Systemwalker Operation Managerを安定した状態で動作させるため、UNIX版の場合は、システムパラメタのチューニングを行う必要があります。チューニングが必要なシステムパラメタとその値については、以下の表を参照してください。パラメタにより、すでに設定されている値(初期値)に加算する場合と、すでに設定されている値と比較し大きい方の値(最大)を設定する場合があります。(加算の場合、設定のシステム上限値も確認してください。) 各パラメタがどちらにあたるかは、表の“種別”を参照してください。
システムパラメタの設定方法の詳細は、OSのマニュアルを参照してください。
Solarisの場合
Solaris 10以降には、プロジェクトという概念があります。Systemwalker Operation Managerは、以下のプロジェクトで動作します。
systemプロジェクト
OS初期設定状態で存在するデーモンなどが動作するプロジェクト
user.rootプロジェクト
OS初期設定状態でroot権限により動作するプロセスが所属するプロジェクト
システムパラメタのチューニング値
[共有メモリ]
パラメタ | 説明 | OS初期値 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|---|
project.max-shm-memory | 共有メモリセグメントの最大サイズ | OS物理メモリサイズ(バイト)/4 | 70000×利用サブシステム数(注) 以上の値 | 加算 | 特権レベル |
EE/GEE版の場合です。SE版の場合は、利用サブシステム数を1としてください。
共有メモリを使用するジョブをSystemwalker Operation Managerから起動する場合、ジョブプロセスが利用する共有メモリのサイズを考慮して、/etc/projectファイルでsystemおよびuser.rootプロジェクトのproject.max-shm-memoryの値を設定する必要があります。
[メッセージキュー]
パラメタ | 説明 | OS初期値 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|---|
process.max-msg-qbytes | 待ち行列上の最大バイト数 | 64(KB) | (privileged,同時起動ジョブネット数(注1)×200(注2),deny) | 最大 | 特権レベル |
project.max-msg-ids | メッセージ待ち識別子の数 | 128 | (privileged,4×利用サブシステム数(注3),deny) | 加算 | 特権レベル |
ジョブ実行制御属性のジョブを利用する場合は、同時起動ジョブ数も足して計算してください。
“200”は標準的な値であり、ホスト名や出力ファイルへのパスの長さに依存して変化します。
十分に検証を行って、適切な値を設定してください。
EE/GEE版の場合です。SE版の場合は、利用サブシステム数を1としてください。
[セマフォ]
パラメタ | 説明 | OS初期値 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|---|
project.max-sem-ids | セマフォ識別子の数 | 128 | 2 | 加算 | 特権レベル |
process.max-sem-ops | 1回のsemopコールに許容されるセマフォ操作数 | 512 | 2 | 最大値 | 特権レベル |
process.max-sem-nsems | セマフォ識別子当たりのセマフォ数 | 512 | 1 | 最大値 | 特権レベル |
[スタックサイズ]
パラメタ | 説明 | OS初期値 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|---|
process.max-stack-size | プロセスで使用できるスタックメモリセグメントの最大サイズ | 8388608 | 2000000 | 最大値 | 基本レベル |
注) Systemwalker Operation Managerのみで運用する場合は、システムのデフォルト値のままで問題ありません。他製品とともに運用する場合は、他製品の最大値と合わせてシステムパラメタをチューニングしてください。
システムパラメタの設定
システムパラメタを編集するには、/etc/projectファイルを編集します。
システムパラメタを設定する際には、システムの初期値および、設定可能値の上限を確認した上で、値を設定してください。確認方法および編集例は以下のとおりです。
# projects -l |
[/etc/projectファイル編集例]
以下は、同時起動ジョブネット数80、利用サブシステム数5の場合の設定例です。物理メモリは、1Gを搭載しています。
system:0::::project.max-msg-ids=(privileged,148,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,65536,deny);project.max-sem-ids=(privileged,130,deny);process.max-sem-ops=(privileged,512,deny);process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny);project.max-shm-memory=(privileged,268785456,deny);process.max-stack-size=(basic,8388608,deny) user.root:1::::project.max-msg-ids=(privileged,148,deny);process.max-msg-qbytes=(privileged,65536,deny);project.max-sem-ids=(privileged,130,deny);process.max-sem-ops=(privileged,512,deny);process.max-sem-nsems=(privileged,512,deny);project.max-shm-memory=(privileged,268785456,deny);process.max-stack-size=(basic,8388608,deny) |
システムパラメタの確認
