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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.6 (伝送路二重化機能編)
FUJITSU Software

7.17 hanethvrscコマンド

【名前】

hanethvrsc - クラスタリソースに登録する仮想インタフェースと引継ぎIPアドレスの設定

【形式】

/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc command [args]

【機能説明】

hanethvrscコマンドは、PRIMECLUSTERのリソースに登録する仮想インタフェース情報の作成/削除/表示を行います。

コマンド

処理概要

実行権限

create

仮想インタフェース情報の作成

スーパユーザ

delete

仮想インタフェース情報の削除

スーパユーザ

print

仮想インタフェース情報の表示

一般ユーザ

(1) create コマンド

PRIMECLUSTERのリソースに登録する仮想インタフェース情報を作成します。仮想インタフェース情報は、引継ぎ仮想インタフェースおよび引継ぎIPアドレスから構成されます。引継ぎ仮想インタフェースは最大64個まで作成可能です。
なお、引継ぎ仮想インタフェースの論理番号(“:”の後ろに付加される番号)は、65以降が自動的に採番されます。

createコマンドの実行形式は以下のとおりです。

-n devicename

hanetconfigコマンドで作成した高速切替方式、NIC切替方式、仮想NIC方式およびGS連携方式の仮想インタフェース名を指定します。
高速切替方式または仮想NIC方式の場合には、1つの仮想インタフェース名に対して、複数の引継ぎIPアドレスを設定することができます。
NIC切替方式またはGS連携方式の場合には、1つの仮想インタフェース名に対して、1つの引継ぎIPアドレスを設定することができます。

注意

仮想NIC方式の仮想インタフェースをクラスタリソースに登録した場合は、仮想インタフェースの設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)のONBOOT設定に関わらず活性化されます。


-i {takeover-ipv4 | takeover-ipv6/prefix | takeover-ipv4,takeover-ipv6/prefix}

引継ぎIPアドレスのホスト名またはIPアドレスを指定します。指定可能なホスト名は16文字以内です。
本オプションは-nオプションで指定する仮想インタフェースが高速切替方式および仮想NIC方式の場合に指定します。
仮想NIC方式において、クラスタ間で仮想IPアドレスを引き継ぐ必要がない場合は、-iオプションは指定する必要はありません。また、仮想NIC方式のタグVLANインタフェース(shaX.Y)に対して引継ぎIPアドレスを設定する場合は、-iオプションで引継ぎIPアドレスを指定するとともに、-vオプションでVLAN ID(Y)を指定します。NIC切替方式、またはGS連携方式の場合は不要です。(NIC切替方式、またはGS連携方式の場合は、hanetconfig createコマンドの-iオプションで指定した値が引継ぎIPアドレスとして自動的に設定されます。)

注意

  • 仮想NIC方式において-iオプションで引継ぎIPアドレスを指定する場合は、事前にhanetmaskコマンドでサブネットマスクを設定してください。例えば、-iオプションに“192.168.1.1”のIPアドレスを指定する場合は、“192.168.1.0”に対するサブネットマスクを設定します。hanetmaskコマンドの詳細は、“7.5 hanetmaskコマンド”を参照してください。
    なお、hanetmaskコマンドで設定するサブネットマスクは、仮想インタフェースの設定ファイル(ifcfg-shaX)に記述するサブネットマスクと一致させてください。

  • 仮想NIC方式において、ホスト名に"shaX-NN"の形式の名前を使用することはできません。(例:sha0-65)

  • 仮想インタフェースに仮想ブリッジが接続されている構成の場合、引継ぎIPアドレスは仮想ブリッジに対して設定されます。


-v vlan_id

仮想NIC方式のタグVLANインタフェースのVLAN IDを指定します。

仮想NIC方式において、仮想NIC方式のタグVLANインタフェース(shaX.Y)をクラスタリソースに登録する場合に、-vオプションでVLAN ID(Y)を指定します。

注意

仮想NIC方式において、仮想NIC方式のタグVLANインタフェースをクラスタリソースに登録する場合は、仮想NIC方式のタグVLANインタフェース設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scrips/ifcfg-shaX.Y)をあらかじめ設定しておく必要があります。


-e nicaddress1[,nicaddress2,...]

