仮想アダプターの構成定義を設定/削除/表示するには、hanetconfigコマンドを使用します。hanetconfigコマンドは、以下の表に示すサブコマンドを使用して実行します。
サブコマンド | 処理概要 | 実行権限 |
---|---|---|
create | 構成情報の作成 | Administrators |
delete | 構成情報の削除 | Administrators |
構成情報の表示 | AdministratorsまたはUsers | |
version | バージョン情報の表示 | AdministratorsまたはUsers |
GLSを使用するには、仮想アダプターの構成情報を作成する必要があります。構成情報の作成には、createサブコマンドを使用します。
形式
hanetconfig create -n vadapter -t adapter1[,adapter2] [-v {vlanid|hv}] [-a {macaddr|phy}]
機能説明
仮想アダプターの構成情報を作成します。
オプション
-n vadapter
新規に作成する構成情報の仮想アダプター名を指定します。最大16個まで指定できます。
仮想アダプター名は、“sha”で始まる文字列に、数値(0~15)を付加した形式で指定してください。先頭に0が付く数値は指定できません(“sha0”を除く)。この形式以外を指定した場合、メッセージが出力され、本コマンドは終了します。
仮想アダプター名の指定例を以下に示します。
指定可能な仮想アダプター名
sha0、sha10、sha15
指定不可能な仮想アダプター名
sha01、sha1b、sha99
-t adapter1[,adapter2]
仮想アダプターによって束ねられる物理アダプターの名前をコンマ(,)で区切って指定します。物理アダプター名に空白を含む場合、ネットワークアダプター名をダブルクォーテーション(")で囲んで指定してください。なお、物理アダプター名の“イーサネット”または、“ローカル エリア接続 ”の文字列を省略して指定することもできます。
省略しない場合(通常指定)
> hanetconfig create -n sha0 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
省略する場合
> hanetconfig create -n sha0 -t 1,2 |
以下に、Windows上で表示されるアダプター名と、GLSのコマンドでの省略形を示します。
Windows上でのアダプター名 | GLSのコマンド指定時の省略形 |
---|---|
“イーサネット”または、“イーサネット 0” | 0 |
“イーサネット 1” | 1 |
“イーサネット 2” | 2 |
GLS : PRIMECLUSTER GL for Windows
物理アダプターの一覧は、[Windowsの設定]-[ネットワークとインターネット]-[ネットワークと共有センター]-[アダプターの設定の変更]を選択して、[ネットワーク接続]画面から取得できます。また、Windowsのipconfigコマンドを使用して取得することもできます。
-v {vlanid | hv}
タグVLANを使用して物理アダプターを複数の仮想アダプターで共有する場合に、仮想アダプターのVLAN IDを設定します。vlanidには、1~4095までの値が指定できます。それ以外のvlanidを指定すると、本コマンドはエラーメッセージを出力して終了します。
なお、同じvlanidをもつ仮想アダプターを設定することはできません。
Hyper-V 環境において、仮想アダプターを仮想スイッチマネージャーに登録して使用する場合は、“hv”を指定します。“hv”を指定した場合、他の仮想アダプターが束ねる物理アダプターと共有することはできません。
-a {macaddr | phy}
仮想アダプターに付加するMACアドレスを設定します。macaddrには、仮想アダプターに付加するMACアドレスを直接指定します。
通常、GLSは仮想アダプターのMACアドレスを物理アダプターのMACアドレスを元に自動生成するため、macaddrの指定は不要です。ただし、指定する必要がある場合は、同一セグメントで重複しないMACアドレスを選択してください。
指定できるMACアドレスの形式は以下のとおりです。
XX-XX-XX-XX-XX-XX |
XXには16進数を指定し、それぞれをハイフン(-)で区切ります。
仮想アダプターのMACアドレスに、プライマリアダプターのMACアドレスを自動的に設定する場合、“phy”を指定します。“phy”を指定した場合、NICを共有する他の仮想アダプターには、“phy”が設定できません。
注意事項
本コマンドは、セーフモードでは使用できません。
ブレードサーバのマネジメントブレードで管理LANのIPアドレスを表示する場合、-aオプションに“phy”を指定してください。
-aオプションに“phy”を指定している構成において、故障等によりプライマリアダプターが認識できない場合は、セカンダリアダプターのMACアドレスが仮想アダプターに設定されます。
以下の場合、-aオプションに“phy”を指定しないでください。
仮想アダプターで動的リンクアグリゲーションを束ねる場合
VMwareのゲストOSでGLSを使用する場合
使用例
例1
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねてVLAN IDを使用しない仮想アダプター(sha0)を設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
例2
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねて、VLAN IDが2の仮想アダプター(sha0)を設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -v 2 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
例3
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を共有して、VLAN ID(2)を使用した仮想アダプター(sha0)とVLAN ID(3)を使用した仮想アダプター(sha1)を設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -v 2 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" > hanetconfig create -n sha1 -v 3 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
例4
