FC-AL 内蔵ディスクを交換すると、交換後のディスクのデバイス番号が変更される場合があります。このため、GDS 運用管理ビューの [物理ディスク交換] と [物理ディスク復旧]、または sdxswap コマンドを使用する物理ディスク交換手順では、FC-AL 内蔵ディスクは交換できません。FC-AL 内蔵ディスクを交換する場合は、当該ディスクをクラスからいったん削除してからディスク装置を交換し、交換後のディスクをクラスに再度登録してください。
以下に、例として、ミラーグループに接続されている FC-AL 内蔵ディスクの交換手順を示します。この例では、ミラーリングされているディスクを交換するため、交換前にディスク上のボリュームを削除する必要はありません。シングルディスクの場合や、最上位グループがミラーグループ以外の場合など、ミラーリングされていないディスクを交換する場合は、交換前にディスク上のボリュームを削除する必要があります。
この場合、必要に応じてボリュームのデータをバックアップしてからボリュームを削除し、ディスクをクラスから削除し、交換後のディスクをクラスに登録した後、ボリュームの再作成とデータのリストアを行う必要があります。
/var/adm/messages ファイルに出力されている GDS の I/O エラーメッセージから、交換前のディスクのデバイス名 (devname) を確認します。
GDS の I/O エラーメッセージは、文字列 sfdsk をキーにして検索することができます。以下の例では、デバイス名は ssd@w210000203716ee10 です。
WARNING: sfdsk: write error on slice: volume info: devno(maj,min)=0x03f4002e(253,46) device info: devno(maj,min)=0x01d8001e(118,30) devname=/sbus@2,0/SUNW,socal@d,10000/sf@1,0/ssd@w210000203716ee10,0 (ssd3) error info: blk in disk=17308981, blk in slice=5232448 length=8192, resid=8192, errno=5 |
交換前のディスクの物理ディスク名を確認します。
grep コマンドの引数には、手順 1. で確認したデバイス名を指定します。
以下の例では、物理ディスク名は c2t4d0 です。
# ls -l /dev/rdsk | grep ssd@w210000203716ee10 |
交換前のディスクのディスク名、クラス名、グループ名を確認します。
sdxinfo -D コマンドを実行し、手順 2. で確認した物理ディスク名が DEVNAM フィールドに表示されている行の、NAME、CLASS、GROUP フィールドでディスク名、クラス名、グループ名を確認します。
以下の例では、物理ディスク c2t4d0 のディスク名は Disk2、クラス名は Class1、グループ名は Group1 です。
# sdxinfo -D |
交換前のディスクをグループから切断します。
sdxdisk -D コマンドの -c、-g、-d オプションでは、手順 3. で確認したクラス名、グループ名、ディスク名を指定します。
# sdxdisk -D -c Class1 -g Group1 -d Disk2 |
交換前のディスクがグループから切断されたことを確認します。
sdxinfo -D コマンドを実行し、切断したディスクの物理ディスク名が DEVNAM フィールドに表示されている行の GROUP フィールドに、アスタリスク (*) が表示されることを確認します。
# sdxinfo -D |
交換前のディスクをクラスから削除します。
sdxdisk -R コマンドの -c、-d オプションでは、手順 3. で確認したクラス名、ディスク名を指定します。
# sdxdisk -R -c Class1 -d Disk2 |
交換前のディスクがクラスから削除されたことを確認します。
sdxinfo -D コマンドを実行し、削除したディスクの情報が表示されないことを確認します。
# sdxinfo -D |
システムを停止します。
# shutdown -y -i0 -g0 |
ディスクを交換します。
当社技術員 (CE) にディスク装置の交換を依頼します。
CE は以下の手順でディスク装置を交換します。
交換前のディスクに記載されている WWN (World Wide Name) を控えます。
OpenBoot の auto-boot? 変数の設定を確認し、auto-boot? 変数に true が設定されている場合は、false に変更します。
本体装置の電源を切断します。
ディスクを交換します。
本体装置の電源を投入します。
手順 9. の 2. で auto-boot? を false に変更した場合、auto-boot? を true に変更します。
システムを起動します。
注意
FC-AL ディスクには、ディスクごとに固有の WWN (World Wide Name) が割り付けられており、Solaris はこの WWN を管理情報として使用しています。交換後のディスクの WWN を Solaris に認識させるために、boot -r コマンドで起動する必要があります。
ok boot -r |
当社技術員 (CE) と、交換後のディスクが Solaris に認識されていることと、交換後のディスクの物理ディスク名を確認します。
以下の例では、WWN は 0020370e35e5 であり、物理ディスク名は c2t4d0 です。
# format Specify disk (enter its number): |
参考
GDS が管理しているディスクは format コマンドでは表示されません。
交換後のディスクのデバイス特殊ファイルが存在することを確認します。
ls コマンドの引数では、手順 11. で確認した物理ディスク名の最後にアスタリスク (*) を付加したものを指定します。
# cd /dev/rdsk # ls -lL c2t4d0* |
クラスタシステムの場合、以下の手順により、交換後のディスクのリソースを再作成します。
クラスタシステムではない場合は、手順 14. 以降の作業を実施してください。
交換前のディスクのリソースを確認します。
ノード Node1 に接続されている、手順 2. で確認した交換前のディスク c2t4d0 のリソースが、clgettree コマンドで表示されることを確認します。
# /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree Domain 2 Domain0 ~ Node 3 Node1 ON ~ DISK 33 c2t4d0 UNKNOWN ~ |
交換前のディスクのリソースを削除します。
# /etc/opt/FJSVcluster/bin/cldeldevice -n c2t4d0 |
交換前のディスクのリソースが削除されたことを確認します。
手順 13. の 1. で確認したリソースが表示されないことを、clgettree コマンドで確認します。
# /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree |
交換後のディスクのリソースを作成します。
クラスタシステムを構成する任意の 1 ノードで以下のコマンドを実行します。
# /etc/opt/FJSVcluster/bin/clautoconfig -r |
交換後のディスクのリソースが作成されたことを確認します。
手順 11. で確認した交換後のディスク c2t4d0 のリソースが、clgettree コマンドで表示されることを確認します。
# /etc/opt/FJSVcluster/bin/clgettree |
交換後のディスクをクラスに登録します。
sdxdisk -M コマンドの -c オプションでは、手順 3. で確認したクラス名を指定します。-d オプションでは、手順 11. で確認した物理ディスク名と手順 3. で確認したディスク名を指定します。
# sdxdisk -M -c Class1 -d c2t4d0=Disk2 |
交換後のディスクがクラスに登録されたことを確認します。
# sdxinfo -D |
交換後のディスクをグループに接続します。
sdxdisk -D コマンドの -c、-g、-d オプションでは、手順 3. で確認したクラス名、グループ名、ディスク名を指定します。
# sdxdisk -C -c Class1 -g Group1 -d Disk2 |
交換後のディスクがグループに接続されたことを確認します。
# sdxinfo -D |
交換後のディスクをグループに接続すると、交換後のディスクに対して等価性回復コピーが実行されます。
sdxinfo -S コマンドを実行し、交換後のディスクのディスク名が DISK フィールドに表示されている行の STATUS フィールドに、COPY と表示されているときは、等価性回復コピーが実行されています。等価性回復コピーが完了すると、STATUS フィールドに ACTIVE と表示されます。
# sdxinfo -S |