出力されません。
トラップ通知について
[トラップの通知]を選択した場合、以下のメッセージが監視イベント一覧に出力されます。
トラップ通知 | メッセージ |
---|---|
SNMPトラップのEnterpriseを省略値から変更した場合 | SNMPトラップを通知しました. |
VarBind情報を設定した場合 | MIB監視事象が発生しました.(MIB名:***,値:***) |
なお、1番目に設定したVarBind情報のうち、VarBindNameがMIB名として、VarBindValueが値として出力されます。
しきい値条件を満たしてもSNMPトラップが通知されない場合
Systemwalker Centric Managerは、MIBを取得するために、監視対象ノードの代表インタフェースに対してポーリングを行います。したがって、代表インタフェースに設定したインタフェースが通信不可となった場合、MIBを取得することができないため、しきい値条件を満たしてもSNMPトラップが通知されません。
しきい値条件を設定しない状態でイベントが通知されることはありません。
リセット条件を指定しない状態で、しきい値条件を満たしイベント通知が行われた後、再度イベントが通知されることはありません。
しきい値条件に以下の文字は使用できません。
「=」の半角文字
一度、しきい値条件を超えてイベント通知した場合、リセット条件が満たされないかぎり、しきい値を超えてもイベントは通知されません。
SNMPトラップが通知される条件は以下のとおりです。
しきい値条件を満たす場合。かつ
しきい値のリセット条件を満たさない。
例えば、MIBしきい値条件を以下のように設定する
[種別]:絶対値
[しきい値]:1000
[条件]:以上
[リセット条件を指定する]:チェック
[リセット値]:1000
[リセット条件]:以上
しきい値条件を満たす場合、しきい値のリセット条件も満たしてしまうため、SNMPトラップ通知ができません。
コミュニティ名について
MIB情報を取得する際に使用する設定値(SNMPv1、SNMPv2Cの場合、コミュニティ名、SNMPv3の場合、SNMPv3の設定)は、各ノードの[ノードプロパティ]の[ネットワーク]タブ内の設定値(SNMPv1、SNMPv2Cの場合は、[Rコミュニティ名]、SNMPv3の場合はSNMPv3の設定)を用います。
しきい値条件を満たしたときに送信するSNMPトラップのコミュニティ名は、各ノードの[ノードプロパティ]の[ネットワーク]タブ内の[Rコミュニティ名]を使用します。
SNMPバージョンについて
MIB情報を取得する際に使用するSNMPバージョンは、各ノードの[ノードプロパティ]の[ネットワーク]タブ内の[有効なSNMPエージェントのバージョン]で選択したバージョンを使用します。
ポーリングの設定
[ポーリング間隔指定]を選択してポリシーを設定した場合、最初にポリシー設定を適用した時点、または、動作時間帯の開始時刻に必ず最初のポーリングが行われます。それ以降のポーリングは、監視処理が終了してから[ポーリング間隔指定]にて指定された時間が経過するごとに行われます。また、動作時間帯の終了時刻以前に処理を開始すると、終了時刻を過ぎても、処理が終了するまで実行されます。
ポリシーの設定変更については、“ポリシーの設定変更について”を参照してください。
監視対象がクラスタの場合
監視対象ノードがクラスタ構成の場合は、物理IPアドレスを指定するようにしてください。
部門共通画面で送信間隔を設定した場合
[部門共通]画面の[MIB監視]タブの[ポーリング種別]の送信間隔を指定している場合、MIB取得要求の結果を待ち合わせた後、指定した送信間隔後に次のMIB取得要求を発行します。この処理により、処理時間はかかりますが、確実にMIB情報を取得できます。
MIB監視機能の再起動を実施した場合
しきい値がリセットされ、初回監視と同様となります。
そのため、すでにしきい値条件を満たしている状態が継続している場合には、再度SNMPトラップが通知されます。