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を共有して、VLAN ID(2)を使用した仮想アダプター(sha0)とタグVLANを使用しない仮想アダプター(sha1)を設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -v 2 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" > hanetconfig create -n sha1 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
例5
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねる仮想アダプター(sha0)に対して、MACアドレス(02-01-01-01-01-01)を手動で設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" -a 02-01-01-01-01-01 |
例6
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねる仮想アダプター(sha0)に対して、プライマリアダプター(イーサネット 1)のMACアドレスを設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -t "イーサネット 1","イーサネット 2" -a phy |
例7
“イーサネット ”を省略して、物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねてVLAN IDを使用しない仮想アダプター(sha0)を設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -t 1,2 |
例8
物理アダプター(イーサネット 1とイーサネット 2)を束ねて、Hyper-V環境の仮想アダプターとして設定します。
> hanetconfig create -n sha0 -v hv -t "イーサネット 1","イーサネット 2" |
仮想アダプターの構成情報を削除するには、deleteサブコマンドを使用します。
形式
hanetconfig delete -n {vadapter|all}
機能説明
仮想アダプターの構成情報を削除します。
オプション
-n vadapter
削除する構成情報の仮想アダプター名を指定します。
-n all
すべての仮想アダプターを削除する場合に指定します。
使用例
例1
仮想アダプター(sha0)を削除します。
> hanetconfig delete -n sha0 |
例2
すべての仮想アダプターを削除します。
> hanetconfig delete -n all |
作成した仮想アダプターの構成内容を表示するにはprintサブコマンドを使用します。
形式
hanetconfig print [-d]
機能説明
仮想アダプターが束ねている物理アダプター名やVLAN IDなどの仮想アダプターの構成情報を表示します。オプションを指定すると、VLAN IDとMACアドレスを表示できます。
オプション
-d
MACアドレスなどの仮想アダプターの情報を表示します。
出力形式
-dオプション省略時の形式
> hanetconfig print Name VID Adapters +-------+----+----------------------------------------------------------------+ sha0 ---- イーサネット 1,イーサネット 2 sha1 2 イーサネット 3,イーサネット 4 sha2 1021 イーサネット 3,イーサネット 4 sha3 hv イーサネット 5,イーサネット 6 |
以下に出力項目の意味を示します。
出力項目 | 内容 | |
---|---|---|
Name | 仮想アダプター名 | |
VID | タグVLAN情報 | |
---- | タグVLANを使用しない通信を行います。 | |
1~4095 | VLAN ID | |
hv | Hyper-Vの仮想スイッチマネージャーと連携して通信を行います。 | |
Adapters | 仮想アダプターが束ねている物理アダプターのリスト |
-dオプション指定時の形式
> hanetconfig print -d Name VID MAC Address +-------+----+-----------------------------------------------------------------+ sha0 ---- Auto sha1 2 Auto sha2 1021 XX-XX-XX-XX-XX-XX sha3 hv Auto sha4 ---- Physical |
以下に出力項目の意味を示します。
出力項目 | 内容 | |
---|---|---|
Name | 仮想アダプター名 | |
VID | タグVLAN情報 | |
---- | タグVLANを使用しない通信を行います。 | |
1~4095 | VLAN ID | |
hv | Hyper-Vの仮想スイッチマネージャーと連携して通信を行います。 | |
MAC Address | MACアドレス | |
Auto | 自動生成されたMACアドレスが仮想アダプターに割り当てられていることを示します。 | |
XX-XX-XX-XX-XX-XX | 仮想アダプターに手動で割り当てられたMACアドレスです。 | |
Physical | プライマリアダプターのMACアドレスが仮想アダプターに割り当てられていることを示します。 |
使用例
例1
構成情報の表示例を以下に示します。
> hanetconfig print Name VID Adapters +-------+----+----------------------------------------------------------------+ sha0 ---- イーサネット 1,イーサネット 2 sha1 2 イーサネット 3,イーサネット 4 sha2 1021 イーサネット 5,イーサネット 6 |
例2
仮想アダプターの設定の詳細を表示します。
> hanetconfig print -d Name VID MAC Address +-------+----+-----------------------------------------------------------------+ sha0 ---- Auto sha1 2 Auto sha2 1021 02-01-01-01-01-01 |
GLSのプログラムのバージョンを表示するには、versionサブコマンドを使用します。
形式
hanetconfig version
機能説明
GLSのバージョンを表示します。
使用例
例
GLSのバージョン情報を表示します。
> hanetconfig version HA-Net version 4.4A00 |