プライマリ候補サーバの災害対策運用のセットアップ手順は、基本的にはデータベース多重化運用の手順と同じです。詳細は、“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”を参照してください。以下は、データベース多重化運用時のセットアップ手順との相違点です。
待機センタでデータベース多重化機能を利用する場合
“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”の手順5において、運用センタのプライマリサーバのサーバ識別子.confファイルをコピーし、待機センタのプライマリ候補サーバのMirroring Controller管理ディレクトリに配置してください。
サーバ識別子.confファイルに設定する権限およびファイル名は、データベース多重化運用の手順と同じです。
サーバ識別子.confファイルに以下のパラメータの設定と変更を行います。
パラメータ | 指定内容 | 備考 |
---|---|---|
standbycenter_mode | primary | 待機センタのプライマリ候補サーバとして運用するため、primaryを指定します。 |
primarycenter_primary_conninfo | ‘host=運用センタ内のプライマリサーバのホスト名,スタンバイサーバのホスト名 port=運用センタ内のプライマリサーバのポート番号,スタンバイサーバのポート番号 application_name=待機センタのプライマリ候補サーバ名 target_session_attrs=read-write …’ | 運用センタのプライマリサーバに接続するための情報をPostgreSQLの接続文字列の形式で指定します。 host、port、application_name、target_session_attrsの指定は必須です。 application_nameには、自サーバのpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータで設定するapplication_nameの値と同じ値を設定します。 target_session_attrsにはread-writeを設定します。 |
standbycenter_primary_conninfo | ‘host=待機センタ内の相手サーバのホスト名 port=待機センタ内の相手サーバのポート番号 application_name=待機センタのプライマリ候補サーバ名 …’ | 待機センタの相手サーバに接続するための情報をPostgreSQLの接続文字列の形式で指定します。 host、port、application_nameの指定は必須です。 application_nameには、自サーバのpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータで設定するapplication_nameの値と同じ値を設定します。 target_session_attrsを指定する場合はread-writeを設定しないでください。 |
運用センタのプライマリサーバからコピーしたサーバ識別子.confファイルのパラメータのうち、待機センタのプライマリ候補サーバ用に編集が必要なパラメータがある場合は、変更を行います。
注意
センタ切り替えの手順を簡易化するため、待機センタでのみ設定が必要なパラメータを除いたサーバ識別子.confファイルの設定は、運用センタと待機センタで共通の値を指定することを推奨します。待機センタでのみ設定が必要なパラメータについては、“12.2 データベースサーバのサーバ定義ファイル”を参照してください。
自動または手動による接続先切り替え時に、Mirroring Controllerがpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータの設定値を以下のように変更します。
待機センタの新プライマリ候補サーバのpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータの設定を、サーバ識別子.confファイルのprimarycenter_primary_conninfoパラメータの設定で上書きします。
待機センタの新スタンバイサーバのpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータの設定を、サーバ識別子.confファイルのstandbycenter_primary_conninfoパラメータの設定で上書きします。
そのため、必須の接続文字列以外に必要な情報がある場合は、primarycenter_primary_conninfoおよびstandbycenter_primary_conninfoパラメータに設定する接続文字列に含めてください。
自動または手動による接続先切り替えでは、Mirroring Controllerがサーバ識別子.confファイルのstandbycenter_modeの値を、新プライマリ候補サーバではprimaryに、新スタンバイサーバではstandbyに変更します。
postgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータの設定と、サーバ識別子.confファイルのprimarycenter_primary_conninfoパラメータの設定は、プライマリ候補サーバ内で同じ値を指定してください。プライマリ候補サーバのpostgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータの設定方法の詳細は、“7.3.3 プライマリ候補サーバのインスタンスの作成・設定・登録”を参照してください。
ポイント
postgresql.auto.confファイルのprimary_conninfoパラメータのtarget_session_attrsにread-writeを指定することで、待機センタのプライマリ候補サーバがhostおよびportに指定する接続先情報の中から運用センタのプライマリサーバを自動で認識します。運用センタでの切り替え発生時に、待機センタのプライマリ候補サーバが自動的に運用センタの新プライマリサーバに接続できるように、primarycenter_primary_conninfoパラメータのhostおよびportには、運用センタのプライマリサーバとスタンバイサーバの両方を接続先情報として指定してください。
参照
primary_conninfoの詳細については、“PostgreSQL Documentation”の“Setting Up a Standby Server”を参照してください。
“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”の手順5において、サーバ定義ファイルのheartbeat_error_actionパラメータにfallbackは指定できません。
ポイント
待機センタでデータベース多重化機能を利用する場合、OSのダウンおよび無応答の監視において、ハートビート異常で無条件に自動縮退を行う動作を選択することはできません。待機センタでデータベース多重化機能を利用しない場合は、ハートビート異常で無条件に自動縮退を行う動作を選択することができます。
待機センタでデータベース多重化機能を利用しない場合
“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”の手順8において、--mc-onlyオプションを指定し、Mirroring ControllerのみをWindowsサービスで起動・停止するようにします。
待機センタではセンタ切り替え時以外はMirroring Controllerを起動しません。このため、Windowsサービス登録後、Mirroring Controllerの自動起動は無効にします。