クラスタシステムは、Windows Serverの標準機能であるWSFC(Windows Server Failover Clustering)を使用します。
クラスタシステムの環境は、フェールオーバークラスターマネージャーを使用して構築します。なお、クラスタシステムを構成する各ノード(各サーバ)は同一のドメインに所属していることが必要です。
クラスタシステムの構築は、Windowsシステムのマニュアルを参照してください。 |
共有ディスクの設定例
クラスタシステムでは、各ノードが切り替わってもアクセスできる共通のディスク(共有ディスク)を使用します。
具体例として、以下のクラスタシステム構成において、iSCSI仮想ディスクを共有ディスクに設定する手順を示します。
iSCSI仮想ドライブ名は、Eドライブとして説明します。
(1) iSCSIターゲットサーバーのインストール
ドメインコントローラとしたサーバ(DOMAINSV)に共有ディスクを設定するため(共有ディスクの管理者とするため)、iSCSIターゲットサーバーをインストールします。
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【サーバーマネージャー】をクリックします。
→ 【サーバーマネージャー】画面が表示されます。
【管理】-【役割と機能の追加】をクリックします。
→【役割と機能の追加ウィザード】画面が表示されます。
「開始する前に」の説明文を読んで、【次へ】をクリックします。
【役割ベースまたは機能ベースのインストール】を選択し、【次へ】をクリックします。
【サーバープールからサーバーを選択】を選択し、【サーバープール】に当該サーバ(DOMAINSV)を選択し、【次へ】をクリックします。
【役割】の一覧から【ファイルサービスと記憶域サービス】-【ファイルサービスおよびiSCSIサービス】-【iSCSIターゲットサーバー】をチェックし、【次へ】をクリックします。
【機能】の一覧は設定不要なので、【次へ】をクリックします。
【必要に応じて対象サーバーを自動的に再起動する】にチェックを入れないで、【インストール】をクリックします。
機能のインストールが正常に完了すれば、【閉じる】をクリックします。
(2) iSCSI仮想ディスクの作成
iSCSIターゲットサーバーにiSCSI仮想ディスクを作成します。
以下の2種類のiSCSI仮想ディスクを作成します。
クォーラムディスク:フェールオーバークラスターマネージャーが内部的に使用するクラスタ制御用の仮想ディスク
データディスク:List Worksやデータベースが使用するデータ用の共有ディスク
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【サーバーマネージャー】をクリックします。
→ 【サーバーマネージャー】画面が表示されます。
【サーバーマネージャー】の左側操作画面の【ファイルサービスと記憶サービス】-【iSCSI】をクリックします。
→【iSCSI仮想ディスク】の状況が表示されます。
【iSCSI仮想ディスクを作成するには、新しいiSCSI仮想ディスクウィザードを開始してください。】をクリックします。
→【新しいiSCSI仮想ディスクウィザード】画面が表示されます。
【サーバー】が合っていることを確認し、【カスタムパスを入力してください】をクリックし、iSCSI仮想ディスクのパス名(E:\iSCSI)を設定し、【次へ】をクリックします。
クォーラムディスク用として、【名前】に仮想ディスク名(quorum)を入力して、クリックします。
【サイズ】に獲得サイズを入力し、【容量可変】を選択して、【次へ】をクリックします。
【新しいiSCSIターゲット】を選択して、【次へ】をクリックします。
【名前】にiSCSIターゲット名(target)を指定して、【次へ】をクリックします。
iSCSIターゲットのiSCSI仮想ディスクにアクセスするiSCSIイニシエーター(クラスタシステムの各ノード)を指定するため、【追加】をクリックします。
【選択した種類の値の入力】を選択し、クラスタシステムの各ノードを識別する情報を入力し、【OK】をクリックします。すべてのノードに対して、【追加】のクリック、情報入力、【OK】のクリックを繰り返し、すべてのノードの情報を入力した場合、【次へ】をクリックします。
【種類】に「IPアドレス」を選択する