GS連携方式の引継ぎ仮想インタフェースに対するゲートウェイアドレスとして使用するホスト名またはIPアドレスを指定します。このホスト名またはIPアドレスは、冗長化する物理インタフェースに対して論理インタフェースとして割り当てられます。なお、GS連携方式の場合のみ指定することができます。また、GS連携方式の引継ぎ仮想インタフェースが束ねる物理インタフェースの数分、ホスト名またはIPアドレスを指定する必要があります。

ポイント

-eオプションで指定するIPアドレスの設定が必要となる条件は、以下のとおりです。

通信種別

GSホストが使用するアダプタ種別

LANCONA

LANC2LR

同一ネットワーク(隣接)通信

設定は不要

設定が必要

リモートネットワーク(遠隔)通信

設定が必要

設定が必要

自ノードとGSホストの間にルータ機器(LANC2を含む)が接続される構成では、-eオプションによるIPアドレスの設定が必要です。また、-eオプションでIPアドレスを設定した場合、自ノードに隣接するルータ機器に対して、自ノードの仮想IPアドレスあてのゲートウェイとして-eオプションで指定したIPアドレスを、静的経路情報へ設定する必要があります。なお、ルータ機器の設定方法については、ルータ機器のマニュアルを参照してください。

注意

-eオプションでIPアドレスを指定する場合は、事前にhanetmaskコマンドでサブネットマスクの設定を行ってください。例えば、-eオプションに“192.168.70.12”と“192.168.71.12”のIPアドレスを指定する場合は、“192.168.70.0”と“192.168.71.0”に対するサブネットマスクを設定してください。なお、hanetmaskコマンドの詳細については、“7.5 hanetmaskコマンド”を参照してください。

(2) delete コマンド

クラスタリソースから仮想インタフェース情報を削除します。deleteコマンドの実行形式は以下のとおりです。

/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc delete -n {devicename1[,devicename2,...] | all}

-n devicename1[,devicename2,...]

createコマンドにより作成された引継ぎ仮想インタフェース名(shaXX:YY)を指定します。

ポイント

deleteコマンドで指定する仮想インタフェース名は、createコマンドで設定時に指定した仮想インタフェース名に自動採番された仮想インタフェース名になります。

all

クラスタリソースに登録されているすべての仮想インタフェース情報を削除します。

注意

RMS動作中は、クラスタリソースから仮想インタフェース情報を削除することはできません。

(3) print コマンド

クラスタリソースに登録する仮想インタフェース情報の一覧を表示します。printコマンドの実行形式は以下のとおりです。

/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc print [-n devicename1[,devicename2,...]]

以下に表示例を示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc print                                      
 ifname     takeover-ipv4    takeover-ipv6     vlan-id/logical ip address list  
+----------+----------------+----------------+--------------------------------+ 
 sha0:65    takeovervip1     -                -                                 
 sha1:65    -                takeovervip2/64  -                                 
 sha2:65    192.168.50.1     fec0:1::123/64   -                                 
 sha3:65    192.168.80.1     -                192.168.70.12,192.168.71.12       
 sha4:65    sha0-65          -                -                                 
 sha4:66    192.168.11.10    -                -                                 
 sha4:67    -                fec0:1::69/64    5                                 

表示

内容

ifname

クラスタリソースに登録する論理仮想インタフェース名

takeover-ipv4

論理仮想インタフェースに付加される引継ぎIPアドレス(IPv4)のホスト名またはIPアドレス

takeover-ipv6

論理仮想インタフェースに付加される引継ぎIPアドレス(IPv6)のホスト名またはIPアドレス

logical ip address list

引継ぎ仮想インタフェースに対するゲートウェイアドレスとして使用する、物理インタフェースに付加される論理IP(IPv4)のホスト名またはIPアドレス

vlan-id

仮想NIC方式では、引継ぎIPアドレスを設定するタグVLANインタフェースの VLAN ID、またはハイフンが表示されます。

‘-‘(ハイフン)

ホスト名またはIPアドレスのどちらも設定されていないことを意味します。

【注意事項】

【使用例】

(1) create コマンド

高速切替方式(IPv4)を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0に引継ぎIPアドレス(10.1.1.1)を付加してクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i 10.1.1.1

高速切替方式(IPv6)を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0に引継ぎIPアドレス(fec0:1::1/64)を付加してクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i fec0:1::1/64

高速切替方式(IPv4/IPv6)を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0にIPv4の引継ぎIPアドレス(10.1.1.1)とIPv6の引継ぎIPアドレス(fec0:1::1/64)を付加してクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i 10.1.1.1,fec0:1::1/64

NIC切替方式を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha1をクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha1

仮想NIC方式を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0上にIPv4の引継ぎIPアドレス(10.1.1.1)を付加してクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i 10.1.1.1

仮想NIC方式を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0上に引継ぎIPアドレス無しでクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0

仮想NIC方式を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha0上のタグVLANインタフェースsha0.5にIPv6の引継ぎIPアドレス(fec0:1::69/64)を付加してクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha0 -i fec0:1::69/64 -v 5

GS連携方式を設定する場合の使用例:
仮想インタフェースsha2をクラスタリソースに登録する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc create -n sha2 -e 192.168.70.12,192.168.71.12

(2) delete コマンド

引継ぎ仮想インタフェースsha1:65をクラスタリソースから削除する場合の使用例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc delete -n sha1:65

(3) print コマンド

クラスタリソースに登録する仮想インタフェース情報の一覧を表示する場合の例を以下に示します。

# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanethvrsc print