プライマリサーバのセットアップについて、データベース多重化運用時の手順との相違点を説明します。
pg_hba.confファイルの編集
待機センタからの接続を認証するため、“2.4.2 プライマリサーバのインスタンスの作成・設定・登録”の手順3において、pg_hba.confファイルに以下のエントリーを追加します。
# TYPE DATABASE USER ADDRESS METHOD host replication fsep 待機センタのプライマリ候補サーバのアドレス 認証方式 host replication fsep 待機センタのスタンバイサーバのアドレス 認証方式
postgresql.confファイルの編集
“2.4.2 プライマリサーバのインスタンスの作成・設定・登録”の手順5において、postgresql.confファイルに以下のパラメータを設定します。
パラメータ | 指定内容 | 備考 |
---|---|---|
max_wal_senders | 4 | 待機センタにもトランザクションログを送信することと、pg_basebackupコマンドを運用センタのスタンバイサーバと待機センタのプライマリ候補サーバで同時に実行した場合に備えて、4を指定します。 |
wal_keep_segments | ファイルセグメント数(個数) | “7.1 セットアップ前に必要な設計”で設計したRPOに基づいた運用センタで蓄積する最大トランザクションログ量を元に指定します。 |
archive_mode | always | 運用センタ、および待機センタのすべてのサーバでアーカイブログを取得するため、alwaysを指定します。 |
following_async_walsenders | 'on (待機センタのプライマリ候補サーバ名,待機センタのスタンバイサーバ名)' | トランザクションログの転送順を固定するパラメータです。待機センタのプライマリ候補サーバ名と待機センタのスタンバイサーバ名を指定することで、運用センタのスタンバイサーバに転送後、待機センタに転送します。 これにより、運用センタ内でMirroring Controllerによる縮退が行われた場合に、待機センタ内のデータベースを再構築する必要がなくなります。 災害対策運用時は必ず本パラメータを指定します。 |
参考
災害対策運用では広域回線切断に備えて、wal_keep_segmentsパラメータを使用し、トランザクションログが再利用されないようにします。このため、広域回線切断時間と更新トランザクションの内容によって、蓄積されるトランザクションログの容量が変動します。
蓄積されるトランザクションログの容量の見積り式については、“導入ガイド(サーバ編)”の“災害対策運用時のトランザクションログの容量の見積り”を参照してください。
参照
災害対策運用時にpostgresql.confファイルに設定するパラメータは、“第12章 災害対策運用時に設定するパラメータ”を参照してください。
ポイント
following_async_walsendersパラメータに'on'のみを指定することもできます。その場合、待機センタでの本パラメータの削除や変更は不要となりますが、待機センタ以外の任意のスタンバイサーバから接続する場合は、これらのサーバについても本パラメータが有効となります。
待機センタでデータベース多重化機能を利用する場合
“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”の手順5において、heartbeat_error_actionパラメータにfallbackは指定できません。
ポイント
OSのダウンおよび無応答の監視において、ハートビート異常で無条件に自動縮退を行う動作を選択することはできません。待機センタでデータベース多重化機能を利用しない場合は、ハートビート異常で無条件に自動縮退を行う動作を選択することができます。
待機センタでデータベース多重化機能を利用しない場合
WindowsサービスへのMirroring Controllerの登録
待機センタでデータベース多重化機能を利用しない場合の災害対策運用ではセンタ切り替え後の手順を単純化するため、Windowsサービスによるインスタンス、およびMirroring Controllerの起動・停止を個別に行います。このため、“2.4.1 プライマリサーバのデータベース多重化運用のセットアップ”の手順8において、--mc-onlyオプションを指定し、Mirroring Controllerのみを起動・停止するようにします。
Windowsサービスへのインスタンスの登録
“2.4.2 プライマリサーバのインスタンスの作成・設定・登録”の手順1において、pg_ctlコマンドのregisterモードの-Sオプションに“auto”を指定して、システム起動時に自動的にサービスを起動するようにします。
Windowsサービス登録後、dependパラメータを指定したsc configコマンドを実行し、インスタンス起動後にMirroring Controllerを起動するよう設定を変更します。
参考
設定方法の詳細は、scコマンドのヘルプなどのドキュメントを参照してください。