インスタンス作成時に必要となるディレクトリを準備します。
資源の配置の考え方
ディスク破損時の復旧や通常性能に影響があるために、資源の配置先のディスク構成は重要です。以下にディスク構成を決めるときのポイントを示します。
バックアップデータ格納先とデータ格納先の両方を失うとデータを復旧できなくなるので、これらは別のディスクに配置してください。
単一のディスク故障からの復旧時間をより短くするために、システムディスクとデータ格納先は、別のディスクに配置してください。
バックアップデータ格納先はデータ格納先の2倍以上の容量が必要なため、空き容量が最も大きいディスクに配置してください。
データ更新を大量に行う場合には、データ格納先、トランザクションログ格納先、および、バックアップデータ格納先(二重化されたトランザクションログ)への書き込み負荷も大きくなります。そのため性能を考慮して、これらはすべて別のディスクに配置することを推奨します。
注意
各オペレーティングシステムで提供されるボリュームマネージャを使用する場合には、ファイルシステムがどの物理ディスク上に作成されているかを意識し、例えば、データ格納先とバックアップデータ格納先が異なる物理ディスク上に配置されるようにしてください。
WebAdminを利用する場合、データ格納先およびバックアップデータ格納先には、NTFSボリュームを指定してください。ネットワークドライブは指定できません。
資源 | 役割 |
---|---|
データベースクラスタ | データベース格納領域です。インスタンスで管理されるデータベースの集合体です。 |
テーブル空間 | データベースクラスタとは別領域に、テーブルファイル、インデックスファイルを保持します。 |
トランザクションログ | クラッシュリカバリ、ロールバックに備えたログ情報を保持します。 WAL(Write-Ahead-Log)と同義です。 |
アーカイブログ | リカバリに備えたログ情報を保持します。 |
二重化されたトランザクションログ(二重化WAL) | pgx_dmpallコマンドまたはWebAdminを使用したバックアップ・リカバリ運用を行う場合に、データベースクラスタとトランザクションログの両方が壊れた場合でも、データベースクラスタを異常発生の直前の状態に復旧することを可能とするために二重化されたトランザクションログです。 |
コアファイル | FUJITSU Enterprise Postgresのプロセスで異常が発生した場合に出力するFUJITSU Enterprise Postgresプロセスのコアファイルです。 |
ディスク配置の例を以下に示します。
ディスク数 | ディスク | 配置 |
---|---|---|
3本 | システムディスク | FUJITSU Enterprise Postgresプログラム |
コアファイル | ||
接続されている物理ディスク | データ格納先、トランザクションログ格納先 | |
接続されている物理ディスク | バックアップデータ格納先 | |
2本 | システムディスク | FUJITSU Enterprise Postgresプログラム |
コアファイル | ||
データ格納先、トランザクションログ格納先 | ||
接続されている物理ディスク | バックアップデータ格納先 |
WebAdminを使ってインスタンスを生成する場合には、以下の制約のもとに、インスタンス生成の時点でのすべてのディスクの状態と資源の配置の考え方の1から3 を考慮した最適な配置を指定することを推奨します。
ボリュームにインスタンス管理者の読み書き権限が付与されていること
ディレクトリの準備
準備するディレクトリは、インスタンスの作成方法により異なります。
事前に準備するディレクトリを、以下に示します。
準備するディレクトリ | WebAdminを | initdbコマンドを |
---|---|---|
データ格納先用のディレクトリ | ○ (注1) | ○ |
バックアップデータ格納先用のディレクトリ | ○ (注1) (注4) | △ |
トランザクションログ格納先用のディレクトリ | △ (注1) (注2) | △ |
コアファイルの出力先用のディレクトリ | - (注3) | △ |
○ : 必須
△ : 任意
- : 不要
注1) WebAdminがディレクトリを自動で作成します。
注2) デフォルトでは、データ格納先のディレクトリ内に作成します。データベースのデータとトランザクションログのI/O負荷を分散したい場合は、データ格納先用のディレクトリとトランザクションログ格納先用のディレクトリを異なるディスクに配置することを検討してください。
注3)コアファイルの出力先用のディレクトリは、以下のとおりです。
<ユーザープロファイルのフォルダ>\<ローカル設定のフォルダ>\Fujitsu\fsep_バージョン\インスタンス名ポート番号\core
バージョン:製品のバージョン_エディション_アーキテクチャ
備考) 製品のバージョンは、通常はインスタンスの作成に使用されるWebAdminのバージョンです。たとえば、WebAdminでは、WebAdmin 9.5が存在するデータベースサーバ上にFUJITSU Enterprise Postgres 9.5のインスタンスを作成することもできます。この場合、製品のバージョンは“95”になります。
ポート番号:インスタンス作成時に指定したデータベースサーバのポート番号
例:Windows Server(R) 2008 R2 の場合
C:\Users\naomi\AppData\Local\Fujitsu\fsep_10_AE_64\myinst27599\core
出力先を変更する場合は、postgresql.confのcore_directoryパラメータおよびcore_contentsパラメータで指定します。これらのパラメータの設定内容は、“運用ガイド”の“パラメータ”を参照してください。
注4) インスタンスのバックアップを有効にする場合に必要です。
注意
各ディレクトリは以下の条件を満たす必要があります。
ディレクトリの所有者が、インスタンス管理者となるOSのユーザーアカウントであること
ディレクトリに書き込み権があること
ディレクトリ内が空の状態であること
WebAdminを使用する場合は、ネットワークドライブを使用することはできません。
WebAdminを使用する場合は、ディレクトリ名として以下の半角文字が使用可能です。
\ (円記号)
- (ハイフン)
_ (アンダースコア)
: (コロン)
半角スペース
A-Z、a-z、0-9 (英数字)
ウィルス対策ソフトを使用している場合、FUJITSU Enterprise Postgresを構成するすべてのサーバ資源がウィルススキャンの対象外となるように、フォルダに対するスキャンの除外設定を行ってください。また、FUJITSU Enterprise Postgresを構成するすべてのサーバ資源に対してウィルススキャンを行う場合は、インスタンスを停止し、FUJITSU Enterprise Postgresを利用した業務が動作していない状態で実行してください。
ディレクトリのアクセス許可の確認と設定
インスタンス管理者ユーザーに“Administrator”権限がある場合(Administratorsグループに属するユーザーIDを持つ)には、各ディレクトリがインスタンス管理者ユーザーに対するファイルとフォルダのアクセス許可を継承する設定になっている必要があります。
そのため、アクセス許可を継承する設定になっていることを確認し、継承する設定になっていない場合には設定を行ってください。
以下に設定の確認および設定方法について説明します。
事前に準備するディレクトリに対して、エクスプローラーで以下の操作を行います。
“対象のディレクトリ”を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のプロパティ]画面で、[セキュリティ]タブの[詳細設定]ボタンをクリックします。
[“対象のディレクトリ”のセキュリティの詳細設定]画面で、[アクセス許可]タブの[アクセス許可エントリ]の一覧から、インスタンス管理者ユーザーの適用先が[このフォルダー、サブフォルダーおよびファイル]になっていることを確認します。
[OK]をクリックします。
Windows Server(R) 2012での確認例を以下に示します。
アクセス許可を継承する設定になっていないディレクトリが存在する場合には、エクスプローラーで以下の操作を行います。
“対象のディレクトリ”を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のプロパティ]画面で、[セキュリティ]タブの[詳細設定]ボタンをクリックします。
[“対象のディレクトリ”のセキュリティの詳細設定]画面で、[アクセス許可]タブの[アクセス許可の変更]ボタンをクリックします。
[追加]ボタンをクリックします。
[ユーザーまたはグループの選択]画面で、選択するオブジェクト名として、インスタンス管理者ユーザー名を入力し、[OK]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のアクセス許可エントリ]画面で、[適用先]を[このフォルダー、サブフォルダーおよびファイル]に設定し、[アクセス許可]の読み書きできる権限にチェックを付け、[OK]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のセキュリティの詳細設定]画面で、[アクセス許可エントリ]の一覧から、適用先が[このフォルダー、サブフォルダーおよびファイル]になっているインスタンス管理者ユーザーが追加されていることを確認します。
[OK]をクリックします。
“対象のディレクトリ”を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のプロパティ]画面で、[セキュリティ]タブの[詳細設定]ボタンをクリックします。
[“対象のディレクトリ”のセキュリティの詳細設定]画面で、[追加]ボタンをクリックします。
[“対象のディレクトリ”のアクセス許可エントリ]画面で、[プリンシパルの選択]をクリックします。
[ユーザーまたはグループの選択]画面で、選択するオブジェクト名として、インスタンス管理者ユーザー名を入力し、[OK]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のアクセス許可エントリ]画面で、[適用先]を[このフォルダー、サブフォルダーおよびファイル]に設定し、[基本のアクセス許可]の読み書きできる権限にチェックを付け、[OK]をクリックします。
[“対象のディレクトリ”のセキュリティの詳細設定]画面で、[アクセス許可エントリ]の一覧から、[適用先]が[このフォルダー、サブフォルダーおよびファイル]になっているインスタンス管理者ユーザーが追加されていることを確認します。
[OK]をクリックします。
参考
OSのicaclsコマンドにより、アクセス許可を設定することも可能です。
データ格納先ディレクトリが“D:\database\inst1”、インスタンス管理者ユーザーが“fsepuser”の場合に、適用先に「(OI)(CI)」、アクセス権に「(F)(フルアクセス権)」を設定する場合の実行例を以下に示します。
>icacls D:\database\inst1 /grant fsepuser:(OI)(CI)(F) 処理ファイル: D:\database\inst1 1 個のファイルが正常に処理されました。0 個のファイルを処理できませんでした