【値】にノードのIPアドレスを入力する
認証サービスは利用しないので、【次へ】をクリックします。
設定が正しいことを確認し、【作成】をクリックします。
クォーラムディスク用のiSCSI仮想ディスクができたので、【閉じる】をクリックします。
→クォーラムディスク(E:\iSCSI\quorum.vhdx)が表示されていることを確認してください。
データディスク用としてiSCSI仮想ディスクを作成するため、【タスク】から【新しいiSCSI仮想ディスク】をクリックします。
【サーバー】が合っていることを確認し、【カスタムパスを入力してください】をクリックし、iSCSI仮想ディスクのパス名(E:\iSCSI)を設定し、【次へ】をクリックします。
データディスク用として、【名前】に仮想ディスク名(data01)を入力して、クリックします。
【サイズ】に獲得サイズを入力し、【容量可変】を選択して、【次へ】をクリックします。
【既存のiSCSIターゲット】のiSCSIターゲット名(target)を選択して、【次へ】をクリックします。
設定が正しいことを確認し、【作成】をクリックします。
データディスク用のiSCSI仮想ディスクができたので、【閉じる】をクリックします。
→データディスク(E:\iSCSI\data01.vhdx)が表示されていることを確認してください。
エクスプローラで、クォーラムディスクとデータディスクが作成されていることを確認してください。
(3) iSCSIターゲットの接続
クラスタシステムの各ノード(iSCSIイニシエーター)からiSCSIターゲットサーバーのiSCSI仮想ディスクにアクセスできるように接続します。すべてのノードのiSCSIイニシエーターから接続します。
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【iSCSIイニシエーター】をクリックします。
→iSCSIイニシエーターを初期起動した時、サービスを自動起動するかを聞かれるので、【はい】をクリックし、【iSCSIイニシエーターのプロパティ】画面を表示します。
【ターゲット】タブの【ターゲット】にiSCSIターゲットのIPアドレスを入力し、【クイック接続】をクリックします。
→【クイック接続】画面が表示されます。
【検出されたターゲット】の【名前】が正しいことと、【状態】が「接続完了」を確認し、【完了】をクリックします。
【OK】をクリックします。
(4) iSCSI仮想ディスクから切り出したディスクの初期化
iSCSIイニシエーターからiSCSIターゲットサーバーのiSCSI仮想ディスクからディスクを切り出し、初期化します。いずれかのiSCSIイニシエーターで実施します。
【スタート】ボタンを右クリックし、【ディスクの管理】をクリックします。
→【ディスクの管理】画面が表示されます。
【ディスク1】を右クリックし、【オンライン】をクリックします。
【ディスク2】を右クリックし、【オンライン】をクリックします。
【ディスク1】を右クリックし、【ディスクの初期化】をクリックします。
→【ディスクの初期化】画面が表示されます。
【ディスクの選択】の「ディスク1」と「ディスク2」にチェックが入っていることを確認し、【選択したディスクに次のパーティションスタイルを使用する】に「GPT」を選択して、【OK】をクリックします。
クォーラムディスク用の【ディスク1】の未割り当て部を右クリックし、【新しいシンプルボリューム】をクリックします。
→【新しいシンプルボリュームウィザード】画面が表示されます。
【次へ】をクリックします。
【シンプル ボリューム サイズ】を入力し、【次へ】をクリックします。
【ドライブ文字またはドライブ パスを割り当てない】を選択し、【次へ】をクリックします。
【このボリュームを次の設定でフォーマットする】を選択し、【ボリュームラベル】にラベル名(quorum)を入力し、クイックフォーマットにチェックを入れて、【次へ】をクリックします。
ウィザードが正常に完了すれば、【完了】をクリックします。
データディスク用の【ディスク2】の未割り当て部を右クリックし、【新しいシンプル ボリューム】をクリックします。
→【新しいシンプル ボリューム ウィザード】画面が表示されます。
【次へ】をクリックします。
【シンプル ボリューム サイズ】を入力し、【次へ】をクリックします。