上記設定をした後、以下のコマンドにより設定情報を確認できます。
# projects -l |
[確認コマンド実行例]
# projects -l |
Linuxの場合
システムパラメタのチューニング値
[メッセージキュー]
パラメタ | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
kernel.msgmnb | 待ち行列上の最大バイト数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 200(注2) | 最大 |
kernel.msgmni | メッセージ待ち行列識別子の数 | 4×利用サブシステム数(注3) | 加算 |
ジョブ実行制御属性のジョブを利用する場合は、同時起動ジョブ数も足して計算してください。
“200”は標準的な値であり、ホスト名や出力ファイルへのパスの長さに依存して変化します。十分に検証を行って、適切な値を設定してください。
EE版の場合です。SE版の場合は、利用サブシステム数を1としてください。
Linux版で複数サブシステム運用を行う場合、使用されるメッセージキューの数は、サブシステム数の4倍になります。そのため、使用可能なメッセージキューの最大数をオーバーしてしまい、サブシステムの起動ができなくなることがあります。
この場合は、/etc/sysctl.confファイルに以下の設定を追加し、システムで使用可能なメッセージキューの最大数を拡張してください。ファイルの編集後にはシステムを再起動してください。
kernel.msgmni=4×利用サブシステム数 |
[セマフォ]
セマフォの設定値は、各パラメタ値を以下の形式で指定します。
kernel.sem = para1 para2 para3 para4 |
パラメタ | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
para1 | セマフォ識別子当たりの最大セマフォ数 | 1 | 最大 |
para2 | システム全体のセマフォ数 | 2 | 加算 |
para3 | セマフォコールあたりの最大演算子数 | 2 | 最大 |
para4 | システム全体のセマフォ識別子数 | 2 | 加算 |
チューニング作業手順(Red Hat Enterprise Linux 7以降の場合)
以下のコマンドを使用して現在システムに設定されている上記表に該当するパラメタの設定値を確認します。
#/sbin/sysctl -a |
上記の表(システムパラメタのチューニング値)を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメタごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。
/etc/sysctl.d/ に新しい設定ファイルを作成します。
例:
# vim /etc/sysctl.d/customo.conf |
作成した設定ファイルを編集します。
システムパラメタをチューニングするために、チューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。
例: 3つのサブシステムを利用し、同時起動ジョブネット数を50とする場合の例
|
設定ファイルを保存します。
上記設定を有効にするために、下記のどちらかの方法を実行します。
方法1 : システムをリブートして設定を反映
# cd / |
方法2 : /sbin/sysctl -p を使用して設定を反映(手順3.例のファイル名の場合)
# /sbin/sysctl -p /etc/sysctl.d/customo.conf |
方法2のコマンドを使用した場合、リブートの必要がありません。
設定したシステムパラメタが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。
# /sbin/sysctl -a |
[確認例]
・ |
HP-UXの場合
システムパラメタのチューニング値
[メッセージキュー]
IPF版 HP-UX 11i V2の場合
パラメタ | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
msgtql | メッセージのヘッダ数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 4 | 加算 |
msgmnb | 待ち行列上の最大バイト数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 200(注2) | 最大 |
msgseg | メッセージセグメント数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 200(注2) ÷ msgssz値 | 加算 |
msgmap | メッセージマップ内のエントリ数 | msgtql値+2(注3) | 最大 |
msgmni | メッセージ待ち行列識別子の数 | 4×利用サブシステム数(注4) | 加算 |
IPF版 HP-UX 11i V3の場合
パラメタ | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
msgtql | メッセージのヘッダ数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 4 | 加算 |
msgmnb | 待ち行列上の最大バイト数 | 同時起動ジョブネット数(注1) × 200(注2) | 最大 |
msgmbs | メッセージキューの最大サイズ(MB単位) | 同時起動ジョブネット数(注1) × 200(注2) ÷ 1000000 | 最大 |
msgmni | メッセージ待ち行列識別子の数 | 4×利用サブシステム数(注4) | 加算 |
ジョブ実行制御属性のジョブネットを利用する場合は、同時起動ジョブ数も足して計算してください。
“200”は標準的な値であり、ホスト名や出力ファイルへのパスの長さに依存して変化します。十分に検証を行って、適切な値を設定してください。
先にmsgtqlの値を求め、その値をもとに計算してください。
EE版の場合です。SE版の場合は、利用サブシステム数を1としてください。
チューニング作業手順
システムの管理マネージャなどを使用して、カーネルパラメタを変更し、カーネルを再作成してください。