以下の注意事項があります。
レプリケーションコマンド実行中にフェイルオーバーが発生した場合、swsrprecoverresコマンドを使用して整合性がとれるようにリカバリー対処が必要です。
クラスタ運用を行う場合、AdvancedCopy Managerはクラスタグループに組み込まれており、クラスタグループの一部として動作するため、レプリケーション運用はクラスタグループの運用系で実施する必要があります。
待機状態となっているノードや別のクラスタグループからは、レプリケーションできません。
複写先のボリュームがクラスタのディスクリソースとして登録されている場合は、スナップショット型のレプリケーションを行ってください。
ECを利用する場合は、複製先を非クラスタの管理対象サーバに接続してサーバ間レプリケーション運用を行ってください。逆方向のレプリケーションはOPCを利用したスナップショット型レプリケーションを行ってください。
RECを利用する場合も、複製先を非クラスタの管理対象サーバに接続してサーバ間レプリケーション運用を行ってください。逆方向のレプリケーションはRECを利用した同期型レプリケーションを行ってください。
複写先のボリュームがクラスタのディスクリソースとして登録されている場合、パーティション単位のコピーを推奨します。
クラスタのディスクリソースを対象としてLogical Unit単位でコピーを行う場合、ディスクの管理情報が重複するようなコピーは行わないでください。ディスクの管理情報であるシグネチャ(MBRディスク形式の場合)またはGUID(GPTディスク形式の場合)が変更された場合、複写先のディスクリソースがクラスタから認識できなくなることがあります。Logical Unit単位にコピーする際は、「15.1.1.19 Logical Unit(ディスク)単位コピーを実施する場合の注意事項」を参照してください。
メンテナンスモードについて
ボリュームがアクセス不可の場合、クラスタのリソースチェックによってフェイルオーバーが発生することがあるため、物理ディスクリソースのメンテナンスモードをONにする必要があります。また、対象の物理ディスクリソースを使用しているリソースが存在する場合は、事前にオフラインにするなどの対処を実施してください。
以下の場合、レプリケーション時にボリュームがアクセス不可になります。
レプリケーションの前処理でボリュームがロックされる場合
同期型レプリケーションの複写先ボリュームである場合
AdvancedCopy Managerでは、以下のどちらかの場合、レプリケーションの前後処理でメンテナンスモードの自動設定を行います。
1つのディスクに1つのパーティションが存在する構成、かつ、レプリケーション実行前にメンテナンスモードがOFFである場合
LUN単位コピー、かつ、レプリケーション実行前にメンテナンスモードがOFFである場合
レプリケーションの前後処理の詳細は、「付録C レプリケーションの前後処理」を参照してください。
物理ディスクリソースのメンテナンスモードの設定を手動で行う場合は、以下の手順でレプリケーションを実行します。
OPCを利用したレプリケーションの場合
複写先ボリュームがクラスタの物理ディスクリソースとして登録されている場合は、物理ディスクリソースのメンテナンスモードをONにします。
> cluster [ClusterName] res <複写先ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:on
複写元ボリュームがクラスタの物理ディスクリソースとして登録されている場合は、物理ディスクリソースのメンテナンスモードをONにします。
> cluster [ClusterName] res <複写元ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:on
レプリケーションを実行します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpmake From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpmake completed >
複写元ボリュームがクラスタの物理ディスクリソースとして登録されている場合は、物理ディスクリソースのメンテナンスモードをOFFにします。
> cluster [ClusterName] res <複写元ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:off
複写先ボリュームがクラスタの物理ディスクリソースとして登録されている場合は、物理ディスクリソースのメンテナンスモードをOFFにします。
> cluster [ClusterName] res <複写先ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:off
ECまたはRECを利用したレプリケーションの場合
同期処理を開始します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpstartsync From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpstartsync completed >
等価性維持状態を確認します。
物理ディスクリソース(複製元ボリューム)のメンテナンスモードをONにします。
> cluster [ClusterName] res <複写元ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:on
レプリケーションを実行します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpmake From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpmake completed >
物理ディスクリソース(複製元ボリューム)のメンテナンスモードをOFFにします。
> cluster [ClusterName] res <複写元ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:off
RECを利用した逆方向のレプリケーションの場合
物理ディスクリソース(複写先ボリューム)のメンテナンスモードをONにします。
> cluster [ClusterName] res <複写先ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:on
同期処理を開始します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpstartsync From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpstartsync completed >
等価性維持状態を確認します。