【次のドライブ文字を割り当てる】を選択し、ドライブ名(E)を設定し、【次へ】をクリックします。
【このボリュームを次の設定でフォーマットする】を選択し、【ファイルシステム】にNTFSを指定し、【ボリュームラベル】にラベル名(data01)を入力し、クイックフォーマットにチェックを入れて、【次へ】をクリックします。
ウィザードが正常に完了すれば、【完了】をクリックします。
【ディスクの管理】画面でディスク1とディスク2が作成されていることを確認します。
(5) フェールオーバークラスタリングのインストール
クラスタシステムの各ノードにフェールオーバークラスタリング機能をインストールします。すべてのノードにフェールオーバークラスタリング機能をインストールします。
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【サーバーマネージャー】をクリックします。
→ 【サーバーマネージャー】画面が表示されます。
【管理】-【役割と機能の追加】をクリックします。
→【役割と機能の追加ウィザード】画面が表示されます。
「開始する前に」の説明文を読んで、【次へ】をクリックします。
【役割ベースまたは機能ベースのインストール】を選択し、【次へ】をクリックします。
【サーバープールからサーバーを選択】を選択し、【サーバープール】に当該サーバ(NODE0001)を選択し、【次へ】をクリックします。
【役割】画面でなく、【機能】画面に進めるために、【次へ】をクリックします。
【機能】画面の【フェールオーバー クラスタリング】を選択し、【次へ】をクリックします。
【機能の追加】をクリックします。
【次へ】をクリックします。
【インストール】をクリックします。
機能のインストールが正常に完了すれば、【閉じる】をクリックします。
【スタート】メニューからサーバ(ノード)を再起動します。
(6) クラスタシステムの環境構築
クラスタシステムのいずれかのノードでクラスタシステムを構築します。
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【フェールオーバークラスターマネージャー】をクリックします。
→クラスタシステムの補足説明画面が出力されるので、【今後、このメッセージを表示しない】にチェックを入れ、【×】ボタンで画面を閉じます。【フェールオーバークラスターマネージャー】画面が表示されます。
右側操作画面の【フェールオーバークラスターマネージャー】の【クラスターの作成】をクリックします。
→【クラスターの作成ウィザード】画面が表示されます。
クラスタシステムについての説明画面を確認し、【次へ】をクリックします。
【サーバー名の入力】にクラスタシステムの各ノード名(NODE0001)を入力し、【追加】をクリックします。
→【選択済みサーバー】にルートドメイン付きのノード名が表示されます。
【サーバー名の入力】にクラスタシステムの各ノード名(NODE0002)を入力し、【追加】をクリックします。
→【選択済みサーバー】にルートドメイン付きのノード名が表示されます。
すべてのノード名を入力したので、【次へ】をクリックします。
検証を行うため、【はい。[次へ]をクリックして、構成検証テストを実行し、その後クラスターの作成プロセスに戻ります】を選択し、【次へ】をクリックします。
処理を続行するため、【次へ】をクリックします。
【すべてのテストを実行する】を選択し、【次へ】をクリックします。
処理を続行するため、【次へ】をクリックします。
構成検証テストの結果を確認し「成功」の場合は【完了】をクリックします。
なお、「ソフトウェア更新プログラム レベルの検証」が「警告」となっている場合、無視して構わない状態であれば【完了】をクリックして進めてください。
【クラスター名】を設定し(cluster100)、クラスター管理用のアクセスポイント(仮想IPアドレス)を【アドレス】に入力して、【次へ】をクリックします。
クラスタシステムの設定内容を確認し、【使用可能な記憶域をすべてクラスターに追加する】をチェックし、【次へ】をクリックします。
クラスターの作成が正常に終わった場合は【完了】をクリックします。
【フェールオーバークラスターマネージャー】の左側操作画面のクラスター名配下の【役割】をクリックし、右側操作画面の【役割】-【空の役割の作成】をクリックします。
右側操作画面の【新しい役割】-【プロパティ】をクリックします。
