非同期アプリケーション連携実行基盤は、複数のアプリケーションを非同期通信で連携させて業務処理を行うシステムを容易に構築するための実行基盤です。フロー定義を使用してアプリケーションの実行順序を制御し、キューを用いてアプリケーション間の情報をメッセージで受け渡すことによって、複数のアプリケーションを連携させ、一連の業務処理を実現します。
■例:販売業務システム
以降、販売業務のシステムを例に説明します。販売業務のシステムは、以下の4つのアプリケーションから構成されています。
受注処理アプリケーション
在庫確認処理アプリケーション
決済処理アプリケーション
発送手続き処理アプリケーション
これらのアプリケーションを非同期アプリケーション連携実行基盤で連携させることで、販売業務という1つの大きな処理を実現します。
このような複数のアプリケーションを連携したシステムを構築するために、非同期アプリケーション連携実行基盤では、主に以下の機能を提供しています。
キューへのメッセージの入出力処理
アプリケーションの実行順序の制御や、メッセージの分岐の判定処理
リトライ処理
異常時のメッセージ退避処理
非同期アプリケーション連携実行基盤を使用することにより、ユーザは、以下の作業を行うだけで、簡単にシステムを構築することができます。
業務処理を行うアプリケーションの作成
アプリケーション間の連携のための定義(フロー定義)
アプリケーション間のメッセージを受け渡すためのキューの作成
■アプリケーション連携のための定義とアプリケーション
非同期アプリケーション連携実行基盤では、一連のアプリケーションの連携をフローと呼びます。非同期アプリケーション連携実行基盤は、アプリケーションの動作順序などを定義したフロー定義に従って、複数のアプリケーションの連携を行います。
以下に、フロー定義とアプリケーションの概要を示します。
フロー定義
フロー定義はアプリケーションの連携方法を定義します。アプリケーションと独立した定義になっているため、アプリケーションの構造に影響されない業務構築が可能です。フロー定義は、業務データ定義、ルーティング定義、呼出し定義、および異常処理定義の4種類の定義から構成されています。
アプリケーション
アプリケーションは、ユーザの業務処理を行うプログラムです。アプリケーション間の連携は、メッセージを用いて行います。アプリケーションには、業務処理実行アプリケーションと業務処理開始アプリケーションの2種類があります。
■メッセージとフロー定義およびアプリケーションの関係
アプリケーション間の連携は、メッセージを用いて行います。メッセージ内には複数のアプリケーション間で受け渡す引数および復帰値が格納されています。また、メッセージ内のデータと型は、フロー定義の業務データ定義で定義します。
非同期アプリケーション連携実行基盤では、メッセージ内のデータを業務データと呼びます。
メッセージの各データとアプリケーションの引数および復帰値との対応付けは、フロー定義の呼出し定義で定義します。運用時には、非同期アプリケーション連携実行基盤が定義に従ってメッセージと呼出し引数や復帰値との変換を行います。
どのアプリケーションに対してどのようなメッセージを送信するかは、フロー定義のルーティング定義で定義します。