レプリケーションを実行します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpmake From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpmake completed >
物理ディスクリソース(複写先ボリューム)のメンテナンスモードをOFFにします。
> cluster [ClusterName] res <複写先ボリュームの物理ディスクリソース名> /maint:off
同期処理中(手順2から手順4の間)に物理ディスクリソースが一度オフラインになると、オンラインにできなくなるため、注意してください。
同期処理中に物理ディスクリソースがオフラインになってしまった場合は、以下の手順で対処してください。
非クラスタの管理対象サーバから同期処理を停止します。
> C:\Win32app\AdvancedCopyManager\bin\swsrpcancel -m From-Volume-Name To-Volume-Name FROM=From-Volume-Name TO=To-Volume-Name swsrpcancel completed >
物理ディスクリソースをオンラインにしてから逆方向のレプリケーションを再実行します。
ポイント
物理ディスクリソースのメンテナンスモード状態を確認するには、以下の構文を使用したコマンドを入力してください。
cluster [ClusterName] res DiskResourceName /maint
「状態」が「オンライン」と表示される場合、メンテナンスモードは"OFF"になっています。
「状態」が「オンライン(メンテナンス)」と表示される場合、メンテナンスモードは"ON"になっています。
クラスタ運用でのSQL Serverデータベースのバックアップとリストアには、以下の注意事項があります。
SQL Serverバックアップ機能をWSFCでクラスタ運用する場合は、以下を実施してください。
SQL Server業務とAdvancedCopy Manager業務を同一クラスタグループ内に作成してください(論理IPアドレスをSQL ServerとAdvancedCopy Managerで共用しないようにしてください)。
swsrpbackup_sqlコマンドを実行する際は、環境変数SWSTGNODEにAdvancedCopy Managerの論理ノード名を事前に設定してください。
swsrpbackup_sqlコマンド、swsrprestore_sqlコマンドを実行する際は、-Xserverオプションを使用し、その引数には、SQL Serverの仮想サーバ名を指定してください。
デバイスマップファイルはプライマリノード、セカンダリノードの双方から参照できるように配置してください(共用ディスク上に配置するか、または、両ノードのローカルディスク上に配置してください)。
クラスタ運用でのHyper-VゲストOSのバックアップとリストアには、以下の注意事項があります。
Hyper-Vのバックアップ機能をWSFCでクラスタ運用する場合は、以下を実施してください。
各物理サーバにインストールされたAdvancedCopy Managerエージェントを使用します。このため、コマンド実行時に環境変数SWSTGNODEを設定しないでください。
ゲストOS一覧ファイルを、プライマリノードとセカンダリノードの両方から参照できるように配置します。
共用ディスクに配置するか、両ノードのローカルディスクに配置してください。
WSFCでクラスタ運用している場合
AdvancedCopy Managerが属するクラスタグループが稼働している場合、稼働ノードだけでレプリケーション運用が可能です。待機ノードではレプリケーション運用の環境が整っていない(必要なリソースが使用できない)ため、レプリケーション運用を行えません。クラスタグループが停止している場合も、環境が整っていないためにレプリケーション運用を行えません。
ただし、クラスタグループが停止している場合に限り、一時的に必要最低限の環境を整えることで、レプリケーション運用できます。
注意
以下のリソースを起動(オンライン)できない場合は、レプリケーション運用を行えません。
AdvancedCopy COM Service_logicalNodeName
IPアドレスリソース(AdvancedCopy Managerのクラスタセットアップコマンドで作成している場合は、リソース名が"AdvancedCopy IP Address_logicalNodeName"です)
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスクのディスクリソース
AdvancedCopy Managerリポジトリ用共有ディスクのディスクリソース(運用管理サーバ業務だけ)
レプリケーション運用ディスク(運用したい複写元/複写先ボリューム)
以下の手順で、クラスタグループ停止中のレプリケーション運用を行います。
両ノードでクラスタグループが停止(offline)していることを確認します。
クラスタグループの停止方法は、「第2章 サービスの起動と停止」を参照してください。
運用に必要なリソースを起動(online)にします。
以下のリソースを起動してください。
AdvancedCopy COM Service_logicalNodeName
IPアドレスリソース(AdvancedCopy Managerのクラスタセットアップコマンドで作成している場合は、リソース名が"AdvancedCopy IP Address_logicalNodeName"です)
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスクのディスクリソース
AdvancedCopy Managerリポジトリ用共有ディスクのディスクリソース(運用管理サーバ業務だけ)
レプリケーション運用ディスク(運用したい複写元/複写先ボリューム)
注意
リソースの起動は、必ず、どちらか一方のノードで行ってください。両ノードで同じリソースを起動しないでください。リソースの起動方法は、WSFCのマニュアルを参照してください。
AdvancedCopy COM Service_logicalNodeNameと業務ディスクは依存関係が設定されているため、AdvancedCopy COM Service_logicalNodeNameを起動すると依存関係のあるすべてのディスクリソースが起動されます。
環境変数SWSTGNODEに該当業務の論理ノード名を設定します。
環境変数の設定方法は以下のとおりです。
[実行例]
set SWSTGNODE=logicalNodeName
レプリケーション運用を実施します。
クラスタ運用の通常時と同様、レプリケーション運用できます。
手順2で起動したすべてのリソースを停止(オフライン)します。
リソースの停止方法は、WSFCのマニュアルを参照してください。
クラスタグループを起動(オンライン)します。
必要に応じて、クラスタグループを起動します。
クラスタグループの起動方法は、WSFCのマニュアルを参照してください。