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Interstage Application Server V12.3.0 アプリケーション作成ガイド(CORBAサービス編)
FUJITSU Software

4.7.3 Any_varクラス

Any_varクラスは、Any型データを扱うためのいくつかのメンバ関数を提供します。

class Any_var {
    public: 
        Any_var();                              // デフォルトコンストラクタ
        Any_var( Any *);                        // Any*コンストラクタ
        Any_var( const Any_var & );             // コピーコンストラクタ
        ~Any_var();                             // デストラクタ

        Any_var  &operator=( Any * );           // Any*代入演算子
        Any_var  &operator=( const Any_var & ); // 代入演算子

        Any       *operator->();                // ポインタ演算子
        operator  Any*()    const;              // 交換演算子

    private: 
        Any       *_ptr; 
};

Any_varクラスのメンバ

意味

デフォルトコンストラクタ

インスタンス生成時、_ptrを0に初期化します。

Any*コンストラクタ

インスタンス生成時、パラメタで指定されたAnyポインタを_ptrに代入します。

コピーコンストラクタ

インスタンス生成時、指定されたパラメタの_ptrのデータのコピーを作成し、自身の_ptrに設定します。_ptrの領域を新規獲得します。メモリ不足により領域の獲得に失敗した場合、_ptrにNULLが設定されます。

デストラクタ

_ptrの指す領域を解放します。

Any* 代入演算子

右辺で指定されたAny*ポインタを_ptrに代入します。

代入演算子

右辺で指定されたAny_varの_ptrに設定されているデータのコピーを作成し、そのポインタを_ptrに設定します。_ptrの領域を新規獲得します。メモリ不足により領域の獲得に失敗した場合、_ptrにNULLが設定されます。

ポインタ演算子

_ptrに設定されているデータを取り出します。

交換演算子

_ptrに設定されているデータを取り出します。


デフォルトコンストラクタ

デフォルトコンストラクタは、インスタンス生成時、_ptrに0を設定します。
デフォルトコンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any_var any;        // デフォルトコンストラクタが起動されます。

CORBA::Any_var::CORBA::Any_var()
{
    _ptr = 0; 
}

Any*コンストラクタ

Any*コンストラクタは、インスタンス生成時、パラメタで指定されたAnyポインタを_ptrに代入します。
Any*コンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 
(*data) <<= x; 

CORBA::Any_var  any(data);    // Any*コンストラクタが起動されます。

CORBA::Any_var::Any_var( Any *p ) 
{
    _ptr = p; 
}

コピーコンストラクタ

コピーコンストラクタは、インスタンス生成時、パラメタで指定されたAny_var変数に設定されている_ptrのコピーを作成し、自身の_ptrに代入します。
コピーコンストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 
(*data) <<= x; 

CORBA::Any_var  any(data);     // Any*コンストラクタが起動されます。

CORBA::Any_var  any2( any );   // コピーコンストラクタが起動されます。

CORBA::Any_var::Any_var( const CORBA::Any_var &r ) 
{
    ...    // rの_ptrを取り出し、そのコピーを_ptrに設定します。
}

デストラクタ

デストラクタは、インスタンス解放時、_ptrに設定されている領域を解放します。
デストラクタの使用例と処理内容を以下に示します。

func()
{
    CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
    CORBA::Long x = 3; 
    (*data) <<= x; 

    CORBA::Any_var  any(data);  // Any*コンストラクタが起動されます。
    CORBA::Any_var  *any2 = new Any_var( any ); 

    // コピーコンストラクタが起動されます。

    delete any2;    // デストラクタが起動されます。
}   // 自動変数anyの解放時にデストラクタが起動されます。

CORBA::Any_var::~Any_var()
{
    delete _ptr; 
}

Any*代入演算子

Any*代入演算子は、右辺で指定されたAny*ポインタを_ptrに設定します。すでに_ptrにデータが設定されている場合は、解放した後、処理を行います。
Any*代入演算子の使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any_var  var_data; 
CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 

(*data) <<= x; 

var_data = data; // Any *代入演算子が起動されます。

CORBA::Any_var::operator=( Any *p ) 
{
    if( _ptr ) 
        delete _ptr; 
    _ptr = p; 
}

CORBA::Any_var::operator=( const Any_var &r ) 
{
    if( _ptr ) 
        delete _ptr; 
    ...    // rの_ptrを取り出し、そのコピーを_ptrに設定します。
}

代入演算子

代入演算子は、右辺で指定されたAny_varのptrに設定されているデータのコピーを作成し自身の_ptrに代入します。すでに_ptrにデータが設定されている場合は、解放した後、処理を行います。
代入演算子の使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any_var  var_data; 
CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 

(*data) <<= x; 

var_data = data;                     // Any *代入演算子が起動されます。

CORBA::Any_var var_data2 = var_data; // 代入演算子が起動されます。

ポインタ演算子

ポインタ演算子は、_ptrに設定されているポインタを返します。
ポインタ演算子の使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any_var  var_data; 
CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 

(*data) <<= x; 
       
CORBA::Long  *p = var_data->value();
// ポインタ演算子が起動され、CORBA::Any *データが取り出され、
// そのCORBA::Any*データに対してvalueメソッドを起動します。

CORBA::Any_var::operator->()
{
    return _ptr; 
}

交換演算子

交換演算子は、_ptrに設定されているポインタを返します。
交換演算子の使用例と処理内容を以下に示します。

CORBA::Any_var  var_data; 
CORBA::Any *data = new CORBA::Any();
CORBA::Long x = 3; 

(*data) <<= x; 

CORBA::Any  *p = (CORBA:;Any*)var_data; 
// 交換演算子が起動され、CORBA::Any *データが取り出されます。

CORBA::Any_var::operator CORBA::Any*()
{
    return _ptr; 
}