→【新しい役割のプロパティ】画面が表示されます。
【名前】にクラスタシステム名(List Worksクラスタ)を入力します。
右側操作画面の【List Worksクラスタ】-【記憶域の追加】をクリックします。
→【記憶域の追加】画面が表示されます。
【利用可能なディスク】に表示されたディスクを確認し、【名前】の下にチェックを入れ、【OK】をクリックします。
右側操作画面の【List Worksクラスタ】-【リソースの追加】-【クライアントアクセスポイント】をクリックします。
→【新しいリソースウィザード】画面が表示されます。
【名前】を設定し(client100)、クライアントアクセスポイント(仮想IPアドレス)を【アドレス】に入力して、【次へ】をクリックします。
処理を続行するため、【次へ】をクリックします。
リソースが正常に作成された場合は【完了】をクリックします。
真中操作画面の【List Worksクラスタ】の下の【リソース】タブをクリックし、【サーバー名】のクライアントアクセスポイント (client100)を選択し、右側操作画面の【オンラインにする】をクリックします。
(7) 共有ディスクのアクセス権限の設定
iSCSI仮想ディスクにアクセス権限を設定します。クラスタシステムのいずれかのノードでアクセス権限を設定します。
エクスプローラを実行し、データディスク(E:\data01)に対して右クリックして、【プロパティ】をクリックします。
→クリックしたフォルダの【プロパティ】画面が表示されます。
【共有】タブで、以下の表のようにアクセス権限を設定します。
(1) 【共有】タブの【詳細な共有】をクリックします。
→【詳細な共有】画面が表示されます。
(2) 【このフォルダーを共有する】にチェックを入れ、【アクセス許可】をクリックします。
(3) 【グループ名またはユーザ名】に以下の表のアカウントを追加し、アクセス権限を設定し、【OK】をクリックします。
【セキュリティ】タブで、以下の表のアクセス権限を設定します。
(1) 【セキュリティ】タブの【詳細設定】をクリックします。
→【セキュリティの詳細設定】画面が表示されます。
(2) 【編集】をクリックします。
(3) 【グループ名またはユーザ名】に以下の表のアカウントを追加し、アクセス権限を設定し、【OK】をクリックします。
【閉じる】をクリックします。
ディスクの設定項目 | 設定内容 | |
---|---|---|
共有のアクセス許可 | List Worksサービスのログオンアカウント | 以下のすべてのアクセス許可を設定する。
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List Works利用者のアカウント、またはEveryone | 以下のアクセス許可のみを設定する。
| |
セキュリティのアクセス許可 | List Worksサービスのログオンアカウント | 以下のすべてのアクセス許可を設定する。
|
List Works利用者のアカウント、またはEveryone | 以下のアクセス許可のみを設定する。
|
(8) クラスタシステムの動作確認
クラスタシステムの各ノードを切り替えることで、データディスクにアクセスできることを確認します。
【スタート】メニューの【Windows管理ツール】-【フェールオーバークラスターマネージャー】をクリックします。
→【フェールオーバークラスターマネージャー】画面が表示されます。
【フェールオーバークラスターマネージャー】の左側操作画面でクラスター名の【役割】をクリックします。
クラスター名が表示されてない場合は、右側操作画面の【操作】-【クラスターへの接続】をクリックしてクラスタに接続します。
【所有者ノード】で、運用系ノードを確認します。
運用系ノードのデータディスク(E:\data01)に一時的なファイル(test.txt)を作成します。
【フェールオーバークラスターマネージャー】の右側操作画面の【List Worksクラスタ】-【移動】-【最適なノード】をクリックします。
→【フェールオーバークラスターマネージャー】の【所有者ノード】が他のノード(待機系ノード)に切り替わることを確認します。
切り替わったノードのデータディスク(E:\data01)に一時的なファイル(test.txt)が見えること、アクセスが可能であることを確認します。