VMware環境でPRIMECLUSTERを使用する場合は、複数のESXiホスト上のゲストOS間クラスタリング(仮想マシン機能)および、1つのESXiホスト上のゲストOS間クラスタリング(仮想マシン機能)が可能です。
VMware環境において、ESXiホストまたはゲストOSに異常が発生すると、ゲストOS上のアプリケーションが動作できない状態となります。複数のESXiホスト上のゲストOS間クラスタリングでは、ゲストOSにPRIMECLUSTERを適用することで、異常発生時には運用系のゲストOSから待機系のゲストOS上へアプリケーションの切替えが発生し、信頼性の高いゲストOS環境を実現します。
複数のESXiホスト上のゲストOS間のクラスタ環境の場合、以下の強制停止方式を使用します。
SCSI-3 Persistent Reservation を排他制御機能として利用し、異常が発生したゲストOSをパニックにより停止させることで業務の切替えを実現します。本機能を使用する場合、SCSI-3 Persistent Reservation に対応した RDM (Raw Device Mapping)接続の共用ディスクが必要です。
注意
以下の環境ではI/Oフェンシング機能による強制停止方式は使用できません。
1つのESXiホスト上のゲストOS間のクラスタ環境
クラスタアプリケーションを構成するノード数が3ノード以上の環境
共用ディスクを使用するクラスタアプリケーションが複数存在する環境
GDSサーバ間ミラーリング構成のディスクを使用する場合
参考
複数のESXiホスト上のゲストOS間で共用ディスクが接続されているクラスタシステムでは、SA_icmpシャットダウンエージェントを設定することで、ネットワーク(管理LAN/インタコネクト)経路でゲストOSの応答の有無を確認し、応答が無い場合に切替えを実施します。このため、異常が発生したゲストOSが完全に停止していない場合(OSハング状態等)、両方のゲストOSから共用ディスクに同時にアクセスされる可能性があります。I/Oフェンシング機能は、SCSI-3 Persistent Reservation を利用することで両方のゲストOSからの同時アクセスを防止します。
図H.1 VMware環境でのクラスタシステム
参照
VMwareの詳細については、VMware vSphereのソフトウェア説明書を参照してください。
注意
VMware環境では、共用ディスクを使用したクラスタアプリケーションは、2ノードまでをサポートしています。
hvswitch -f コマンドを実行してクラスタアプリケーションを起動または切り替える際、以下のメッセージが出力されて、クラスタアプリケーションの起動または切替えが失敗する場合があります。
ERROR: Forcibly switch request denied, unable to kill node <SysNode名>
この場合、ノード "SysNode名" を停止後に hvswitch -f コマンドを実行してください。
VMware環境において、複数のESXiホスト上のゲストOS間でのクラスタシステムはネットワーク(管理LAN/インタコネクト)経路を使用してゲストOSの状態を確認し、切替えを実施するため、異常が発生したゲストOSが完全に停止していない場合(OSハング状態等)があります。このため、共用ディスクを使用している場合には必ずI/Oフェンシング機能を設定してください。
I/O フェンシング機能はクラスタアプリケーション構築時に設定が必要です。
I/Oフェンシング機能は、GDSのディスククラスに登録された共用ディスク装置のLUN、または、Fsystemリソースで制御するファイルシステムが作成されたLUNを使用します。I/Oフェンシング機能を使用する場合は、これらのLUNを含むディスククラスのGDSリソース、または、Fsystemリソースをクラスタアプリケーションに登録してください。
GdsリソースやFsystemリソースを登録しているクラスタアプリケーションが複数存在する環境では、I/Oフェンシング機能は使用できません。
GDSを使用し、共用ディスク装置のLUN上のファイルシステムをFsystemリソースとして管理する場合、Fsystemリソースが制御するファイルシステムのデバイスとして、以下の 形式で、/etc/fstab.pclファイルに指定してください。
/dev/sfdsk/<ディスククラス名>/dsk/<ボリューム名>
GDSを使用せず、共用ディスク装置のLUN上のファイルシステムをFsystemリソースとして管理する場合、Fsystemリソースが制御するファイルシステムのデバイスとして、以下のいずれかを/etc/fstab.pclファイルに指定してください。
/dev/disk/by-id/名
/dev/disk/by-path/名
LABEL=<ファイルシステムのラベル名>
UUID=<ファイルシステムのUUID>
/dev/sd名
シャットダウン機構の設定により、クラスタインタコネクトの異常が発生した場合、各ノードはLEFTCLUSTER状態となります。シャットダウン機構の設定の詳細については“H.2.3.2 シャットダウン機構の設定”、LEFTCLUSTERからの回復については、“PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書”の“5.2 LEFTCLUSTER からの回復”を参照してください。その後の操作については、“7.2 PRIMECLUSTERシステムの運用操作”を参照してください。
PRIMECLUSTERを導入する仮想マシンは、VMware HA、VMware FT、VMware DRS、VMware DPM など、VMwareのクラスタ機能の対象から外してください。
PRIMECLUSTERを導入する仮想マシンは、以下の機能を使用できません。
VMware vMotion
VMware Storage vMotion
VMware vCenter Converterによる移行
VMwareのスナップショット機能
Data Protectionによるバックアップ
ネイティブマルチパス(NMP)のパスポリシーは、以下のように設定してください。
VMware vSphere 5.1以前を使用している場合
「最近の使用」に設定
VMware vSphere 5.5、またはVMware vSphere 6.0を使用している場合
「最近の使用」または「ラウンドロビン」に設定
上記以外の設定はサポートしません。
仮想マシン ハードウェアに対する、以下のようなホット変更はできません。
ディスクのサイズを増やす
メモリのホット追加
CPU のホット追加
スナップショットの使用
仮想スワップまたはメモリバルーニングを引き起こすメモリのオーバーコミット
複数のESXiホスト上のゲストOS間クラスタ環境において、VMwareのコールドマイグレーション機能を利用する場合に、同じクラスタを構成する複数のノードが、1つのESXiホスト上に配置されることがないようにしてください。
サードパーティ製のマルチパスソフトウェアに関するサポートについては、当社技術員(SE)に確認してください。
以下の環境および機能はサポートしていません。
FCoE
異なるバージョンのESXiホスト
N-Port ID 仮想化(NPIV)
SANブート構成でディスク装置上のシステムボリュームを参照できなくなった場合、システムの状況によってはPRIMECLUSTERの異常検出機能が動作できなくなります。その場合は、オペレータによる手動での切替えを実施してください。
SCSI-3 Persistent Reservationに対応している共用ディスクを使用してください。
共用ディスク上に作成したファイルシステムを Fsystem リソースとして利用する場合、同一のディスク(LUN)、またはディスククラス上に作成されたファイルシステムは、すべて同じ userApplication に登録する必要があります。
一つのディスク(LUN)、またはディスククラス上に複数のファイルシステムを作成し、それぞれのファイルシステムを別々の userApplication に登録して監視・制御することは、I/Oフェンシング機能の制約によりできません。