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Enterprise Postgres 13 解説書
FUJITSU Software

1.3 データベース多重化による高信頼性

データベースを利用したシステムでは、ハードウェアやソフトウェアの故障など、様々な要因で引き起こされるデータの破壊や損失からデータを保護することが不可欠です。データベースを多重化することで、重要なデータを保護し、高信頼なデータベースの運用を実現します。

FUJITSU Enterprise Postgresは、PostgreSQLのストリーミングレプリケーション機能に基づいてデータベースを二重化するだけでなく、データベースプロセス、ディスク、ネットワークなどのデータベース運用の継続に不可欠な要素の障害検知機能と、簡易化されたスイッチオーバやスタンバイの切り離し機能などを提供します。

スイッチオーバが実施されても、クライアントがプライマリサーバやスタンバイサーバを自動的に識別することで、アプリケーションは物理的なサーバを意識せずに透過的に接続できます。

また、Mirroring Controllerにより、プライマリサーバ(主の業務で利用するデータベースサーバ)で異常が発生した場合に、プライマリサーバを自動的にスタンバイサーバに切り替えることができます。

さらに、スタンバイサーバのデータを活用することで、プライマリサーバの業務と並行し、データ分析や帳票出力などの参照を行う業務が可能となります。

裁定サーバによる運用

Mirroring Controllerは、データベースサーバ間のネットワーク異常やサーバが不安定な状態になった場合、相手サーバの状態を正しく判断することができない場合があります。その結果、両サーバが一時的にプライマリサーバとして動作し、どちらのサーバからも更新業務が可能な現象が発生することがあります。

サーバアシスタント機能は、このような場合に、第三者としてデータベースサーバの状態を客観的に確認し、不安定なサーバを隔離(フェンシング)する機能です。

データベース多重化運用では、サーバアシスタント機能をインストールした新たなサーバ(裁定サーバ)を追加で設置することができます。裁定サーバを設置することで、前述のように両サーバが一時的にプライマリサーバとして動作する現象を防止でき、信頼性の高い運用が可能です。

広域災害対策への適用

データベース多重化機能によるセンタ内の高信頼化に加えて、二重化されたデータベースを遠隔地に複製することで、データベースの局所的なハード障害から広域災害までの幅広い障害に備えたシステム構築が可能となります。システム構築は、運用センタと待機センタの両方でデータベース多重化機能を利用する構成と、運用センタでのみデータベース多重化機能を利用する構成のいずれかで行うことが可能です。

運用センタと待機センタの両方でデータベース多重化機能を利用する場合、待機センタのプライマリ候補サーバの障害発生時に、待機センタのスタンバイサーバの接続先を、運用センタのプライマリサーバに自動的に切り替えるため、待機センタは運用センタから継続的にWALを受信することができます。運用センタの被災により業務が継続できなくなった場合においても、より短い復旧時間で業務を再開することができ、業務継続性の高い運用が可能です。


運用センタでのみデータベース多重化機能を利用する場合、被災によるセンタ切り替え後に待機センタでデータベース多重化機能の利用を開始することで、被災前と同等なセンタ内の高信頼性が継続できます。

参照

  • データベース多重化については、“クラスタ運用ガイド(データベース多重化編)”の“データベース多重化運用”を参照してください。

  • 災害対策運用については、“クラスタ運用ガイド(データベース多重化編)”の“災害対策運用”を参照してください。