プロキシボリュームによるスナップショット機能を使用して、システム運用中に、現在のブート環境 (現用ブート環境) に影響を与えずに、別のブート環境 (代替ブート環境) を作成することができます。代替ブート環境を利用することにより、システムボリューム (/、/usr、/var、/boot、/boot/efi、スワップ域) のバックアップおよびリストアの作業に伴うシステム停止時間を、大幅に削減することができます。また、システムボリュームの構成変更、パッチ適用などのシステム変更作業において、システムや業務の停止時間を削減することも可能です。
代替ブート環境は、GDS Snapshot のコマンドを使用して、以下の手順で作成します。
システムボリュームのスナップショット作成
プロキシボリュームを使用して、現用ブート環境のシステムボリュームのスナップショットを作成します。スナップショットの作成は、システム運用中に実行できます。
代替ブート環境の設定
現用ブート環境のシステムボリュームの代わりにスナップショットのボリューム (プロキシボリューム) を使用してシステムを起動できるように設定します。この設定では、スナップショット作成時にルートボリューム (/) からプロキシボリュームにコピーされた システムファイル (注) が変更されます。現用ブート環境は変更されません。
注) RHEL6 の場合 : fstab、grub.conf、dracut.conf RHEL7の場合 : fstab、grub.cfg、dracut.conf
代替ブート環境のブートデバイス名を指定してリブートするだけで、代替ブート環境に切り替えることができます。また、元のブート環境のブートデバイス名を指定してリブートするだけで、元のブート環境に戻すことができます。
代替ブート環境を利用することにより、以下のようなシステムの保守作業や変更作業において、システムおよび業務の停止時間を削減することができます。
システムのバックアップ
代替ブート環境は、システムのバックアップとみなすことができます。代替ブート環境の作成はシステム運用中に実行できるため、バックアップ作業に伴うシステム停止が不要になります。
システム異常時のリストア
システムディスクの故障やデータ破壊などによってシステムが起動できなくなった場合、代替ブート環境に切り替えるだけで、システムの運用再開が可能です。また、代替ブート環境でシステムを運用しながら、代替ブート環境のデータを用いて元のシステムのデータをリストアし、リブートするだけで元のブート環境に戻すことができます。
システムの変更
代替ブート環境を作成し、代替ブート環境に切り替えることによって、システムボリュームのディスク構成を変更することができます。また、システム運用中に、代替ブート環境で使用するボリュームに対して、容量拡張、パッチ適用などを実施することができます。これらの作業は、システム運用中に実行でき、現用ブート環境には影響を与えません。代替ブート環境の起動が失敗したり、代替ブート環境の動作に問題がある場合は、リブートするだけで現用ブート環境に戻すことができます。
注意
SAN ブート環境
ETERNUS ディスクアレイを使用した SAN ブート環境でシステムディスクのスナップショットを作成するとき、アドバンスト・コピー機能は使用できません。
参照
代替ブート環境の使用例として、「7.5 代替ブート環境を使用したシステムディスクのバックアップとリストア【EFI】」と「7.14.2 コマンドによるシステムボリュームの拡張【EFI】」を参照してください。